精神科医がみるVivy

昨年話題になった、アニメ『Vivy』。AIがどんどん発展していく中で、人間とどう共存していくかを考えさせられるアニメ。それと共に、こころってなんだろうということを問いかけていくアニメでもあります。

この物語のAIはそれぞれ使命を1つ持っていて、主人公の場合は、歌でみんなを幸せにすること。そのためには、”心をこめて歌うこと”と言われます。作中、何回も色んな人に心とは何か、心をこめるとはどうすれば良いのかを問います。

ある一人が、その答えをこう言います。

心というのは、単なる言葉遊びだよ。心とは感情だ、意識だ、魂だ。現状の科学で、断定は出来ない。ディーヴァ、君にとって心を込めるとはどういうことかな?

私も、心を科学で断定することは不可能だと思います。だからこそ、大切だとはわかりつつ、向き合うのが怖いと感じる人が多い。

スポーツメンタルをしていると、よく言われるんです。
「メンタルも可視化する時代だよね?」と。

大まかなことは出来ると思います。
たとえば、交感神経や副交感神経、脈拍数や呼吸数、アドレナリンやコルチゾールといったものの数値をはかって傾向をみること

しかし、確実に言えるのは、この数値が完璧!と言えるものは人それぞれでしょう。

少しくらいストレスがかかっていた方がいい人もいるし、ストレスフリーがいい人もいる。

そして仮に自分のいい状態が分かったとしても、試合の瞬間にそこにもっていく方法は、非科学的になると言わざるを得ません。

なので、私は心を科学的に評価することは、ほぼ不可能だと思っています。


人間はどうしても、目に見えるものにしようとします。
その方が安心するし、誰にでも伝わる結果、対価の価値を表現できるから。

でも、目に見えないものだからこそ、生きてる中で重要な役割を示すものって沢山あると思いませんか?


家族愛も恋愛も、友達との絆も、人の心遣いも、全部目に見えないし、人によって違うから、自分にあったものを見つけていく過程で自分にフィットしたものがでてくる。

心をこめる、の意味
わたしにとっては、誰かをおもってありがとうの気持ちを伝える、そういうことでは無いかな、と思います。

だからこそ、主人公は経験を積み重ね、色々な人と接する中で観客が増えた。

接し、人を思い、助けられ、ありがとうと思う。その人との思い出が出来る。

その中にこそ、心があり、目に見えない科学で説明できないものが生まれるのだと思います


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