日商簿記検定３級攻略③～現金・預金～

この記事をスマホで閲覧している方はスマホを横にしていただくと見えやすくなります。

１　はじめに

　さて、今回は、いよいよ実践的な帳簿処理の方法について説明していきます。まずは現金と預金についてです。現金は通貨と通貨代用証券に区分されます、預金も種類がありますので、次項から説明していきます。例題を出題しますので、より実践的な学習ができるかと思います。解答は別の段落にあります。

２－１　現金

　冒頭でも説明したとおり、現金は通貨と通貨代用証券に区分されます。前者はその名のとおり、貨幣と紙幣です。後者は金融機関などに要求すれば即時に通貨に引き換えることができる証券​で、以下のとおりとなります。
例　他人振出の当座小切手　配当金領収証​
　　利払日が到来した公社債の利礼​
　　送金小切手　送金為替手形　トラベラーズチェック

２－２　現金と間違われやすいもの​

　自己振出の小切手⇒当座預金勘定で処理​
　先日付小切手⇒受取手形勘定で処理​
　収入印紙⇒使用分は租税公課、未使用分は貯蔵品​
　切手・はがき⇒使用分は通信費、未使用分は貯蔵品​
　以上が間違われやすいものとなっております。試験問題では、現金の実査を行い、帳簿上の現金と実査の現金を修正する帳簿処理を問われる問題があるので必ず覚えてください。例題を出題します。仕訳をしてみてください。

問１－１　A社はB社からPC１台を100,000円を小切手を振り出
　　　　し支払った
問１－２　A社は商品100,000円を売り上げ、他人振出小切手を
　　　　受け取った
​​問１－３　A社は商品100,000円を売り上げ、自己振出小切手を
 　　　　受け取った​

２－３　現金過不足

　前項少し説明した帳簿上の現金と実査の差額を修正する帳簿処理について説明していきます。現金の帳簿残高と実際有高は、記載漏れなどの原因により、一致しないことがあります。この過不足を現金過不足と言い、その原因が判明するまで現金過不足勘定で処理をします。
　会計処理の流れ​
①　現金実査時
　　現金勘定残高を実際有高に修正し、その過不足額を現​金過
　不足勘定に振り替える
②　原因判明時
　　現金過不足勘定から適正な勘定へ振り替える​​
③　決算時
　　原因不明分を雑損失勘定または雑収入勘定へ振り替える
では、早速例題を解いてみましょう。

問２－１　現金の帳簿残高は50,000円、実際残高は45,000円で
　　　　あった
問２－２　現金過不足額のうち、2,000円は旅費交通費の記帳
　　　　漏れであった​
問２－３　決算にあたって原因不明分を雑損失又は雑益とし
　　　　て処理​
​

３－１　小口現金

　続いては預金について各種説明していきます。
　通常、企業では消耗品の購入、出張等少額の現金が会計係から用度係に用意されます。この現金を小口現金と言い、一定期間における小口現金の必要額を設定しておき、支払報告を受けた時に同額を小口現金として補給します。
　会計処理の流れ
　①　設定時​
　　　会計係が用度係に小切手を前渡ししたときは、小口現金
　　の​増加として処理をする。
　②　支払報告時​
　　　用度係から支払いの報告を受けた時は、支払額を小口現
　　​金の減少として処理をする。
　③　補給時​
　　　支払報告にもとづいて、会計係が小口現金を補給したと
　　き​は、小口現金の増加として処理をする。​​​​
　それでは例題です、①から③の処理別に仕訳をしてもらいます。
　問３　定額資金前渡制度を採用することとなり、用度係に
　　　対し、小口現金として小切手40,000円を振り出した。​
　　　用途の内訳　通信費10,000　消耗品5,000　雑費10,000​​​

３－２－１　当座預金​

　事業をされていない方にとっては、初耳かもしれませんが、当座預金は小切手、手形を振り出すために開設した口座です。現金を持ち出す必要がなく、小切手・手形を振り出すことで取引の相手方に支払うことができます。その反面預金通帳がなく、無利息です。

３－２－２　当座借越​

　当座預金を開設し、あらかじめ当座借越契約を結ぶと預金残高を超えて引き出すことができます。そのとき、当座借越勘定を使用します。決算時に当座借越勘定があるときは「短期借入金」に振り替える必要があります。よく理解するために例題を解いてみましょう。
例題　　A社の次の取引について仕訳をしなさい。​
　　　　なお、A社はB銀行と当座借越契約（限度額：100,000
　　　円）を締結しており、現時点での借越残高は50,000円で
　　　ある。

問４－１　A社はC社から商品を20,000円で仕入れ、小切手を振
　　　　り出して支払った。
問４－２　A社はD社に商品を60,000円で売り上げ、当座預金に
　　　　振り込まれた​
​​​​​​問４－３　当座借越について決算整理を行う。

４　例題解答

答１－１　（借）備品　100,000　（貸）当座預金　100,000​
答１－２　（借）現金　100,000　（貸）売上　100,000​
答１－３　（借）当座預金　100,000　（貸）売上　100,000​
答２－１　（借）現金過不足　5,000　（貸）現金　5,000
​​​答２－２　（借）旅費交通費　2,000　（貸）現金過不足
　　　　　　2,000
​答２－３　（借）雑損失　3,000　（貸）現金過不足　3,000
答３　
設定時（借）小口現金　40,000　（貸）当座預金　40,000
報告時（借）通信費　　10,000　（貸）　小口現金　25,000​
　　　　　　消耗品費　  5,000​
　　　　　　雑費　10,000​
補給時（借）小口現金　25,000　（貸）当座預金　25,000
答４－１　（借）仕入　20,000　（貸）当座借越　20,000
答４－２　（借）当座借越　60,000　（貸）売上　60,000
答４－３　（借）当座借越　10,000　（貸）短期借入金　
　　　　　10,000

５　おわりに

　今回は、例題を含めた内容だったので、より試験を想定した記事だったかと思います。次回以降も例題を織り交ぜながら掲載しますので楽しみにしてください。​​

　　　​

　　​​