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【ワンコイン品質工学】コーティング剤の粘度安定性向上を読む

こんにちわ、熊野コミチです。
普段は製品開発に従事する傍ら、統計学のブログやyoutubeによる発信を行っています。

しかしながら、最近会社勤めで統計学を使っているかというと実はそれほど使っておらんのです。
理由は開発初期段階すぎるから。

私がいるような製造業において、統計学を使う場面といえば
・工程管理手法
・メカニズム分析
とかになってくるのですが、開発初期ではまずもって売れるレベルまで性能を発揮させるのが先。メカニズムを調べる暇もないのです。
その上実験室でのサンプルづくりという事で統計的な分析をするほどにデータ量が取れないという事情もあるわけです。
という事で、最近はもっぱら品質工学による機能性評価やパラメータ設計といった手法をメインで使っています。

これら機能性評価やパラメータ設計に関しては、以前youtubeチャンネルで解説を行っています。一部有料ですが無料部分だけでもある程度どんな手法化はご理解いただけると思います。

さて、今回このnoteではそんな品質工学の過去の事例を紹介させていただこうと思います。
というのも、品質工学は理論を学んで理屈は理解できても、そこから実戦で使用するのはもう一段ハードルがあるからです。
そのハードルを下げるには、機能性評価の実例に触れるのが一番。
そして、嬉しいことに品質工学会では過去の事例の論文が無料で閲覧できるのです。

ただ品質工学の論文は取り上げている分野は多岐に渡ります。正直どの論文を読めば自分の業務に役立つのか一見すると分かりづらい。

という事で、私のnoteではパラメータ設計の事例に絞って分かりやすく解説いたします。
おそらく一つ一つはアナタの実務とは関係ない事例でしょう。ですが、関係が無い事例でも機能性評価を考えるコツは共通しています。
色々と目を通して一緒に考えていくことで、あなたも自然と機能性評価を考えるコツを会得出来ると思います。

さて、今回は「品質工学によるコーディング剤の粘度安定性向上」という論文を紹介いたします。

論文ページ

https://www.jstage.jst.go.jp/article/qes/1/5/1_35/_pdf/-char/ja

品質工学の論文集のページ

長期間保管しても粘度が安定したコーティング剤を作ることを目的とした事例です。
コーティング剤は客先で塗ったり反応させたりして最終製品にするためのいわば材料。化学的に安定しすぎると客先で加工するにはエネルギーが掛かりすぎる。かといって反応しやすい(=化学的に不安定)と長期保管に向かない。

このように使いやすさと長期安定性はトレードオフの関係にあるのです。
そんな状況下でコーティング剤の安定性を検討したという事例なわけです。

ただちょっとこの事例、評価方法としてはいまいちなところがありまして、最終頁の審査員からもそこを突っ込まれています。

という事で、ここから先有料ページになるのですが事例を分かりやすく解説した後、熊野コミチならその問題点、動特性による評価方法の提案も紹介いたします。

品質工学で製品開発を行いたい。でもどうやったら自分のテーマを動特性で評価できるのかが分からない。

そんな方必見の内容です。

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