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私的お気に入りのシソンヌコント

小学生のころからお笑いが好きで、名前も知ってるしネタもいくつか観たことあるけど、何年かして急にその面白さのツボにはまってライブに行くほど、その芸人が好きになるということがある。

その一組がシソンヌだ。

2006年結成のコント師で、2014年のキングオブコントで優勝。そのときの私は高校1年生くらいで、賞レースはかかさず観ていたのだが、正直そこまでハマったという記憶はなかった。

そのときファイナルステージで披露したネタは、失恋した女性とタクシー運転手のちょっとドラマティックな話。今観ると何度でも笑うのだが、大人っぽい雰囲気がまだ若い自分の印象には残らなかったのかなとも思う。

20歳を過ぎたくらいに、なにかのきっかけでシソンヌのコントを観たとき、シソンヌってこんなに面白かったけ?!と急にハマりだした。そこから過去のライブDVDを少しずつ集め、今では全巻揃えたほどだ。

こういう人街にいるな〜というキャラクターから、独特な世界観、くだらなくも面白いこと、たまには風刺的なことも入れてくコントもあり、何より彼らの演技力でその世界に惹き込まれる数々のコントが毎回最高だ。多分幼い頃の自分にはわからない面白さもあり(テレビなどでよく出るキャラクターの中には子どもたちが笑いそうなものもある)、自分の成長さえ嬉しく感じられる。

ツアーで地元に来たときに行かなかったことを後悔したし、上京する目的の一つがシソンヌの公演を観に行くことにもなった。そして今年2021年の下北沢の劇場で行われた1ヶ月の公演の1公演だけチケットをとることができた!生でコントを観ることができる喜びを噛み締めた…

そこで、演劇関係者や多くの芸人、幅広い年代の人が観に来るシソンヌの公演DVDの中から、何回も観たくなる、特にお気に入りのコントをまとめた。(YouTube公式アカウントで観れるものも!)

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①ガソリンスタンド

★第1回公演、シソンヌライブ [une] より

じろうさんが演じるたくさんのおじさんの中でも、ポップで楽しいおじさん。何も考えずひたすら笑いたいときに観て欲しい。それに尽きる…

②インドカレー

★第2回公演、シソンヌライブ [deux] より

2人のカレー好きが高じてできたネタ?(日本テレビ『バゲット』より)らしいが、インドカレーの店の雰囲気がリアルだ。最初観る前は、じろうさん演じるインドカレー屋の店員の行動とかで笑いをとる形なのかなと思っていたが、まさかのこの店員がツッコミまくりで、予想を裏切られた。じろうさんツッコミのネタはなかなか観られないからそれも嬉しい。

長谷川さん演じるサラリーマンの彼も、ボケというよりはちょっと天然な感じで、悪気はない感じがまた良い。インド映画のあるあるも面白いし、なんだか楽しく温かい気持ちにもなれる。

③別れ

★第2回公演、シソンヌライブ [deux] より

これは本当に傑作だと思う…

妹を喪った悲しさと、まともでいられない兄の切なさと、笑いが一つになり、こんなに笑いながら泣くドラマのような作品はなかなか観られないと思う。この別れは、もし私が亡くなった側だったら、幸せに感じるだろう。

そして何より彼らの演技がすごすぎる。芸人以外の演技に関わる人もライブを観に来るということも納得する。

2作目のDVD [deux] は、キングオブコントで披露した「ラーメン屋」「タクシー」が観ることができる他、「インドカレー」を観て最後にこの感動的なコントと、DVDの中でも上位で好きかもしれない。DVDではこの葬式の帰り道まで観ることができる…!

④先生の本性

★第3回公演、シソンヌライブ [trois] より

シソンヌコントでもやは定番のキャラクターとなっている「野村くん」。野村くんは複雑な家庭環境にあり、中二病のような独特な考え方を持つ学生だ。多くの公演に出てくるが、その時系列はバラバラらしい(DVDオーディオコメンタリーより)。

「新展開だ!」「今日という日をここに刻む!」というワードセンスも最高。一見人とうまく関わるのが難しいタイプのように見えるが、自分の考えを突き通しながら先生や周りの人と関わっていき、成長してくような先が感じられる。

第4回公演[quatre]では、野村くんの家庭環境や心情を知ることができる。シリーズとして楽しい。

⑤俺の袋

★第4回公演、シソンヌライブ[quatre]より

友達同士の2人がコンビニでポテチを買って、家に帰ってきたときの話。一人が「俺の袋がない」といってひたすらに袋を探すという状況だ。

帰り道や玄関に入ったときを思い返しながら袋を探すのだが、それだけで面白い。

⑥てんぷら

★第5回公演、シソンヌライブ[cinq]より

長谷川さんが居酒屋で注文をするものの、店主も長谷川さんも気づかぬうちにオーダーが全部天ぷらになってしまっている、というこれまたシンプルな設定。

じろうさんの店主のおじさんも本当にいそうでリアルだ。ふたりともおかしな状況になっていることに気づいていなくて、観ている側がそれに気づいてクスクス笑っている感じもまた楽しい。

⑦Japanese Ojsan

★第6回公演、シソンヌライブ[six]より

長谷川さんはアメリカに旅行に行くが、どうしても日本が恋しくなり、日本のものをみつけるとそこに駆け寄ってしまう。しかしそれは罠だった!(そんな罠がどうやって作られたのかは置いといて…)

その罠を仕掛けたのはアメリカの少年で、どうやら「Japanese Ojisan」が大好きなようだ。アメリカに来たなら、日本のことを忘れて楽しんで欲しいという思いがある。

それは旅行の醍醐味を思い出させてくれる気がする。旅行は繰り返しの日常から抜け出してその時だけの非日常的な楽しさを感じさせてくれる。このおじさんがアメリカの少年に出会えたのは良い思い出になったのかどうかはともかく…

⑧飲み会のあと

★第8回公演、シソンヌライブ [huit] より

女社会とも言われる保育士・看護師として働く男性二人のリアルが見えて刺さった…毎晩どこかで繰り広げられてそうな愚痴かな…。2人の観察力って本当にすごいんだなと感じられる。

じろうさんのこぶしはクセになる(笑)

⑨お店

★第9回公演、シソンヌライブ [neuf]より

第9回公演は、2020年のコロナ禍で、配信もされていて、熊本から観ることができた。年々ネタ数が少なくなり、長尺コントが増えてきているが、ずっと飽きずに世界観に惹き込まれている。

コロナ禍の社会で生きる不安を真っ直ぐに伝えながらも、それをふっ飛ばしてくれるようなノリノリのコントから始まり、最後には互いを思いやるおじいさん2人の話でほっこりさせてくれる。こんなときだからこそ観てよかったと思える公演だった。

その中でのお気に入りが「お店」で、前回公演の「キッチンようこ」で出てくるようこさんというキャラクターが出てくる。

今メディアで良く観られる大食いチャレンジにフォーカスしていて、ようこさんの口癖「それってどうなのかな?」により、今まで普通に見ていたものの本質を色々と考えさせられた。

そしてクセになるようこさんのキャラクターが何回観ても笑える。野村くん同様新しい話が楽しみ。

⑩工事

★第10回公演、シソンヌライブ [dix]より

まだDVD化されていなくて、正式なタイトルは分からないが、再び登場の野村くんの話!

ことし東京に引っ越して始めて生で観られた公演でもある。

工事により自分の居場所がなくなってしまう野村くん。

工事現場の人と毎日関わって行くことで、また野村くんは少しずつ成長してくのだろうか…。

野村くんの居場所だった駐車場はスポーツセンターへとかわってしまうのだが、2021年夏、「これがスポーツの力か!」と嘆く野村くんの言葉は、そのときの私の気持ちが代弁されたようだ。スポーツ自体にではなく、今の社会に対する人の気持ちに通ずるものがあった。

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まだまだ好きなコントは多いがこれくらいで・・・

彼らがコントをし続ける限り、観続けて行きたいと思う。



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