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最高裁判所裁判官国民審査

 衆議院議員総選挙が公示され、いよいよ選挙戦が始まりました。衆議院議員総選挙が行われるときには、最高裁判所裁判官の国民審査も一緒に行われます。 憲法は、79条2項で「最高裁判所の裁判官の任命は、その任命後初めて行われる衆議院議員総選挙の際国民の審査に付し、その後10年を経過した後初めて行われる衆議院議員総選挙の際更に審査に付し、その後も同様とする。」と規定し、79条3項では、「前項(79条2項)の場合において、投票者の多数が裁判官の罷免を可とするときは、その裁判官は罷免される。」と規定します。つまり、最高裁判所裁判官は任命後の初めての衆議院議員総選挙の際と、その後は10年経過後の衆議院議員総選挙の際に、国民審査に付され、投票者の過半数が罷免OKとした場合にはクビになります。

 最高裁判所の裁判官は、1名の最高裁判所長官と14名の最高裁判所判事で構成されています。最高裁判所判事は内閣が任命し、天皇が認証します。最高裁判所長官は内閣が指名し、天皇が任命します。このように最高裁判所の裁判官は合計15名です。そして、最高裁判所裁判官は、識見の高い、法律の素養がある40歳以上の者の中から任命するとされ、少なくとも10人以上は、高等裁判所長官、判事のいずれかもしくは両方の職に10年以上あった者、又は、①高等裁判所長官、②判事、③簡易裁判所判事、④検察官、⑤弁護士、⑥法律で規定する大学の法律学の教授又は助教授の職に通算20年以上あった者から任命されることになっています。

 ところで、最高裁判所裁判官国民審査は、憲法79条3項が「投票者の多数が罷免を可とするときは、その裁判官は罷免される」と規定するように、投票者の多数が裁判官について罷免を可とするか否かを問うものです。そのため、投票用紙は罷免してほしい裁判官に「×」をつけ、それ以外の場合には何も書かないことになっています。よく信任投票と間違えて、信任する裁判官に「〇」をつけ、信任しない裁判官(つまり罷免したい裁判官)に「×」をつける人がいるようですが、意味があるのは「×」だけなので、気をつけましょう。ちなみに今回の国民審査では、15名の最高裁判所裁判官のうち11名が国民審査の対象になるようです。最高裁判所裁判官の国民審査は、司法に民意を反映する重要な役割を果たすものなので、裁判官の経歴やかかわった裁判などを調べたうえで、クビにするのがいいか、クビにしない方がいいかを決めて投票することが大切です。

 

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