戦場では不屈で屈強だった/FPS

FPSが大好きだ、とは言っても25年前ほどだろうか。《DOOM II》のシングルプレイ、オンラインプレイがFPSの初体験。正確には《Path way in to the Darkness》や、《ウルフェンシュタイン》などもやってはいた、しかし本格的にやりだしたのはやはり、DOOM IIだった。ハイローラーゲーマー/ライターの渋谷洋一のインタビューでの発言、「DOOMは音5割。」これは頷ける。DOOM IIがそういうものを求めていた私に合致し、丁度満たされた。

程なくして、Bungie社の《Marathon》に出会う。これは当初Macintosh専用ゲームだった。そして私はMacユーザーだったので、このFPSに「ジェネリック:DOOM」では無い事に大いに狂った。それからMarathonを通じ、あるパソコン通信の草の根BBS(東京BBS・Marathon掲示板)で出会った仲間と千葉のとあるアパートに週末5〜8名の仲間が2泊3日のスケジュールで集った。信じられないかもしれないが、30kg超えのブラウン管モニター、大きなデスクトップとキーボードや食べ物、着替えなどを台車に載せ、みんな電車で自宅のデスクトップ環境を持ち寄ってMarathon大会を毎月のように繰り広げた。何度も近所から騒音で警察を呼ばれたり、最後は眠気で全員意識を失うまで遊び尽くした。このチームで作った持ち寄り自作マップやチーム戦、類似するゲームの噂や攻略、信仰するBungie社の新作の噂を飽きずに良く話した。
特にBungieはこれだけ素晴らしいMarathonの4作目を出すに違いないと全員が願っていた。しかし出たのはリアルタイム・ストラテジーゲームの「Myth」だった。そして私は最初は大いに失望し、アクション性の高いFPSではなく、かったるい将棋くらいにしか見えなかったMythに価値を感じなかったし、この新作は当時私の持っていたPCでは重くてまともに動かない事に恨めしかった。

しかし、このBBS仲間の間でプレイしていくうちに人生を総崩れするほど、若き18歳から22歳の人生のすべてをこのMyth、MythIIに捧げてしまう程没頭してしまう。これは非常に長い話になるので、またとする。

Mythをやりながら年も取っていき私生活の環境も変化し、オンラインの仲間も減っていった。私も徐々に仕事や家庭を優先すべく、そもそもゲームをやらなくなっていた。
そんなある日、自分の仕事で入手したい商品価値の高いブツの一つが「Xbox360どのモデルでもいい」という条件付きでトレード掲示板にでていたのを発見する。それは商材集めの一環くらいで気軽に覗いたサイトだったが、どう考えてもXbox360の中古のほうが安い。私はすぐさまそれを入手し、投稿者と交渉、約束の物を入手した。問題はそのXbox360を発送する前に「壊れていたら悪いから動作確認しよう」と付属していた起動した「Halo3」なのだ。それはかつて魂と人生を掲げたBungie社の最新作であり、再び私がオンラインでの戦場へ復帰させるための突然現れた啓示だった。Xbox360を発送したあと、自分で360を買い直し、私はHalo3で仲間を作り、その後継ソフトの「Halo Reach」で没頭は頂点に達した。世界一、せめて日本一強くなりたいと何度も挫折を繰り返し、最後はまぁそれに近いかたちになったと思う。満足である。そう長い話だが、Haloの話ではない。その「お山(Halo)の大将の私」が何やら流行っている「Apex」でも挑んでみるかという話なのである。そして数ヶ月がたった今、毎日引退と挫折を味わいながら死に続けている。周りからは充分な上達曲線だの適当にフォローしてもらっているが、納得がいかない。あのHaloでの手のひらのうえに戦場があったかのような感触はなく、画面の向こうの子供に雑魚として処理されているのだ。そうかつて私がHaloで処理をしていたかのように。

というわけで、現在精進真っ最中。シーズン8から開始し、シーズン9直前までにようやく理解が深まったところ、先日からの配信の9で何となくのスランプに。思うに現在のApexのようなゲームは、腕だけではなく、「環境」の変化が早い。ゲーム内での行動決定の進行が非常に早いと感じる。かつての旧世代FPSは、いわば老人のゲートボールで1に対し1のアクションで応酬しているかのようなものだった。今は私のような老人にはハードルが高く、また「かつての栄光」などゴミとなり、年の差半分かのようなキルリーダーに着いていくのが精一杯。1年後私の腕はどうだろうか?
成長し戦場をコントロールできるようになるだろうか。少し自信が無いが今は兎に角修行だと考えている。

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