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十字路の真ん中に男が立っていた。 もう少しで太陽が沈んでしまう、とある日のことであった。 道の真ん中に、行く先を塞ぐようにして男が立っていた。 男は見るからに怪しい風体で、こちらに気付くと薄らと微笑んだがどうにもうさんくさく見えた。 「よう。そろそろ夜だが、どこへ行く気だい?」 どこへって、家に帰る以外にないだろう。素直にそう答える。 「そうか…。そうだよな。けどな、お前さんの家ってのは本当にこっちか?」 男は困ったように言う。優しそうな声色だが、どこか違和感があった。 「