「キン肉マンという作品はめちゃくちゃ面白い」は感想かネタバレか


① まず、この「キン肉マン」という作品はめちゃくちゃ面白い。

② 知らない人に向けて説明すると、’80年代を中心に爆発的人気を誇ったバトル漫画だ。序盤のギャグテイストの強い展開から勧善懲悪的なヒーロー漫画を経て、中終盤では対等な関係性による兄弟対決を中心にしたシリアスなバトル展開を見せる。

③ 「作者の表現力(漫画の表現)」、そして「主人公の内外的な成熟」と「物語の構成自体の練度」の3要素が相互に紐づく形で「成長していく作品」として高い評価を受けていた。キャラクターデザイン自体も評判が良く、ゴム人形型消しゴム(キン消し)は「ビックリマンチョコ」などと同じく、「その時代を示す代表的なグッズ」の1つだ。

④ そして作品の人気自体も非常に長命だ。実は漫画の人気には短命になりやすいジャンルがあって時事ネタなどを取り扱いやすい「ギャグ漫画」はその最たるもので、「キン肉マン」もその要素が多分にある漫画なのだが、人間関係やキャラクターの掘り下げという不朽的な要素が中心になった中盤以降の安定性に守られている。
(序盤の「牛丼ネタ」などは主人公自身の性質を表現する上でも必要で中終盤でも多用されていたが、「話の軸とする」ような形にはなっていない。)

⑤ 「具体的な連載期間」と表現すると、少し珍しい流れになる。まず「1979年から1987年」までの「週刊少年ジャンプ」での連載が通常の「キン肉マン」の連載と表現するのは問題ない。

⑥ そして完全続編として1997年から「キン肉マンⅡ世」(2世)が「週刊プレイボーイ」で連載される。(プレイボーイは漫画雑誌ではなく男性誌なので掲載されている漫画は「たいようのマキバオー」や「彼女のカレラ」などと合わせ、2~3本であった。)「2世」は「2世」で普通に人気があった。「キン肉マン」の息子世代の話が中心なのだが、単純に同じ話を繰り返すような形ではなく敵味方の考え方をより現代的にして「関係性自体を多少簡易化」にしつつ、全体的に「スポーティ」な要素を強調することで読みやすい展開が続く。夕方アニメも計3期放送されており、「当該世代」は「キン肉マン」といえば「2世」のことという認識の人も少なくないだろう。

⑦ ただ「2世」は中盤から、少し認識に注意が必要な展開になっていく。「第二部」と称されて明確にそれまでと話が切り分けられることになった。「第二部」では「キン肉マン」たちのキャラクターも(若かりしころの全盛期の姿で!)多数登場する展開となり、これまで以上に複雑な関係性のなかで白熱したバトルが繰り広げられるようになった。
兄弟対決ならぬ親子対決も少なからず実現し、「2世」世代は「キン肉マン」への理解を深め、「キン肉マン」世代も「2世」に触れることになる作品となった。

⑧ 「2世」の連載は途中ウェブ連載へと移行(「2世」の人気低下云々ではなく、プレイボーイ自体の掲載内容の方針変換の結果のように思える。)、円満と称せる内容で完結した。
ただこの「2世」後半で再燃した「キン肉マン」世代たちの支持によって、2011年から同媒体で「キン肉マン」自体が「連載再開」するという流れが生まれた。(1987年に36巻発刊、短編を中心にした37巻が2010年に発刊され、2011年から38巻以降が続刊している。)
現在72巻。長さ的には「当時」と変わらないところまで来ている。

⑨ そして連載再開後の内容は、というと、めちゃくちゃ評判良い。「2世」の(特に前半の)勧善懲悪を中心にした2チームの展開はストレートに子どもたちに受けていたが、「キン肉マン」でも最も評判の高かった兄弟対決のくだりから「3つ巴」が強く意識されて表現された内容に戻り、「キン肉マンファンが求めたキン肉マンの”つづき”」として受けいれられている。漫画の表現自体も決して手癖や手抜きで描かれているものではなく、一筆入魂という表現が相応しい演出が毎週続いていて、「今が過去最高に面白い」と表現されるようになって数年が経過している。(それはつまりちゃんと面白くありつづけているということだ)

⑩ 特に先日から始まった新シリーズ3つ目の話はこれまでに敵や味方、あるいは第三勢力として登場してきた「含みのあるキャラクターたち」が勢ぞろいするような展開だ。
また、「過去虐げられたキャラクターの時期を空けての復権劇」も「2世」の頃から合間合間に挟んできていて、本編本軸の「熱い流れ」と同じくらい読者にカタルシスを与えてくれる場面があるのだが、今回もその展開を思わせてくれるような仕掛けがある。

⑪ この「復権劇」シリーズは、本編とは別に単独の読み切りでもいくつかある。特に一番評価が高いのは「ベンキマン」の話だと思う。良い話だ。ちなみに「ベンキマン」は2世、本編、外伝と3回の復権劇の機会を与えられていて、めちゃくちゃ優遇されている。36巻までのキン肉マンしか知らない人が思い浮かべる「え?ベンキマンって、あのベンキマン?」って感想は正しい。そのベンキマンだ。

⑫ ともあれ、繰り返しになるが「キン肉マン」はめちゃくちゃ面白いのでぜひ読んでほしい。


これで大体書き終わった。ここから本題だ。
僕が今書いた文章、「感想」だろうか。「ネタバレ」だろうか。
文脈ごとに番号を振っているので、1つずつ確認してみよう。

① キン肉マンは面白い
面白いって書いているのでこれは僕の主観の話だ。話の展開にも全くふれておらず、感情の振れ幅に関する気持ちだけを書いている。「感想」のうちの「気持ちの表現」だ。

② キン肉マンはこんな漫画だ
説明文だ。僕の感想ではない。話や構成についても触れている。程度はともかくとして、僕の気持ちが含まれていないので感想ではない。一部は明らかに展開に関わる表現もある。ネタバレだ。

③ キン肉マンは人気があった
ここはちょっと難しい。「人気があった」というのは主観的に客観的にも受け取れる。特に具体的な数字などを示していれば客観的だが、ここでは内容の在り方や受けた理屈の1つを僕なりに示しているに過ぎない。感想の要素も大きいだろう。現代における「感想」は必ずしも「個人の気持ち」のことだけではなく、「みんながどう受け止めたか」や「どう受け止めていたと思う」のようなものも感想という語彙に含まれていると感じている。この文章も感想だ。

④ どうして人気があるのか
前段よりも少しだけ具体的な内容に触れている。固有名詞も登場していて、「僕なりに考えるところ」でもあるけれど説明の要素の方が強い部分だ。ネタバレだ。

⑤ 連載期間
主観的な表現で珍しいという表現を使っているが、ほぼ客観的事実だ。ただ内容には全く触れていない。感想でもネタバレでもない。紹介だ。

⑥ 2世はどういう作品か
別作品かつ完結作の「2世」の話だ。どういう話なのかを多少なりとも書いている。
「過去作品のネタバレ」だ。(ちょっと注記が必要な項目だ。)

⑦ 2世の中盤以降
内容的な部分で、「キン肉マン」につながっていく説明をしている。過去作品のネタバレだが、現行作品のネタバレに通じる部分もある。なんにしろネタバレだ。

⑧ キン肉マンの連載再開
ほぼほぼ客観的な数字の話で、内容についても触っていない。感想でもネタバレでもない。紹介だ。

⑨ ここのところずっとめっちゃ評判良い
そこまで内容についてはふれていないが、どういう感想的評価を受けているかについてだ。主体は僕個人ではないようにしたが、「読者の感想」である点は間違いない。

⑩ 今やっている話もアツい
ちょっとだけ具体的にどんなアツさか書いた。書いてる本人は紹介のつもりだが、ネタバレの要素があるかないかで言えば、ある。特に勢ぞろいという表現は漏れなくという意味であり、そこまでを読んでいれば「どのあたりが候補なのか」は結構分かる。
復権劇についても、この三文字だけで多少なりとも話の構成が読み取れる単語だ。
紹介、というにはちょっと書きすぎているようにも思う。ネタバレだ。

⑪ ベンキマンの話
書きたいから付け加えたけど、まあまあネタバレだ。

⑫ キン肉マンは面白い
① と同じ文意で締めた。感想だ。

・感想:①③⑨⑫
・ネタバレ:②④⑥⑦⑩⑪
・紹介:⑤⑧

ネタバレとそうでない部分が、大体半々だ。
ネタバレの要素抜きで書き直してみよう。

① 「キン肉マン」という作品がめちゃくちゃ面白いので、紹介したい。

③‘80年代に人気を誇ったバトル漫画だ。作者の表現力や主人公の成長、物語そのものの深みが強まっていく要素がそれぞれ組み合わさり、高い評価を受けている。
キャラクターデザインの評価も高く、ゴム人形型消しゴム(キン消し)は当時の時代性を代表するほど人気のあったグッズの1つだ。

⑤⑧‘80年代と書いたが、漫画の連載期間という表現をするとちょっと珍しい流れになる。
「1979年から1987年までの1~36巻」と、続編の人気再燃などを理由に連載再開した「2011年から現在までの37巻~現72巻」の2つある。

⑨いわゆる「当時」という言い方をすると前半に当たるが、後半もめちゃくちゃ評判良い。
ファンが求めた「つづき」という形で受けいれられていて、表現も手抜きなく一筆入魂という形で描かれている。「今が過去最高に面白い」と表現されて、結構な年月が経っている。

⑬ お勧めの1作だ。

基本的にネタバレ部分の方が文章は厚いので、そこを丸々とると文章量は1/5くらいになった。
「僕の書きたいこと」という見方をすると、まあこちらは番号の通り半分くらいは書けている気もする。「作品や演出の瞬発力を求めている」のではなく「作品の寿命を延ばしたい」から、普及や周知はそこそこで良いから、そのくらいでおさめておいて、と作者に言われたら、じゃあそうしとこうかなって気になっている。時々半分より漏れることもあると思うけど、それで叱られたらごめんねって言うつもりでいる。

でも逆に言うと半分しか書けてないという表現も出来る。ここがまさしく「個人の感情」のところで、半分しか書けない!抑圧だ!法的処置は言い過ぎだ!と言う人は出てくる。
そりゃ出てくる。どうしても言いたいことが沢山ある人は、感情も露出しやすいのだ。
そういう意見が出ることに、黙っていろというつもりもあんまりない。

というのが今回のキン肉マンに対する気持ちの大体全てなんだけれど、「作品や演出の瞬発力を求めている作品」に関しては結構積極的に文章を厚くして紹介してきているし、今後も続ける。(多少のネタバレを含む形で。)公開期間が限定されている劇場公開作品とか。
「今日から俺は!」、人気のある原作エピソードをとても現代的な表現でまとめていて、面白かったよ。面白い映画あったら教えてね。じゃ!


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