日商簿記検定2級攻略②~現金・預金~
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1 はじめに
現金と預金は2級では必ず出るというほど重要テーマです。3級レベルの基本問題で復習しつつ、2級独自の問題に対応していきましょう
2 現金
⑴ 現金の範囲
現金として処理するものは以下のとおりとなります
① 現金、内国通貨、外国通貨
② 通貨代用証券(すぐに現金に引き換えれるもの)
例 他人振出小切手 配当金領収証 郵便為替証書
送金小切手
期限の到来した公社債の利礼 トラベラーズチェック
※ 現金と誤りやすいもの
自己振出小切手
⇒小切手の振出人が、商品等の代金支払のために一
旦振り出した小切手を売掛金の回収等により受けとっ
たものです。この場合、振り出した当座預金がなかっ
たことになるので、資産の減少の取消し、つまり資産
の増加として処理します。
先日付小切手
⇒実際の振出日より数日先の日ぐケガ記載された小
切手をいいます。当事者間では先日付の日まで銀行
に呈示しないと言う通義的な約束で振り出されます。
呈示・・・相手方に証するものを差し出して見せる
こと
郵便切手・収入印紙
⇒購入時に費用(通信費・租税公課)として処理し
た場合、期末に残ったものは「貯蔵品」勘定に振
り替えます。
問1-1
㈱Aから売掛代金として同社振り出しの小切手10,000円を受け取った
問1-2
㈱Aから商品10,000円を仕入れ、先に㈱Bから受け取った同額の郵便為替証書で支払った
問1-3
期限の到来した社債利礼10,000円が未処理である
問1-4
㈱Aから売掛金の支払いとして自己振出の小切手10,000円を受け取った
問1-5
金庫に利益剰余金を原資として配当金領収証書10,000円が保管されていたが、未処理である
問1-6
㈱Aから売上代金として先日付小切手を受け取った
答1-1(借)現金 10,000(貸)売掛金 10,000
答1-2(借)仕入 10,000(貸)現金 10,000
答1-3(借)現金 10,000(貸)受取利息 10,000
答1-4(借)当座預金 10,000(貸)売掛金 10,000
答1-5(借)現金 10,000(貸)受取配当金 10,000
答1-6(借)受取手形 10,000(貸)売上 10,000
⑵ 現金過不足の処理
現金の帳簿価額と実際有高とは、記帳漏れ・記帳誤り・
紛失などの理由により一致しないことがあります。この場
合は、以下の整理が必要となります。
① 帳簿残高と実際有高との不一致額を「現金過不足」勘
定へ記入した上で、不一致の原因を解明する。
② 不一致の原因が判明した金額に付いては、「現金過不
足」勘定から正しい勘定に振り替える。
③ 決算時に置いても不一致の原因が不明な金額について
は、「現金過不足」勘定から「雑益」または「雑損」勘
定に振り替える。
問2-1 実地監査により現金10,000円が不足
問2-2 現金不足の原因が一部判明
問2-3 決算時に置いても残りの原因が不明
答2-1(借)現金過不足 10,000(貸)現金 10,000
答2-2(借)雑損 5,000(貸)現金過不足 5,000
答2-3(借)旅費交通費 5,000 現金過不足 5,000
3 預金
⑴ 預金の修理
預金には、当座預金、普通預金、定期預金、郵便貯金な
どがあり、満期の有無や満期までの期間により分類・記帳
し満期日のある預金については、1年基準を適用して貸借
対照表に表示をします
帳簿上の勘定科目 B/S上の区分 表示科目
当座預金 流動資産 現金及び預金
普通預金 流動資産 現金及び預金
定期預金 流動資産 現金及び預金
又は
固定資産 長期性預金
⑵ 当座預金と銀行調整勘定表
イ 当座預金
取引の度に代金の決済を現金で行うことは煩雑で危険
であることから代金の決済を頻繁に行う企業は金融機関
と当座取引契約を結ぶことで古語ってで代金を決済する
ことがあります。この小切手を利用した決済のための預
金が当座預金です。
ロ 当座借越
当座預金にはあらかじめ当座借越契約を結ぶと、預金
残高を超えて引き出すことができます。当座借越契約の
限度内で預金残高を超えて小切手を振り出した場合を
「当座借越:といい、銀行からの短期の借入となるため、
貸借対照表上は流動負債の区分に「短期借入金」とし
て表示します。
ハ 銀行勘定調整表
当座預金は普通預金尾異なり銀行が発行する通帳があ
りません。
このため、当座預金利用者は銀行から送付される当座
預金口座で一定期間に取引のあった内容を知らせる当座
勘定照合表と、決算資料として取り寄せる当座預金残高
証明書を利用して、当座預金の帳簿残高と銀行側の当座
預金残高との照合を行います。
当座預金の帳簿残高と銀行側の当座預金残高とを照合
し、両者に不一致がある場合にはその原因を把握し、未
処理(未通知)又は誤った処理をした側の調整を行う必
要があります。
この調整に利用するのが銀行勘定調整表です。
不一致を調整するためのパターンを紹介します
<企業側で修正仕訳をする必要がある場合>
A 未渡小切手
小切手の振出人が支払いのために小切手を振り出した記帳
を行った者の、受取人に渡していなかった小切手をいいます。
期末時点で小切手がある場合は、小切手の振出人は小切手
記載の金額を戻し入れる処理を行う必要があります。
B 誤記帳
企業側の誤った帳簿処理ですので企業側で修正します
C 連絡未達
外部からの連絡が未達ですので、企業側で未達分の帳簿処
理をします
<銀行側で修正する必要がある場合>
A 時間外預入
夜間金庫に預け入れたため、銀行では翌日処理となった
場合に発生する不一致です。この場合は銀行が発行する当
座勘定商業表及び当座預金残高証明書を修正させます
B 未取付小切手
小切手の振出人が小切手を受取人に渡したものの、受取
人が銀行に呈示していない小切手をいいます。振出人側の
仕訳は不要です。
C 未取立小切手
小切手の受取人が小切手を取引銀行に取立依頼したもの
の、まだ小切手の受取人の当座預金口座に入金されない小
切手をいいます。
未取立小切手が生じる理由は、受取人の取引銀行がその
小切手を手形交換所に持ち込み、決済を終えるまでに時間
を要するためであるが、小切手の受取人は小切手を取引銀
行に持ち込んだ時点で当座預金の増加として適切に処理し
ているため、受取人側の仕訳は不要となります。
設問
㈱Aは決算日に当座預金の残高を調査したところ、次の事項が判明した。各事実に関する修正仕訳をしなさい。
なお、仕訳が不要な場合は、借方に「仕訳不要」と回答しなさい。
問3-1
振出小切手に未取付けのもので買掛金支払分 10,000円
問3-2
振出小切手で未渡しのもの 交通費支払分 10,000円
問3-3
取立済手形が、当方に通知未達 10,000円
問3-4
借入金に対する利息で当方に通知未達分 10,000円
問3-5
得意先振出小切手の預入れに際し、売掛金を100,000円を10,000円と記帳していた。
問3-6
夜間金庫への預入れ 10,000円
答3-1(借)仕訳不要
答3-2(借)当座預金 10,000(貸)未払金 10,000
答3-3(借)当座預金 10,000(貸)受取手形 10,000
答3-4(借)支払利息 10,000(貸)当座預金 10,000
答3-5(借)当座預金 90,000(貸)売掛金 10,000
答3-6(借)仕訳不要
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