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日商簿記検定2級攻略⑧~繰延資産~

1 はじめに

 繰延資産とは、支出の効果が次期以降にも及ぶ特定の費用であり、原則は支払った会計期間に一括して費用処理しますが、支出した段階で資産として処理し、決算において一部を償却することも認められています。
 会計独自の考え方であり、この償却方法が費用収益対応の原則に基づいた会計処理であり、適切な期間損益計算をするための会計処理です。試験にも決算整理で出題されますのでしっかり覚えていきましょう。


2 繰延資産の種類と償却方法 

 繰延資産は5種類あり、償却方法等は次のとおりです。繰延資産の償却は無形固定資産と同様、残存価額ゼロ円として直接法により償却します。 
 株式交付費 3年以内 定額法 株式交付費償却
 
 社債発行費等 社債の償還期間 利息法又は定額法 社債発行費償却
 
 創立費 5年以内 定額法  創立費償却

 開業費 5年以内 定額法  開業費償却

 開発費 5年以内 定額法 開発費償却


 株式交付費:会社設立後に新株の発行のために直接要した費用をいい、株券の印刷費などがあります

 社債発行費等:社員募集のための広告費用等の社債発行のために直接かかった費用を言います。

 創立費:会社設立のための支出額であり、定款の作成費、株式募集広告費などがあります。

 開業費:会社設立後から営業開始までに支出した開業準備のための費用であり、広告費、事務所貸借料などがあります。

 開発費:新市場の開発の為に特別に支出した費用をいいます


例題

問 
 決算にあたり、繰延資産として計上している社債発行費の償却をしなさい
 なお、X1年10月1日に社債(償却期間10年)を発行し、発行時に社債発行費300,000円を計上していた。社債発行費は償却期間10年で定額法(月額計算)により償却を行っている。決算日は3月31日である。X2年3月31日及びX3年3月31日の決算日の仕訳を示しなさい。


X2(借)社債発行費償却 15,000(貸)社債発行費 15,000
X3(借)社債発行費償却 30,000(貸)社債発行費 30,000

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