2024.04.13 中山11R中山グランドジャンプ(J-GⅠ)

中山11R 中山グランドジャンプ(J-GⅠ) 4,250m(直・芝外)

◎マイネルグロン
○イロゴトシ
▲エコロデュエル
△ジューンベロシティ
△ニシノデイジー

マイネルグロン:石神深一騎手
テンが速くはないながらも道中で上げて行ける機動力があるし、前走・阪神SJは2kgもらいながら反応よく仕掛けて後続を完封したレース内容からも中山外回りコースへの不安はなく、陣営の自信も決して過度なものではないとわかる。イロゴトシとかエコロデュエルと同じ位置からの脚比べになると分からないが、時計勝負もできる馬でその辺はキッチリ手を打ってくる鞍上。敢えて懸念材料を挙げるとすれば、前走後に捻挫の影響で必ずしも順調には調整できなかった部分。自分のパフォーマンスが出せるかだけ。

イロゴトシ:黒岩悠騎手
昨年の当レースを制した後は夏負けの影響もあったようで、結局障害競走は6着に敗れた東京HJに出走したのみ。そこから更に半年ほど空けて平地のレースを叩きに充てて、この中間も速い時計はなくと昨年勢いで勝ち切った時とは異なる試行錯誤を感じる調整。ただ勝った昨年がコース適性の高さを窺わせる立ち回りではあったし、何よりも勝ちっぷりは馬場を差し引いても能力がなければ成しえない芸当。経験のあるコースなら出脚もある方なので、他の有力馬に比べれば位置取りも苦労しないはず。あとは地力の高さでどこまで。

エコロデュエル:小野寺祐太騎手
昨秋の京都JSを制してからは中山大障害3着→阪神SJ2着と成績が安定。ただ取り口自体はじっくり構えて終い勝負という大枠が変わってはいないのが実情で、飛越も雑さが目立つ。その末脚は強烈ながら、器用さもあるマイネルグロンに対して一本槍で仕留め切れるかは?主戦の負傷で意図しない形の乗り替わりがどう転ぶか。

ジューンベロシティ:森一馬騎手
昨年の中山GJでは道悪もあって直線だけ脚を使う競馬になったが、その我慢も甲斐もあってか素質が開花し重賞を連勝。特に純粋にスピード勝負になる条件では滅法強い印象で、阪神JSでホッコーメヴィウスを可愛がって突き抜けたレース振りからも無理に溜めるよりは馬自身の巡航スピードで走らせた方が強みが活きる。2走前の中山大障害も仕掛け遅れの形で最後まで伸びているように単純なスタミナで不安はないなら流れに乗せる位置取りでもう一段上の着順も遠くはないはず。操作性の高い馬ではないから今回乗り替わりの森Jで新味が出るとは思わないが、ペース配分の上手さを表現してほしい。

ニシノデイジー:五十嵐雄祐騎手
中山大障害では2年続けて好走できて、昨年の中山GJも結果的には崩れたが勝負どころまで見せ場はあるレース内容だったからコース適性は疑わない。ただここまでのレースを見る限り速い上りは使えておらず、早めに取ったリードを活かして着順に繋げるというスタミナタイプ。前哨戦で消耗を抑える為に慎重な競馬に終始したことも頷けるところで、2走前の中山大障害でマイネルグロンに捲られたところを踏まえると飛び出すタイミングを工夫して一矢報いたいところ。ただスタミナよりも後半のスピードが求められる舞台ゆえ、速い上りのないこの馬にとって暮れの方が分がありそうで。

暮れの中山大障害と同じく大障害コースを使用するものの、最後の半周が芝の外回りコースを使用することで終盤のペースアップに備えて余力を残しておかなければならない。地力勝負になりやすい舞台なので、位置取りで勝負したい馬はどうしても割を食う。
「ハナには拘らない」というビレッジイーグルだが前にはつけたいはずで、逃げてレースを組み立てられる馬も見当たらないので道中はマイペースで行けるはず。この馬に関してはニシノデイジーが動いたところで惑わされず、自分のタイミングで仕掛けられるかどうかに尽きるので、その辺を踏まえた上記のコメントということになるのでは。ということでやはり大生垣を迎える辺りの動きから流れが変わってきそう。デイジーが動かなければマイネルグロンが先手を打つパターンも考えられ、これを見ながら上りが使える馬での上位争いとみる。

マイネルグロンは上記したように選択肢が多く、機動力の高さからも安定度で抜けている。前はニシノデイジーに出し抜けだけ喰らわないようにマークすれば良く、あとは終いで逆転の可能性がありそうなイロゴトシとエコロデュエルをどう捌くかで、この辺は相手の出来次第の部分もある。鞍上含めポカの考えにくいタイプなので、ここを中心視するほかない。
イロゴトシは勝った昨年のレース振りを見れば地力の高さは明らか。前年覇者ながら、ここ1年順調に使えなかったことからも相手を絞って立ち回れる楽な立場。位置取りで苦労しない障害センスで、決め手も強烈となれば逆転候補筆頭はこの馬。
エコロデュエルも終いは上位。ただイロゴトシと違ってこちらは飛越が拙く器用さには欠く。阪神JSでは速い流れを急かして凡走もあったので、テン乗りでも強気な騎乗をする小野寺Jは劇薬となりそう。とはいえ短い間隔で大幅な良化は?
ジューンベロシティはここ3戦は慎重な競馬が仇となっている感。本来飛越で前に出してあげたい馬なので、その辺のリズムを考えて乗りそうな森Jなら位置取りは前寄りになるはず。とはいえ前述したように飛越のスピードを活かしていきたいので距離が長くてバンケットも挟まるこの舞台が合うとは言い難い。当然勝ちを狙ってくると思うが、状況を考えて割り切った乗り方に切り替えられる鞍上なのでその辺を考慮しての押さえ。
ニシノデイジーは大障害コースでは安定していて昨年も苦手の道悪に泣きながらも見せ場はあった。とはいえ上りでは勝負できず、出し抜く戦法となればマークは避けられず。他馬にも不安材料はあるというのも加味しての消極的な押さえ。

「障害競走」でかつ日本で施行される競馬の「最長距離」ということで人馬の無事が強調されるのですが、それはどのカテゴリーでもどのフィールドでもどの人馬にでも当てはまることで、それを特に強く感じるこの一週間でした。
中山グランドジャンプは障害競走で最も格の高いレースの一つ。ただただ全人馬が力を出し切って良いレースになることを願っています。

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