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[第017話]兎角この世は懲羹吹膾

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【懲羹吹膾】
読み:ちょうこうすいかい
意味:一度の失敗に懲りて、必要以上に用心深くなること。羹(=あつもの)は肉や野菜を煮た熱い汁で、膾(=なます)は冷たい肉の和物。一度熱いもので口を火傷した者は、それに懲りて冷たい膾でも吹いて食べるということで、「羹(あつもの)に懲りて膾(なます)を吹く」とも読みます。
(参考:日本漢字能力検定協会『漢検四字熟語辞典』)
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猫舌なので、膾をフーフーするタイプのこんにゃくです。
熱いものは冷まさないと全く食べられません。

人間、誰しも失敗はあります。
でも、本音で言えば失敗したくない。カッコ悪いところは見せたくない。
「あー、あいつなんかしくじったんだな」と勘づかれたくない。

生きていれば、自分で気づいているか否かは別として、誰しも何らかの誇りやプライド、矜持はあるのかなと思います。
「失敗」は、そのプライドを根底から覆していきます。

では、失敗しないようにするにはどうすればいいのか、と言えば、おそらくここは下準備を入念に行うとか、周囲の目から見て問題ないかチェックしてもらうとか、結局そういうことになるのかと思います。
ただ、その下準備もやり過ぎれば「石橋を叩いて壊しちゃう」ことになりかねません。
(「石橋を叩いて壊しちゃう」は、『名探偵コナン』の中で、ベルモットが黒の組織のボスの慎重すぎる性格を形容した台詞・・だったはずです)

私は、失敗をどちらかと言えば割と恐れるタイプ。
あまり新規性を求めるタイプではなく、できれば前例のないことはやらないで回避するか、リスクを必要以上に洗い出そうとする、なんというか・・あまり好奇心が旺盛なタイプではありません。
「今ここで話しかけたら迷惑かな」とか、「こんなこと聞いたら「自分で調べなさい」って言われるかな」とか、そういうことも割と気にしてしまうタイプです。話し終わったら話し終わったで、「さっきの話、真意伝わったかな」「ちゃんと補足した方がいいかな」「気分害してないかな」・・と、反省会が始まることも数(しばしば)。人生が杞憂だらけ。

だけどこういう性格って、「あまり気にしすぎることはないよ!」と周りに言われても、きっと一朝一夕には変わらないと思っています。「気にしないで!」と言われて「そっか!じゃあ私ももう気にしないよ!」とすぐに切り替えられる人は、そもそも「今ここで話しかけたら迷惑かな」とはあまり悩まないのではないか?という気もしますし・・
そういうことを考えると、失敗を恐れないで何でも挑戦できる人、そして挑戦を反省して次に繋げる気概のある人、こうした人の性格は本当に尊敬します。爪の垢を少しいただいて、煎じて飲みたいです。

冷めた羹もフーフー。冷たい膾もフーフー。
逆に考えれば、口を火傷するリスクは大いに減ります。
だったら、私のこういう性格も「失敗」を減らすための慎重さである・・と、明るい方向に捉えてみるのもアリかもしれません。自分の矜持は守れるわけですし。

とはいえ、やっぱり積極的なタイプ、社交的なタイプの人が羨ましく感じるときは大いにありますけどね。
今も、知人を集めて飲み会を企画しようかと考えていますが、いやでも皆さん忙しいから迷惑かもしれないな・・とかなり逡巡しています。

(2024/03/25)

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