アルプススタンドのはしの方 感想
2019.6.15(sat)
私には演劇部の後輩がいて、その子が当時大会で観た作品。
そもそも前評判がとても良かった。
「壮馬くんもいいけれど、高校生がやるからこそ良いような気もする」と言っていたような気がする。
大まかなあらすじだけを頭に入れて豪雨の浅草九劇へ。
迷子になりました。
元々青春群像劇が好きな私は絶対に好きな作品なんだろうなと思っていましたが、まさしくドンピシャで舞台を観ながら久しぶりに泣きました。
高校生のリアルな空気感。
私の心はいまだに高校生なのですが、時というものは残酷なので今年で21歳。
とにかくもう高校時代が懐かしくて。
やましい気持ちはなく、男子高校生の友達が欲しくなりました。
どうして私はもう女子高校生じゃないんだろうなぁ……と悲しくなりました。
男子高校生ってすごくいいなぁ……。
インフルエンザで大会に出れなかった演劇部の女の子2人と、エースのピッチャーがいる限り自分は試合には出られないと察して部活を辞めた元野球部の男の子と、人とうまく話せなくて友達がいない成績優秀な女の子と、熱すぎる新任の教師の5人だけしか舞台上にはいません。
本当にただアルプススタンドのはしの方で野球を見ているだけです。
BGMは吹奏楽部の演奏がずっと聞こえ、ボールが打たれた音、歓声、自分が高校生のときに野球応援に行ったことがまるで昨日のことのように思い出せるくらいに、甲子園の空気がそこにありました。
まあ私が行ったのは地区予選でしたけど。
今までワンシチュエーション会話劇を観たことは多分なかったのですが、本当に野球を見ながらただ話すだけ。
なんで部活を辞めたのか。
ピッチャーの園田君の話。
園田君と吹奏楽部の部長付き合ってるんだって。
そういえばこの前の試験でついに宮下さんが負けたんだって。
今までずっと1位だったけど、2位になってどう思ってるんだろうね。
演劇部は大会にどうして出れなかったの?
矢野って野球が本当に下手クソなんだよ。
あいつはずっと試合に出れないままベンチにいるんだよ。
それでもずっと練習してるのがムカつくんだよ。
きっとこの子たちは同じ学校で名前は知っているけれども、そこまで仲のいい友達でもなんでもない集まりなんですよ。
そこまで詳しくない友達の噂などでも盛り上がれる年代が高校生なんです。
きっと今日という日にみんなで一緒に野球を応援しなかったら、同じ学校内でも関わることはなかったんだろうなと思えるような少し希薄な感じ、でも高校生って共通の話題や共通の知り合いがいると案外一瞬で距離を詰められるんですよ。
はぁ~~~~本当に高校生に戻りたい。
インフルエンザで大会に出れなかったことを「しょうがない」と言って前を向こうとするけれども、当の本人は責任を感じているので「しょうがない」では済ませられない。
自分よりもうまいピッチャーがいるから自分は試合には出られないけれども、実力差はしょうがないから諦めて部活を辞めた。
園田君のことが好きだけど、園田君は吹奏楽部の部長と付き合っているというもうどうしようもない「しょうがない」事実。
うちの高校は野球が強くないから負けている「しょうがない」現実。
園田君も疲れてきているから打たれてしまう。
しょうがない。
でもなにも「しょうがない」ことなんてない。
どうして応援している私たちが先に諦めてしまうの?
マウンドで誰よりも怖いのは園田君なのに、どうして声を届かせようとしないのか。
誰かを心の底から応援することによって、4人で声を合わせて応援することによって自分の中で何かが変わっていく、そんなお話でした。
いや~~~~~~~本当によかった。
泣きましたね。
笑えるポイントもたくさんあるのに、自然と涙が出てくるんです。
先生もいい味を出していて、最初は本当にうるさいだけだったんですよ。
自分の学校にああいう先生がいたら本当に無理だろうなって思うくらいに。
でも先生は新しい環境で自分にできることを精一杯している。
それが伝わってくると、なんとも嫌いにはなれない存在になるんですよね。
夏の甲子園という魔法のような場所だったからこそ、あの独特の熱さがあったんでしょうね。
エモい。
エモいなぁ。
最後に当時の高校生の演じた映像が流れるんですよ。
エモ~~~~~!!!!!!
そして映画化おめでとう!
でもただアルプススタンドのはしの方で話してるだけだからこそいいような気がするので、映像になって一体どうなるのかは全く分からないですね。
舞台のままがよかったなぁって思いたくはないですね。
でも映画も楽しみにしています!
ちなみにパンフレットで壮馬くんは「野球応援といえばライディーン」と言っていましたが、ライディーンは私もやらされたので記憶に印象に残っています。
わっしょーい!!って踊り続けました。
私は友達に半ば強引に誘われて嫌々明治神宮の球場に行きました。
高校3年の夏なので今から3年前。
野球部にそれほど親しい友達がいるわけでもなく、どうせ勝てるわけがないのに、どうしてこんな暑いのに野球の応援なんかしなきゃいけないんだ、私は夕方から塾の夏期講習があるんだぞ、とふてくされていたものの、やっぱり楽しかったです。
たとえ地区予選だったとしても、甲子園には不思議な力があるなと思いました。
そんな夏の青春を思い出させてくれた舞台でした。
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