#51 見えない黄色。


もやもやして、眠れなくて。
寂しいのか、怖いのか、悲しいのか、お腹が空いたのか。感情はいつもめちゃくちゃだ。



最近はもう、何が楽しいのかよく分からない。
そりゃ楽しいんだけど、とても怖くて。
毎日身体が重くて、お腹を壊す。

私にはもっとたっぷりと時間が必要だ。



自分に自信が無い、の底にいる。
全然もう、何もいらないとさえ思えてくる。
怖い。誰からも必要とされなくても、誰からも見えないのは困る。でも、一旦誰からも見られたくないと思ってしまう。
触らなくていいから、一緒に下を向いてアイスを食べて欲しい。下を向いて会話を。目を見るには勇気が足りない。


久しぶりに美術館に行くことができた。
マルク•シャガール。

赤、青、緑、黄。

色が混ざる。混ざらない。
その様が、心や物語を表していた。


私が好きだったのは『ダフニスとクロエ』の作品達で、その中でも特に2枚の絵を気に入った。

椅子に座ってその絵をじっと眺めた。
頭の奥がその色で満たされて、柔らかで涼しげな風を感じた。

個人的には黄色がとてもポイントのような気がして、途中からは黄色に注視して巡った。見比べて、理由を考えて。でもそれを抜きにしても綺麗だ。


ずっとやりたかったことができてとても良かった。静かな空間で、頭から普段を抜き去り、じっと眺める。色鮮やかな瞑想。

そして、シャガールの詩がとても好きだった。
フランス語で嗜めないことに悔しさは覚えつつも。



夏をたくさん感じた。
美術館の周りは緑がとても綺麗で、いかにも暑さを掻き立てるような音がして、とても幸せ。

空いてもない、混んでもいないバス。
あまくてつめたい飲み物。
大好きなお寿司。

ずっと続いて欲しいような時間だった。
夏休み。
夏休みという概念にたとえ、「地獄」というタイトルが付いていたとしても私はきっと夏休みのことが好き。少しずつ取り戻しつつある匂いを吸い込んだら、小学生の頃に少しだけ戻ったようだった。



今私は、とてもモヤモヤしている。
好きだった。テレビ越しに眺めていた人の自死のニュース。

どうしてこんなことばかり。



人が生きていることに生物学的理由以外の意味なんてないと、分かってはいるはずなのに、苦しいほどに生きることの重さを感じてしまう。


今の私のこのモヤモヤをあの人に言ったら、一旦なんて返されるだろうか。


移り変わって午前8時。
ねむい。重い。

もう一度、昨日を過ごしたくなった。

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