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「生きる力」を熊谷から世界へ

今回インタビューしたのは、ボランティアで教育活動を行っているAll Education Academy(以下、AEA)の代表である赤井由紀子さん。
参加者の子どもとその家族で熊谷を訪れた外国人観光客を案内する「おもてなしガイド」など、グローバルな視点での活動が魅力的だ。
先日行われたラグビーワールドカップ、2020年の東京オリンピックや小学校での英語教育の必修化など、グローバルな能力に大きな注目が集まっている今、ボランティア活動を通してグローバルな人材の育成を目指す赤井さんに、お話を伺ってみた。
(このインタビューはラグビーワールドカップが行われる前、2019年8月末に行っています。)

「All Education Academy」
「教育は社会を変える小さなプロジェクト」をコンセプトとして、2015年に活動をスタート。自ら考え、学び、解決していく力を育て、世界のどこでも生き抜く力を持つグローバルキッズの育成を行っている。日本を訪れる外国人観光客へボランティアでの「おもてなしガイド」やグローバル英語、プログラミング&ロボット教室など幅広く活動している。

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赤井由紀子さん
All Education Academy代表。20年以上教育に携わってきた経験と、世界中をバックパッカーで旅して養ってきたグローバルな視点を持つ。大きく変化していくこれからの時代を生きる子どもたちが「生きる力」を育めるように、様々な活動を展開している。

「自分で考える」ボランティア

◆AEAではどのようなボランティアを行っていますか?
 私たちは日本を訪れる外国人観光客の方へ、子どもたちとその家族で「おもてなしガイド」を行っています。先日行われた熊谷うちわ祭りでは、ジョージア大使館の方を招待し、熊谷の案内を行いました。また、9月に行われるラグビーワールドカップでも、おもてなしガイドとして案内を行います。子どもたちとそのご家族の方にとって、世界を広げられるいい経験になればいいなと思っています。

◆ラグビーワールドカップでの「おもてなしガイド」では、具体的にどのようなおもてなしをしますか?
 おもてなしの内容は、参加者に全て決めてもらっています。
まず、熊谷で試合が行われる3日間と、日本vs南アフリカが行われる1日の計4日間の中で、参加できる日程を「自分で」選んでもらいます。その後「自分らしいボランティアってなに?自分らしいおもてなしを考えよう。」という課題を、それぞれの子どもとご家族に「自分で」考えてもらいます。こちらがおもてなしの内容を決めるようなことは、一切しません。私たちが行うのは、考えてもらったおもてなしについてのアドバイスやサポートのみです。そして、ワールドカップ当日、熊谷駅に訪れた外国人観光客の方に、自分から声をかけ、自分なりのおもてなしをしてもらいます。
 この「自分で考える」ということがとても大切なんです。当日はたくさんの人と出会うでしょう。上手くいかないことやハプニングもあると思います。失敗することも、貴重な経験の一つです。失敗したらどうしたらいいかを家族で考えて、それをまた実行してみればいい。出会った人とのコミュニケーションとドキドキが、子どもとそのご家族にとって大きなマイルストーンになるんです。

英語を話すことより大切なこと

◆なぜ「自分で考える」ということをそこまで大切にしているんですか?
 「自分で考える」ことで、「生きる力」を身に着けることができると考えているからです。
 これからの時代はAI(人工知能)技術が大幅に発達して、今まで人間がやってきた仕事を、コンピューターが担うようになっていきます。そんな世界で生きていけるのは「自分で考える」ことができる人たちなんです。日本は世界と比べてとてもいい教育を、公教育で受けることができています。でも、考えることをもっとしていかないと、これから発展してくる世界の国々に後れを取っていってしまいます。逆に、受け身ではなく、自分で考えるような生き方ができる子どもたちは、どこでも生きていける。これは、私たち大人も含めて共通です。その力を、AEAの活動の中で備えさせてあげたい。英語が話せるかなんて、ほんとうはどうでもいい。英語はただのコミュニケーションの道具です。大切なのは語学ではなく「自分で考える」力をつけること。だからこそ、そんな体験ができる機会をたくさん用意しています。もし、AEAに参加してくれたら「生きる力」がつけられるように私たちは責任を持って関わっていきます。

困っている人を純粋に助けようとする、それが本当のボランティア

◆なぜ、ボランティアという形で活動をしているんですか?
 私のボランティアの出発点は、バックパッカーで世界中を旅していたことだったと思うんです。何か困ったことがあると、見ず知らずの町の人が助けてくれて、今まで生きてこられました。それが本当のボランティアなんだと思います。私がただ困っていたから、純粋に手を差し伸べてくれた。そのことに自然と感謝の気持ちが湧き出てきたときに、外国人の方々にも喜んでもらいたい、と思うようになりました。これがおもてなしガイドの原点なんです。
子どもたちにも、相手のことを思った活動を通して「ほんとうに喜んでくれた。」と思えるような経験をしてほしいです。子どもたちのおもてなしに対して、海外の方からメッセージが届くんですよ。「お金を払ったサービスはいくらでもある。でも、無償でこんなにも心から一生懸命おもてなしをしようとする姿に感動しました。」と言ってくれるんです。その子たちが一生を振り返った時に「子ども時代にあんなことがあったな。」っていうのが記憶に残ってくれること、そしてそれが次の世代に繋がっていってくれるととても嬉しいですね。

自ら考える力が、大きな価値を生む

◆最後になりますが、かりんの読者の皆さんに、メッセージをお願いします。
 変化が激しく忙しい今の時代には、他人や一般常識によって決められた、やらなければいけないことがたくさんある気がしています。しかし、受け身の姿勢でそれをやることに、どれだけの価値があるのでしょうか。決まっていないことをゼロから作っていくこと、そしてそれを自ら考えていく力が、これから大きな価値になっていくのではないかと思います。
人生は、時にはトントン拍子にはいかないこともあります。その中で自分で考えて問題を解決していく力があれば、幸せな生き方ができるようになっていくのではないでしょうか。ボランティアを通してそのことをより多くの人が体感できるように、これからも活動を続けていきます。

※コロナウイルスの影響により、現在の活動はZoomで行っています。
(2020年4月12日現在)

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