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ばん馬の牧場見学を通して

太陽が照りつけているも爽やかな風、空は秋を感じる。
ある日、前々からしたいなと思っていた牧場見学をすることに。

今回、見学させてもらった牧場は2件。
1件目は2年連続で能力検査で1番時計を出している訓子府の岩渕さんの牧場。
ここではデビュー前の1歳馬や今年生まれてきた馬、繁殖牝馬、種牡馬と様々な馬を扱っている。
牧場見学ヘ行った日は訓子府町内の市営牧場に今年生まれてきた親子を放牧中とのことであり、1歳馬と種牡馬を中心にみせてもらうことができた。

早速、牧場に着きみせてもらったのは1歳馬たち。
岩渕さんと自分が視界に入ると駆け寄って挨拶をしてくれた。1歳馬の割にはとても大きく、人懐こい馬が多い。岩渕さんによると「普段みない人が来てるから、何かもらえるんじゃないか。て気になってるんだな。」と笑顔で話す。
ここで気になったことを岩渕さんにぶつけてみた。
1歳の割に馬体が大きいこと、能検検査で優秀な成績で合格できている秘訣はあるのか?
返ってきた答えは……「まず馬体が大きいのは小さい時からたくさん飼料を食べさせているからかな。とにかく食べないとお腹や尻も大きくなってこないから。能力検査に関しては競馬場に持っていく前に坂を使って練習するんだ。そしたら、2年連続で1番時計出ちゃったね。」
その「坂」であるがサムネイルの右奥にあるのが実際に使っているコースとのこと。
今年の2歳馬で残念ながら亡くなってしまったが2番時計を出したギンノカミカゼはこの坂で練習していた時からすごい脚を使っており、フクノカミカゼの子どもでやっと重賞が取れると期待していただけに………と残念そうな様子であった。
1歳馬たちをみた後は種牡馬をみせてもらった。
現在フクノカミカゼ、レットダイヤの2頭がいる。
ここ2年いずれも1番時計を出しているのはレットダイヤの産駒。(アルジャンノオー、グリフィス)
種牡馬2頭は牝馬をみるとうるさくなってしまう傾向があるため、少し離れたところにいる。しかしながら種牡馬ということもあり2頭とも風格がありとてもかっこよかった。

(上:レットダイヤ、下:フクノカミカゼ)

見学が終わった後は血統談義。見学が終わったと同時に岩渕さんの仲間と市内で生産者をしている久田さんが到着。自分を含め4人で話をすることができた。
オホーツクの方では当時の名種牡馬が多数いた。
二世ロッシーニ、楓朝(ふうちょう)、タカラコマなど。
後の大種牡馬となり池田町にいたマツノコトブキもオホーツク出身。
自分よりもだいぶ目上の3人は当時をこう振り返る。
「やっぱり二世ロッシーニの子やタカラコマの子はみんな走ってた。鉄鯉もかな。そこからはやっぱり、マツノコトブキやカゲイサム、キタノテンリュウの子たちも良かったかな。でもやっぱり、マツノコトブキ-二世ロッシーニの系統は別格かな。とにかく引っ張るから。、だからそういう血統を求めてウンカイなどを生産した帯広の三井さんはすごいと思うよ。」と話に華が開いた。

岩渕さんの牧場の次は一緒に話をしていた久田さんの牧場ヘ見学させてもらうことに。
久田さんは騎手でも調教師でも2000勝を達成された久田守調教師のご兄弟。北見市内でばん馬とサラブレッドの生産をしている。
ここでは主に親子と1歳馬をみせてもらった。
数年前まで現役だったダイヤピアスの子もいた。
まず、みせてもらったのは今年生まれてきた仔っこと母馬の親子。ここで衝撃の事実を知ることになる。
「ばんえい牧場で鼻曲がって生まれたマギーいたでしょ?この子も同じような感じなんだ。もっと言うと不適合症候群という母馬の乳をうまく飲むことができない病気なんだ。だから人の手でミルクをあげないといけない。生まれた時は死んでもおかしくないと思ったけどなんとか生かしてあげたかったから、こうやってあげてるんだ。」ととてもわかりやすく説明してくれた。

牧場で馬の紹介をしてくれた後は今のばんえい競馬のファンの今後の展望について真面目な話をしてくれた。
「正直、4市から帯広だけになった時くらいの苦しい時に比べたら今はファンも売り上げも上がったから良くなったと思う。ただ、血統を語れる人が全然いないのは残念に感じる。血統を知らないにしても馬の個体をみようとしている人も少ない。背が高い低い、胴が長い短い、毛の色から○○系かなとか。馬券のことしか頭にないような人が多い気がする。」と引き締まった表情で話される。 
これには自分も同感であった。自分もまだまだではあるが血統に関しては突き詰めている最中。
今後、ばんえい競馬の魅力を少しでも幅広くするためには、久田さんが話してくれたことは大事な要素だと感じる。そのためには見学をした自分自身もこうして行ったときに感じたリアルを発信していきたい。また、1人でも多くばんえい競馬、競馬に興味がなくてもばん馬に興味を持ってもらえると嬉しく思う。

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