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抗わずに受け入れる

看護師免許を取得してからずっと人工透析に携わっていますが、まだ仕事を始めたばかりの頃に病棟のお手伝いをしていた時の話です。

その日は寝たきりの認知症の男性のおむつ交換を一人で行っていました。今でも忘れない、もう就寝に近い時間だったので病室はダウンライトで薄暗い状態。結構体格のいい方でしたのでベッドサイドの左から右からと自ら移動しつつ、はたまた患者さんを右に左にゴロンゴロンと向いていただきもうすぐ完了と言うタイミングで私の方にゴロンと向いた瞬間「おっぱい」と言ってその方は私の胸をわしづかみに!!

咄嗟に手が出ましたね(笑) 「何するんですか!!」と患者さんの手をぴしゃりと払いのけました(笑) まだ20歳そこそこの乙女ですし、おまけに看護師なり立てで上手な対処の仕方など身についていない頃でしたから。病室に誰もいなくてよかったです。

その方が子どもに帰られたのか(私がお母さんに見えた)確信犯なのか(その時だけ急に頭がしっかりした)今となってはわかりませんが、認知症の方とのエピソードはこんなこともあります。看護や介護に携わる人はたくさんのエピソードをお持ちでしょう。

自分より強い、賢い、頼りになると思っていた親の変化。いつの間にか親と自分の立場が逆転していく。老いとはそういうものです。

「しっかりしてよ!!」と悲しくなるかもしれません。ですが、そうやって世代交代をしていくのですよね。静かに静かに受け入れていかねばならないことなのでしょう。

「抗わずに受け入れる」

けれど、たとえ立場が逆転しても、親は立派な一人の人間です。

歳をとって体力が衰えようと、いろいろなことを忘れてしまっても、一人の人間として尊重して接していただきたいです。

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