閑話休題4 さようなら、 ジル……ありがとう♡

ある夏の昼下り

わたしはジルにマグロを与えた。

夕方、ジルは部屋の隅にうずくまって

動かなくなった。

異変を感じて、

近くのキャット専門動物病院へ

連れて行った。

「かなり腎臓が弱ってますね、

しばらく入院してください」

そんなに悪い?!

動揺しながらも、

ジルは大丈夫、

と根拠なく自分に言い聞かせていた。

何日か後、退院できた。

白い液薬を飲ませるように言われた。

その日は大学時代の友人二人を

うちに招待していた。

前からの約束で断れなかったんだね…

ただ病み上がりのジルのことが

気がきでなかったから、

彼女たちには申し訳ないことをした。

ジルがヨロヨロと

ベランダへ出て行った。

トイレかな、と思ったら、

2階から外の景色をまるで、

この世の見納めのように眺めていた。

後ろ姿はゆらゆらとカゲロウのように、

はかなく、ゆらゆら揺れて見えた、、、

このまま、空に消えてしまいそう、、

ジルの魂が徐々に、ジルから抜けていく……

わたしはそう感じた。

ジルの命のともしび、が

サイゴノチカラをふりしぼって、

燃え尽きようとしていた……

細い足でふるえながら、

必死に地面に立っている。

いつもなら、ジルちゃ〜〜んと、

呼びかけるんだが、

わたしはことばを失ったまま、

立ち尽くしていた。

わたしは友人に帰ってもらった。

また、ジルは入院した。

あいにくのお盆でわたしは

実家に帰った。

母や父がわたしを楽しみに

待っているから。

数日後、わたしは胸騒ぎを感じ、

病院に急いだ。

にゃあ〜〜〜ん!!

壁側を向いていたジルはわたしに

振り返って

一言、泣いた

さようなら、ありがとう

ジルはしずかに旅立っていった

泣き崩れるわたしに

先生は言った

ジルくんは、あなたを、お別れを

言うために待っていましたよ

わたしの涙は堰を切ったように、

止まらなかった

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