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第2回NINJAWARが開催されました -ニンジャスレイヤーTRPG-

3/30、31に第2回NINJA WARが開催されました。

参加いただきました皆様および当日観戦してくださった皆様、誠にありがとうございました。

例によってリプレイとするにはあまりに長大となりますので、こちらではプレイレポートという形にさせていただき、実際の様子は以下のDiscordチャンネルから追体験していただければと思います。

ルールについて

今回はダイハードテイルズ公式より提示されているルールから、ある程度アレンジした形で催しました。
詳細のルールはこちらからドーゾ。

変更した主な点としては、
・【万札】の大幅増額
・独自マップによる戦争実施
・『トラップ』の追加

の3点となります。

開催までのお話

今回はとにかく、(当時新しく導入された)『サイバネプラグイン』も含めた、たくさんの選択肢を提示できるような、『でっかくて、おっもいの!』をコンセプトに、ルール提示や日時の策定を行いました。

基本ルールの状態でもほぼ1日かかったので、オンラインセッションでこれ以上重くする場合、どうしても2日に分けなければ不可能であることは目に見えていました。
また、2日に分ければ当然参加の敷居が上がります。
それも予期して、3/10から約3週間近くの募集期間を設けたのですが、参加者6名に届いたのは開催前日のことでした。
正直、開催は無理ではないかと感じておりましたので、リアルがご多忙の中でも参加を申し出てくださった皆様には心より感謝申し上げます。本当にありがとうございました。

やはり、2日かかるものはどれだけ募集期間を置いても集めるのは難しい、ということを痛感しました。無職引きこもりの私の影響力などたかが知れていますので、これが私の限界だろうと思います。

ルールを詰め込んだ大きな大会を行う場合は、それ相応に大きい影響力が必要になるかと考えます。

イクサについて

今回のソウカイヤVSザイバツは、おおむね以下のような陣容でした。

ソウカイヤ
『肉体破壊』と連続攻撃回数を軸にしたサツバツ狙いのバイオサイバネと、探索+カナシバリによる補助を目的とした肉体派チーム
ザイバツ
…全員『カナシバリ・ジツ』で固め、少なくなる体力をサイバネで補った『カナシバリ・サンダンウチ』チーム

今回は『ザイバツ』チームの勝利となりましたが、その勝因を整理し、考察していきます。

勝因1:マップ特性

今回のマップは現実世界の邸宅の間取りを参考にして作りました。
部屋はつながっているものの、廊下が狭いこと、また『押し入れ』というマスを作り、特例的にそこに作戦目標を配置できるようにしたことが特徴です。

今回はまず『廊下が狭い』ことによって事件が起きました。
先攻であるザイバツ側の襲撃が開始された際、ザイバツはマップ右上の「風呂」及び「脱衣所」から襲撃を仕掛けてきました。

ソウカイニンジャの「ギフトシュランゲ」がこれを迎撃するため、リビングから脱衣所へ向かい、攻撃を開始します。ソウカイニンジャ全員で脱衣所に殺到し、一斉に連続攻撃を叩き込みニンジャを爆発四散に追い込む算段です。「囲んで棒で叩く」はどんな状況でも強いものです。

ここでザイバツニンジャの「ステンノー」が脱衣所の入口に移動しました。
普通のニンジャであれば、『連続側転』を成功させればステンノーを飛び越えて脱衣所に入っていけるだけの話です。

しかし、彼らは普通ではありませんでした。
残るソウカイヤの2ニンジャはそれぞれ『バイオサイバネ(下半身)』『高機動脚部ユニット』を装備していたのです。

これらのサイバネはいずれも『連続側転不可』のペナルティを受ける代わりに、【脚力】に対して大幅なプラスを得ます。また『ダッシュ移動』を自動取得し、更にダッシュ移動後の攻撃も許可されているため、大抵の状況で『連続側転』と変わらない性能を発揮でき、脚力の増加を大きく生かせるサイバネです。

しかし『ダッシュ移動』には明確な弱点がありました。ダッシュ移動では「敵・障害物の乗り越えができない」のです。

今回のような狭いマップの場合、その入り口を防がれた際にはその障害物自体を破壊するか、吹き飛ばさない限りは侵入できなくなるのです。

襲撃開始直後すぐにこの事に気づき、戦術として即座に組み立てたザイバツチームこそ褒められるべきでしょう。
結果としてギフトシュランゲは孤立してしまい、爆発四散を遂げることとなってしまいました。

NMも『ダッシュ移動』と『連続側転』は回避ダイスの取得以外に何が違うのか、とぼんやりした疑問を持っていました。
今回のイクサはそのはっきりとした違いを、ニンジャスレイヤーらしく致命的な状況として見せつけてくれました。

また、別のマップ特性として、『押し入れ』が非常に強力な物となりました。
前回の大会の時でも、防衛側は守るべき対象の数があまりに多すぎ、基本的に防衛側ニンジャは襲撃ニンジャの意図を妨害することが困難でした。脱出用の「窓」の数も非常に多く、脱出を妨害するのは基本的に不可能でしたし、金庫なども最低3方向からアクセスできるような配置しかできませんでしたから、防衛側にとって非常に不利な状況だったのです。
その解決策として、今回は隣接1マスからしかアクセスできない状況、『押し入れ』ルールを採用しました。

隣接マスしかアクセスできない状況をより有効に使いこなしたのもザイバツチームでした。

彼らは全ニンジャが和室に集結し、ポイントの高額なUNIXを押し入れに収納。押し入れの前に全員で陣取り、待ちの姿勢に入る籠城戦法を採用しました。

後述する「カナシバリ・サンダンウチ」の凶悪さも相まって、ついにソウカイヤチームに付け入るスキを与えませんでした。

勝因2:カナシバリ・ジツ

5:カナシバリ・ジツ:ニンジャの目が妖しく光り輝き、相手を金縛りにしたり操り人形に変える。自分の手番開始時に【精神力】を1消費し、視線が通っている敵1体に対して使用を試みられる(このジツは手番開始時に使用するため、1ターン中に最大で「ジツ」→「移動」→「攻撃」の行動が可能)。発動難易度はNORMALだが、『ボス級の敵』に対してはULTRA-HARDとなる。【ジツ】値が2の場合、『ボス級の敵』に対してHARDで成功できる。【ジツ】値が3の場合、『ボス級の敵』に対してNORMALで成功できる。カナシバリにかけられた『ボス級の敵』は直ちに【精神力】を−1して【ニューロン】判定(難易度:HARD)に成功しなければ、次の自分(自分とはその『ボス級の敵』のこと)の手番の終了時まで動けなくなり、回避を含むあらゆる行動が不可能となる。カナシバリ中の『ボス級の敵』が1以上のダメージを1回受けるたび、その『ボス級の敵』は直ちに【ニューロン】判定(難易度:HARD)を行うことができ、これに成功すると直ちにカナシバリは解ける。
なお、カナシバリをかけた敵が『ボス級の敵』ではない場合、上記の効果に加え、次のその敵の手番で、この敵を術者が好きなように操れる。
(プラグインルール 基本5ジツの拡張より引用)

前大会でも全メンバーをカナシバリでまとめ、基本ジツを撃ち込む「カナシバリ・サンダンウチタクティクス」は検討されていましたが、今回ついに実戦投入され、その真価、凶悪さを見せつける大会となりました。

カナシバリ・ジツがなぜ強いのか。
それは『あまりにも手軽に、【精神力】に、確定でダメージが入る』という点に集約されます。
詳しく解説していきましょう。

1:【精神力】は最大値の補強が困難なリソース

現在の公式ルールにおいて、【精神力】は同じような【体力】のリソースと比較して、補強が非常に困難な状況に置かれています。

・サイバネを大量に入れるほど、【精神力】の最大値が下がる(精神負荷、サイバネ狂気ルール)
・サイバネに【精神力】を大幅に増強できるような装備が存在しない(多くて2点程度で、【体力】の+8といった装備と比べれば断然少ない)
・【体力】の元となる【カラテ】は、【脚力】や近接攻撃ダイスなどの幅広い面で活躍する機会がある半面、【ニューロン】はそれ自体が戦闘に対して与える影響がイニシアチブ決定のみと少ない。
 =【ニューロン】に特化し、【カラテ】【ワザマエ】を鍛えないこと自体が戦闘要員になれないことを示している。
 =戦闘を考慮するなら【ニューロン】特化はせず、ほどほどの【精神力】に落ち着いてしまう。

このため、【体力】はザラに10点を超えても、【精神力】は6程度までしか増えない、といったことが往々にして起こります。
実際に今回のイクサでもサイバネプラグイン導入を優先した結果、ほとんどのニンジャが【体力】は15~20近いという半面、【精神力】は6~8程度でした。

つまり、【精神力】というのは【体力】に比べて大変貴重なリソースとなるわけです。
にもかかわらず、【精神力】がマイナスになると死亡扱いになるため、無下に扱えるようなリソースでもありません。

このルールの場合、【体力】19の敵に3ダメージを与えることと【精神力】6の敵に精神1ダメージを与えることはほぼ等価です。6回攻撃すればほぼ0で、カナシバリ単体では【精神力】マイナスにはならないものの、別の精神ダメージを与える手段を持てば精神力で殺害もできるのです。
今回のイクサでは『★レッサーイビルアイ』やサイバネの『トキシンダガー』、またスキルの『タツジン(コッポドー)』がトドメ役として効果を発揮しました。

2:カナシバリ・ジツは『必中攻撃』である

この貴重なリソースに対して、カナシバリの基本ジツは【ジツ】1からアタックを成功させられる技となります。
それだけでもかなりの危険度であるにもかかわらず、カナシバリの失敗は【ジツ】+【ニューロン】のダイスを振り、判定に失敗した時だけです。
ここで、ニンジャスレイヤーTRPGにおけるダイス判定の成功率を見てみましょう。(ジェンガ=サンの記事より引用)

例えばNINJA WARで設定されやすい【ニューロン】が7程度の場合、【ジツ】1だと8ダイスで76%程度
【ジツ】2(9ダイスHARD)で既に97%の成功率となります。これはかなりの高確率で相当信頼できる数値です。
比較して、例えば【体力】にダメージを与える他の攻撃はどうか。確かに、『連続攻撃3』などで攻撃回数を増やして、それぞれ上記のような確率で命中はしますが、これらには常に【回避ダイス】が立ちはだかります。
攻撃1発ごとに【回避ダイス】を1つ出せばダメージ期待値はその50%に、2つで25%、3つ使えば12.5%しかなくなります。
3回殴って9ダメージだったとしても、ダイス3ずつで回避されれば期待ダメージは1を下回ります。更に、これを1000回試行した統計上はそうだったとしても、グラフでの分布は非常に広くなります。1回殴って期待値が出るかと言われれば、出るかもしれないし、出ないかもしれない。信頼性は無く、常にギャンブルといって差し支えないものになります。

相手の【回避ダイス】と関係がないカナシバリ・ジツはこうした低い信頼性というのは無縁です。ジツ2とニューロン7があれば97%で精神1のダメージを与えるのですから、これを当てにした戦略を立てやすくなります。

そして、これを3ニンジャで3回繰り返せば、そのターンに確定で精神3を削ることができるのです。

しかも、カナシバリ・ジツは『攻撃フェイズ』とは独立しています。これらの行動とは別に比較対象で出したような【体力】を削るためのギャンブルをすることができるのです。確実性の高い行動が1回増え、2回攻撃を備えているのと変わりません。
これほど強力な攻撃が基本ジツであり、拡張ジツ(★、★★)や任意取得スキルのような制限が無い、このジツに対抗できる専用スキルやジツも存在しない、というのも拍車をかけています。
現環境において、カナシバリ・ジツは単体でも他の基本ジツと比べても頭3つは飛び抜けて強力であり、もし私が効率的に勝つならどうするかと問われれば、何も考えずにまずは「カナシバリ」を選択する、と答えるでしょう。

個人的には、『サイバネプラグイン』を実装する中での、DHTLS公式での調整ミスではないかと推察しています。
プラグインルールによって【精神力】の補強があまりにも困難な状況を作り、より貴重なリソースとしてしまったことで(基本ルールでもブラックマンバなどで強さを見せつけていた)カナシバリ・ジツは強力さ、凶悪さを増してしまいました。
現状「カナシバリ・サンダンウチ」に対する対抗策は同じ「カナシバリ・サンダンウチ」しかない、というのがイクサ後に行われた感想戦での結論です。

トップメタの戦法が固定されることは、多様なチームを作って遊ぶことを目的としている、NINJA WARの本意ではないと思います。
このため、仮に今後私がNINJA WARを実施する場合、『チーム内で同じ「ジツ」を持つことを禁止する』といったルールを設けるでしょう。
(『チーム内での同一サイバネ禁止』などを策定した時にこれに気づくことができなかったのは、私の力不足と言わざるを得ません)

これでも、「チームの誰か一人がカナシバリを選択する」というのは避けられない可能性が高いでしょう。
「カナシバリ・ジツ」の大幅なナーフ、またはそもそも「カナシバリ・ジツ」を基本アーツとするのではなく、「ドク・ジツ」などを別のジツを基本アーツとしたうえで、カナシバリを拡張ジツとして組み替えるといった大きな変更が行われるべきだ、ということをここに意見表明したいと思います。

最後に

お忙しい中、プレイヤーとしてこの大会に参加いただいた、
hoprais=サン、ytti=サン、ぽにぽに=サン、ベルト=サン、Toui=サン、黒鷺あぐも=サン
誠にありがとうございました。
お見苦しい審判の光景をお見せしてしまい心苦しくありましたが、楽しいセッションとなり、思い出に残りましたら幸いです。
また、審判補佐として立候補してくださった古矢沢=サン、大変お世話になりました。至らぬところばかりの審判をサポートしていただき、大変助かりました。

そして観戦していただいた皆様、またTRPG著者のダイハードテイルズ、およびニンジャスレイヤー原作者ボンド&モーゼズ氏にも心からの感謝を表明し、ここに結びます。

皆様、ありがとうございました!参加者の皆様、オツカレサマドスエ!
ユウジョウ!

審判「ジャッジ・ニンジャ」:くりーむ

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追記

本記事を投稿後、公式Discordサーバーにて討議を行ったところ、
「現環境ならばアーチ級ニンジャを投入することで、カナシバリサンダンウチに対するメタを作り出せる可能性がある」ことが示唆されました。

カナシバリサンダンウチは上述の通り、少ない精神力に確実なダメージを与える点が強みでしたが、アーチ級であれば『★★★半神的存在』★★★共振装束生成』を用いることで高い精神力と体力を両立して相手の精神力削りの圧力を緩和し、有利状況を作り出す可能性があります。

このため、現在ではカナシバリの優位性は多少緩和された可能性があると言えるでしょう。アーチ級ニンジャ自体が出現しにくいという課題はありますが、PvPではルール採用するだけの話であり、また通常セッションではNPCは自由にアーチ級ニンジャとなれますので、これらを考慮すれば相対的にカナシバリの圧力は下がったのではないでしょうか。

なお、第2回NINJA WARの時点ではアーチ級ニンジャソウルのルールは示されていませんでしたので、当記事の考察は3月末時点までに発表されていたルールに基づくものであることをご承知おきください。

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