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笑顔にさせてくれる子どもたちからの贈り物とは

所属/公立小学校勤務 H先生
取材/浜松学院大学 地域共創学科 3年 松下

私立ではなく公立を選んだわけ、なぜその道を?

中学受験戦争が騒がれる昨今、注目度も人気も高まっている私立小学校。しかし、Hさんは敢えて公立小学校の教員という道を選びました。
それはなぜか?「もともと、子供を支えられる仕事をしたいという思いで教師を目指していた私にとって、支援を必要としている児童は私立よりも公立の学校に多くいるのではと考えました」とHさん。選択して入学してくる私立の児童ではなく、様々な家庭を持つ児童が入学してくる公立小学校をHさんが選んだことはごく自然なことでした。
すべての子どもたちが等しく学べる場を通じて、一人の教師として、また子を持つ母として、本当の意味で支援していきたいという強い思いは、これからの教師生活の中で信念として残り続けていきます。


私たちは知らない⁉現代の小学校の変化

「先生」と言えば「授業」。そんな授業についてHさんは、一番重要な業務と捉えています。最近の小学校の授業ではタブレットの導入が進んでいます。「タブレットを使うには私たちが慣れなくてはいけない。タブレットの使い方を知っていなければいけないし、タブレットを使った授業ができないといけない」とHさん。私たちが小学生のときに無かったタブレットを使った重要な「授業」をこなすためには、タブレットを使いこなすことが現代の小学校教員として大切なことです。
最近の小学校はタブレットの他にも変わったことがあります。小学校の先生といえば、中学校や高校と違い全ての教科を担当するイメージですが、最近の小学校は「いろんな先生が一人の子にたくさん関われるように」と教科制の導入が進んでいます。多くの新しい取り組みに教員側が慣れていくことが、小学校の先生にとって大切なことかもしれません。


2度の大きな壁にぶつかったこと

教師生活の中で、大きな壁にぶつかったのは2度あります。
最初は1年目。学生生活から一変、研修など時間の流れがあまりにも早く、精神的にも肉体的にもついていくのに精一杯でした。正直、このまま続けていけるのか不安さえ覚えました。
そして2度目は産休・育休を明けて仕事に復帰したときです。久々に現場に戻り、感覚を想い出すまでに時間がかかったことに加え、家事、育児との両立は想像以上に大変でした。子どもと過ごす時間が1日に2時間ほどしかなくて、自分の子どもとまともに向き合えていないような人間が、果たして生徒たちと心から関わり合うことができるのかと、葛藤の日々でした。
ただ、周囲にも同じ経験をしてきた同期や先輩教師がたくさんいます。私の気持ちを理解してくれる同僚の言葉にどれだけ励まされたことか・・・。
そうでなければ、今こうして教壇に立っていることはなかったかもしれません。


先生になってよかったと思える忘れられないこと

小学校の先生になってよかったエピソードとして、いまだに忘れられないことがあります。それは、初めて担任を持ったときのこと。修了式の日に、生徒たちから「来年もまた先生のクラスがいい」と言われたことです。実は今でも当時の生徒とは手紙のやり取りが続いています。4年生のとき、担任をしていた彼女が就職活動のときに「大変な先生を助ける仕事に就きたいと考えている」という手紙をもらったときは本当に嬉しかったです。彼女は行政の面から先生を支えるため、社会福祉士になったそうです。
学校の先生だからこそ味わうことができる言葉「また先生のクラスがいい」それは小学校の先生になってよかったと、笑顔にさせてくれる子どもたちからの贈り物なのかもしれません。
(写真はすべてイメージ)

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