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「百英雄伝」を100時間遊んだ感想

(Steamレビューに投稿したものを一部編集しました。)

100時間プレイ 2周+ミニゲーム等も完了
幻想水滸伝ファンとしてSteam版に関しては「おおむね求めていたもの」という感想となりました。
その上であらためて良いと感じた点と課題点、簡単なまとめ感想を挙げていきます。

・良いと感じた点

1「軽快なシナリオと一部現代的なブラッシュアップ」


取り扱われる紛争の規模に対しての全体的な"意図的な悲壮感の薄さ"に関しては最近ヘビーゲームに主流の「重厚なシナリオ」とは乖離した演出方法ですが、世界中の「ライトゲーマー層に向けたアプローチ」としては良い選択だったと感じました。

ポイントとして、中盤で「分不相応の立場を不意に得てしまった男の成長譚」の単独エピソードがあります。
ここでは明確に「反マッチョイズム」といえる「力ない者の理想」の思想・内容が男個人の性質として描かれつつも、全体としては普遍的かつ軽快な展開を優先とするという手法が採用されています。

シナリオ・キャラクター性のバランスを崩さない程度の影響に抑えられてこそいますが、この現代的ブラッシュアップともいえる反マッチョイズムの要素によって全体の軽快さは意図されたものだということが分かります。

2「入口も奥も幅広いゲーム・戦闘バランス」


(2~4は連続した内容です)

戦闘バランスについて"耐久キャラゲー"という感想も見受けられますが、実際には序盤・中盤・終盤・クリア後やりこみの4ステージで最適なステータスが異なります。

ボリューム帯になりやすい中~終盤にかけて耐久キャラの評価が高いのも事実ですが火力キャラとスキル(ルーン)の適切な組み合わせによってよりスムーズに進行もできます。

後述しますがスキル(ルーン)や戦闘手順のフォローがゲーム中に殆どないため装備だけで自己完結する耐久キャラの評価が上がりやすいように感じます。

クリア後やりこみステージに関しては現状把握しているだけでも実質30キャラくらいはプレイアブルであり、パーティ方針としても複数個存在しています。
その上で戦闘参加可能キャラ全員を順次(半強制)戦闘参加させるシステムも導入されており「全員と、かつ、好きなキャラと、いっしょに戦える」というモチーフに対してできるだけ真摯に向き合った結果のように見えます。

3「回復アイテムの重要性とストレージサイズの兼ね合いのバランス」


初ダンジョン進行のタイミングあたりからフィールド(仲間探しフェーズ・レベリングフェーズ)とダンジョン(探索フェーズ・ボスフェーズ)で
実質的にゲームジャンルが変わっている感覚を得やすいかと思います。

これはかなり言及されている「持ち歩けるアイテム総量の少なさ」と「ミニマップの不便さ」に起因するところで意図的にプレイヤーにストレスをかけるシステムとなっています。
体力管理(回復アイテムの持ち歩き量)の大切さを含め、ダンジョンは「いわゆるRPG」というよりも「ローグライク」系にプレイ感がかなり近いところです。
その目線で見たときには特に無駄に難易度が高かったりもせず素直な作りとなっています。

基本的にフィールドで詰まるパターンはないと思いますのでダンジョンの難易度やストレスをこれ以上フィールドに寄せると特にボス戦がかなり淡泊になることが予想されます。

4「初見で対応できる程度の高耐久高火力のボス戦」


最近遊んだタイトルだと「テイルズオブアライズ」もそうでしたが「普通に進めたときには回復アイテムをしっかり使ってなんとか倒せるボス戦」というバランスを強く意識したタイトルのひとつです。
とはいえ難易度ノーマル基準では基本的には初見で対応できる難易度・ギミックに収められており属性相克などの細かいところを把握していなくても進行できるようになっています。

個人的には「むずかしい」と感じるほどではなかったものの「楽勝」でもなかったので結果的には丁度良いかなと思っていますが、これは人によってどちらかの評価に偏るパターンもありそうです。

5「想像以上のボリューム感と時間浪費性」


(ローディングに支障のないSteam版での感想です。)
1周目は攻略情報をみないで50時間ほどかかりました。
クリア目的であれば詰まるところは少ないです。
(プレイヤー・進行順によっては数か所、「数時間詰まったが見当がつかない」パターンもありますが戦闘難易度ではなくフィールド側の話で、JRPGジャンルとしては許容量の数かなと感じています。)

2周目はミニゲーム・クリア後やりこみなどを含めて50時間の合計100時間で殆ど終了しました。
2周目は「1周目で取り逃した部分だけをピックアップする進行」も可能かつ、いわゆる「レアドロップ品を獲得することで進行するイベント」などへのドロップ率フォローなどもあり虚無感・作業感はなく、十分以上のボリュームかなと感じています。

イベントのほとんどが単独フラグなこともあり「おつかい」自体はかなり多いです。

※個人的には今作に関してはトゥルーエンドは要素の引き継ぎが出来る2周目で目指して1周目はノーマルエンドを見ることをお勧めします

6「幻想水滸伝要素のリファイン」


これは完全に幻想水滸伝ファンに向けての文節なので、そうでない方は無視してください。
基本的にメインで登場するキャラクターは(特に)幻水1・2のあのキャラのリメイク・リファインだな~と感じられるレベルで幻水であり特に幻水2です。
そのキャラたちがストーリーを進めるので当然シナリオもリメイクエピソードが多数登場します。

その上で、1でふれた「軽快なシナリオ」に準じて悲観的なエピソード・表現はかなり抑えられており前向きなスタンスを中心に物事に立ち向かっていきます。それらを含めて、遊んだ上でも「幻想水滸伝要素を明るく継いだ精神的後継作」という評価となっています。

後継されなかった要素ももちろん沢山ありますが「新作として表現するにはむずかしい時勢だろうな」と感じる部分が中心です。

7「新作かつ懐古的なアニメーションとフルボイス方針」


「オクトパストラベラー」が評価を得た「HD2D(2.5D)」チックなドット調3D表現を中心に通常戦闘と一騎打ちは繰り返しみても飽きないモーションの作りこみをしてくれています。
セリフ吹き出しにイラストを添付することで「2D」印象も強くしていて、
SFC~PS期の懐古的なJRPGを彷彿させることには明確に成功しています。

対して、「フリー枠で連れてきた仲間の場面ごとの相槌」や「劇場システム」にも適用されるほどのフルボイス仕様は現代的で、ゲームへの興味を持たせるという役割を強く発揮しています。
(「声なんか要らない」という層のプレイヤーたちのなかに「声があるから買わない」という人は少ないので、他の開発に負担をかけなければ、基本はボイスつけ得という気持ちです。)

特に「劇場システム」はそれだけで短編集の音声ドラマとして出せるくらい
声優たちが精力的に演技するので「遊ばなくても済むミニゲーム」くらいのポジションではもったないくらいのクオリティです。

8「同行枠の採用」


「シナリオ上必須キャラのパーティ編成の回避」という観点で、"同行はするけどパーティには入らない枠"が3枠用意されています。
特に中盤、主人公のノアよりも優先度の高くなりやすいキャラクターが6人以上登場することもあり「ノア今はどけておきたいんだけど…」みたいなジレンマが回避できるようになっています。
特定推しキャラだけで組んだ旅みたいのも再現しやすくなりました。
入れ替えパーティ制ゲームの盲点というか欠点のひとつの解決方法であり、良い試みだと感じた。

・課題と感じた点

1「ステータスUIが重くてゴチャついてる」


※ほぼSteamレビュワー全員が指摘してる部分でもあります。
移動速度や持ち物総量は機能解放のカタルシスを前提としている作りなので
好き嫌いが生じるのは仕方ないと思うが、ステータスUIのゴチャつき感「ホントになんで?」という部分があります。

戦闘外で回復魔法を使うパターンは本当に殆どないので(2周して1回しかない)装備等と同じレイヤーになくて良いですし、ステータスUIを開く理由のほとんどが薬草を使う・持ち物を整理する・装備を入れ替えるかだと思うのでアイテムと装備だけでもサクっと表示されてほしかった。

2「魅力的な敵(ルカ・ブライト)の不在」


幻想水滸伝2が評価されている大きな理由の一つに魅力的なかたき役「ルカ・ブライト」がいますが、それに該当・匹敵する敵キャラクターがいません。
※ライバルにして親友のセイが「ジョウイ」とは違う道を多く選ぶ点については、魅力を落とした面も新たな魅力を示している面も両方あります。

「魅力的な敵」は「軽快なシナリオ」と背反しやすいでの省略されたと思えるところ(ルカの言動があまりに現代的でない点もあると思いますが)ですが、一人だけでも登場すればより分かりやすく評価を挙げただろうにと感じてしまう点です。

3「勝敗の決したミニゲームの切り上げ終了ができない」


3戦2勝で勝敗が決するベーゴマの確定3戦や、指示をミスして敗北が決しても継続する模擬戦など「今これを続ける意味とは?」と感じさせる要素がミニゲーム側に集約されてしまっています。

特に模擬線は1ゲーム自体が単純に長いので負けて覚えるというやり方をすると時間比ストレスが強いですし、エッグフットレースは普遍的な可愛さがもう少しあったらもう少しハマれたかなと思います。
(可愛くないと思いつつも繰り返し遊べたくらいには楽しんではいます。)

4「自動行動設定が賢くない」


オフラインRPGとしてみても2006年の「ファイナルファンタジー12」で導入されたガンビットより自動行動設定が100倍くらいバカなので「おまかせ」は「アイテムもMPも使うな」設定で適度にSP攻撃or通常攻撃させる以外に殆どやりようがありません。

がんばって設定してみましたが、全く想定の挙動をしてくれないので途中から完全に諦めました。SP攻撃してくれるだけ随分マシだなという気持ちになっています。

5「ゲーム中のシステムフォローが薄い」


他のSteamレビューにおける批判要素のいくつかはここに起因していますが実装されているシステムを使いこなすにあたってゲーム中での説明がない・薄い点は否めません。(「ヘルプを読め」というスタンスを含めですが、「ヘルプ」にも洩れてる仕様もあります)

一部アイテム・ルーンで付与できる戦闘中バフ(「熱血」)などは内容併記であっても良いですし、魔法・ルーン技のダメージ/回復量を示す「小・中・大・特大」の基準なども不透明です。

必須級に読ませたいヘルプがあるときは(普遍的な解決策として)ヘルプNPCなどをおいて強調すると多くの人の目に留まりやすいと思います。

(イベントムービーの〇長押しスキップなどに一生気づかない人も見かけた)

・簡単なまとめ感想

「最初から1周プレイ前提で攻略情報を見ながらトゥルー狙い一本」だとトゥルールートの明るさにめちゃくちゃ「軽さ」を感じるシナリオになっていると思いますので1周目は詰まったところ以外の攻略情報は追わないくらいが良いです。
2周目は引き継ぎが優秀で取り逃し要素回収からのトゥルールート移行は簡単です。(レベル引き継ぎ+ザコエンカウント0要素も採用できます。)

自動行動は機能してません。元よりなかったものくらいに考え「アイテムとMPを使わない」設定にしてください。

「買って良かった」「遊んでほしい」と思っている作品ですが課題点があることも事実です。承知していただいた上でなるべくの回避策を取りつつ遊んでもらえれば、ベストかなと思います。
 

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