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人工知能のPOCのゴールを考える

ポイント

人工知能POCに「成功」はない
プロジェクトの進展させることを目指す
何が分からないのか明らかにする
許されるスケジュールと予算を把握する

人工知能POCの「成功」は?

人工知能のPOCを提案すると、「成功するか、不安です」「成功の確約がないものにお金はかけられません」といった不安の声をもらいます。そういうお客様に、私たちとしても「必ず成功します!大丈夫です!」とお答えすることが出来ないことが、営業として歯がゆいところです。

ただ、ここでいう「成功」とは、いったい何なのでしょうか。POC以後に、人工知能が業務に必ずインパクトを与えるという確約でしょうか。残念ながらそもそもPOCにはそういった意味での「成功」はありません。なぜなら、POCは限られたデータで、限られた範囲(例えば、精度を確認するパターンを絞る)を検証するだけですので、本番で動かした時の効果を保証するものではないからです。

POCのゴールは「進展」

では、POCのゴールはなんなのか。お客様とベンダーはそこの認識をまず合わせなければなりません。大きく分けて3つあります。

まず、プロジェクトの進展です。人工知能の活用で不明点・疑念点に、一定の成果が出て突破口が見えて、質的に違う検証ができることを指します。例えば、2つのデータがあり、解析した結果、1つは解析に適さないが、もう1つは解析に適していると分かった状況を指します。そのため、次にはプロトタイプの開発を見越したフェーズに進めるといった形です。

次に、検討の継続です。残念ながら、結論を見出せなかった状況で、同様の検討を再度行わなければならないことです。例えば、用意したデータでは解析ができずに、再度同様の検証を行う必要があるということです。

最後に、プロジェクトの中止です。これはプロジェクトが見込んだ成果を生まないことを指します。例えば、人工知能は高い精度を出すことが出来たが、投資対効果が出せないと分かったため、プロジェクトを中止するといったことです。

プロジェクトを進捗させるために

では、どうすればプロジェクトを進展させることが出来るのか。まずは、総論ではなく各論で分かっていないことを明らかにしましょう。データはどれを使いますか?どのようなデータ加工が必要ですか?人工知能に学習に必要なデータの量は?人工知能は何を使いますか?どの程度の精度が欲しいですか?こういったことを明らかにします。

次に全体のスケジュールと予算感を確認しましょう。例えば、1年を4つのフェーズに分けて、数千万円をかけられるプロジェクトでしょうか。それによって検証できることの幅が変わってきます。十分なスケジュールと予算がないプロジェクトなら、検証する必要はあるが確度が高いものは、時に「出来る」という想定で進める必要があるかもしれません。

不明点とスケジュール・予算が分かれば、それをどのようのステップ・どのような検証で明らかにするか、プロジェクト全体のフェーズを描くことが出来ます。

最後にPOCの保障をするベンダーは、多くありません(そういう場合は、理由はしっかり確かめてください)。是非、次に進める(進捗する)ためにどうすれば良いのか、ベンダーや専門家に聞いてみてください。


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