「色々な事が在ったもうダメかと思った君が支えてくれた」
「三年だよ三年!織姫と彦星だって一年に一回は会えるのにさあ!」とは夕霧さんのお言葉である。普通、三年あればWBCは二回開催できるし、天正遣欧少年使節は余裕を持ってリスボンまでたどり着けるはずなのだけれど。そうか三年か。まじかー。
私にとってバンギャル人生最大のホームアドバンテージは、彼らを同郷同世代枠で扱えることだと勝手に思っている。この横浜三人組は常に地元ネタの風弥!地元ノリのRei!地元感のまゆ!(敬称略)なので、結果として誰が地元話を繰り出してもみぞおちと腹筋にクリーンヒットするのだ。シウマイ弁当、西口のドンキ、関内駅の改札、7thの前のタイル、吉田新田とタマクス等々、食らった地元ネタは数知れず。特に地元の歴史から語りたいタイプの風弥さんと、話の合間にしれっと地元極まりない距離感を出してくるまゆさんに、何度げふっと音を立てさせられたことか。Reiさんに至っては、いつぞやの撮影会で「君さ、こないだ普通に横浜歩いてるの見たよ。横浜の子でしょ?」と言われて以来「お、横浜の子!」「横浜からいつもありがとー!」「これから横浜帰るんでしょ、気を付けてっ!」などと言われ続けているため、もはやツッコむという発想を失ってからのほうが長い。ああ、地元と地元愛がすぎる。
今回のセトリ担当はまゆさん。なんでも、彼のバンド人生始まりの地であるこの会場で、自分でライブを仕切るというのは地味に初めてだったらしい。これだけ長くバンドをやっていても「初めての経験」というのはあるのだなあと。そして静かなる信念の人であるまゆさんが組んだセトリは、ご時世的な理由だけではなく、ありとあらゆる巡りあわせもひっくるめて眠らせていた曲たちを全部蘇生させるという、彼らしい胸熱セトリ。そりゃもう、燃えるなといういうほうが無理な話である。感情を言葉に出すこと、表に出すことだけが気持ちの出し方ではない。そんな熱い気持ちのこもった曲を選びましたよ、ということを言おうとして「あつくるし・・・むさくるしいものを」と、いつも通り言葉を選びすぎてしまったまゆさんのミラクルにより、その場の全員の視線が夕霧さんに向いたのは、まあなんというか当然の反応というやつである。
彼らのホームグラウンドで聴く「ARREST」の歌詞が刺さること刺さること。この三年間、声が出せないことは仕方がないけれど、それに付随して制限されたりダメになることが多くて、即断即決や臨機応変という対応ができないことがストレスだったんだなあ。貴方も私もよく耐えたねと、会場全体から労われている感じがしたよ。確定曲だった「HOME」も心があたたかくなったし。そして、そのほっこりした空気を全部どんがらがっしゃんする横浜三人組の「このライブハウスがまだサンホと呼ばれていた頃の話」である。どんだけカオスだったんですかここ。そして風弥さんの、あの頃のV系あるあるに関する律儀すぎるセルフツッコミショーに被弾したのは言うまでもない。中二っていうのはね、振り返ってもいいけど、掘り起こしたらいけないものなんだよ(迫真)
そういえば、彼らが前回NSBでライブをやったのが去年の秋。意外と開いた期間の間に東急・相鉄の相互直通運転が始まっていて、新横浜駅の地下が完全に別物ならぬ別駅になっていた。まあ、階段の位置とか出口の場所は変わらないので、分かれば迷わないのだけれど。街も変わるし、人も変わる。特にこの三年間は、イレギュラーがすぎた。でも、街が変わったところで、そこで過ごした思い出が消えるわけでもないし、いいことも悪いこともすべて、一つでも欠けたら今この時この場所はない。だから、自分のすべてに胸張って生きて行こうぜ。そんな風に背中を押された一日だった。魂を開放しすぎて首が腰が腕がみたいになったのも、なんか久しぶりだなあ。そしてまゆさんと直ちゃんの配信を聞いていて「崎陽軒はシウマイ売ってる弁当屋」という地元極まりない認識を、メンバー全員が言わずもがなで共有しているあたりに色々とツッコみたさしかない。何も間違ってないだけに。
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