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サラリーマン7 ネクタイと二つ返事が首絞める 感想

2019.7.26(Fri)/7.27(Sat)

この世には2種類の人間がいる。搾取される側の人間か、搾取する側の人間か。
この感想は搾取される側の人間(東京都/大学生/20歳)の笑いと涙と陰鬱なゼミのトラウマに包まれた感想である。

脚本・演出たかせしゅうほう
この時点でとんでもないレベルでこの舞台は当たり、そう確信したのは私だけではないでしょう。
きっとACTORS FRESHの時限ドラマでたかせ監督に出会ったオタクはそう思っていたはずです。
そしてたかせ監督が株元くんと仕事をしていることに無上の喜びを感じていました。
なんというか……自分の子供が頭のいい子と友達になって、お互い成長しているのを微笑ましく見ているような錯覚。
年上に向かってド失礼だな。

キャストにも芸人さんが多いので、あ~これはコメディなんだろうなと思っていました。
でもタイトルだけ見ると、上司の軋轢とか色んなものと戦っているサラリーマンの話だとしか思えない、それって笑える話?
本当に首は絞められているのか?
その謎は最後に解けます。
それにしても神保町は本当にカレーのお店が多いな。
道歩いているとカレーの匂いしかしない。

今回はチケットは3枚当たったものの、26日のソワレを学校帰りに観に行って、27日にマチソワで観に行って、次の日にみぞたくの写真集イベントに行くほどの体力は自分に無いと判断したため、フットワークの軽い株元くんの声オタ(付き合い6年目のネットの友達)に27日のソワレのチケットを譲りました。
LOOSERにも付いてきてくれ、流れで劇プレの本公演にも行ってくれる優しい友達。
忍成修吾くんのことが好きなので、顔の系統は株元くんと似ているね(本人が似てるって言ってたから)。
その子もとっても楽しんでくれていたみたいで、DVDを出してほしいと懇願していたけれども、彼女は人生に疲れてTwitterもインスタグラムも削除した人間なので、感想を世に出すことはできないのだった。

サラリーマン7はさっくり言うと、ゆとりの新人が入社してから難攻不落だったホテルの社長を攻略するまでの話。
私は完全に彼が主人公だと思ったし、彼が主人公として相応しい物語だったんじゃないか、とも思います。
まあそこは人の感じ方だね。
物語の進行はチョウレイ、エイギョウ1、ゲンゴウ、ザンギョウ、スピーチ、エイギョウ2といういくつかの話からなるオムニバス形式みたいなものでした。
短く端的に伏線が回収がされていくストーリーは、時限ドラマのことを思い出さざるを得ない。
時限ドラマの経験、ACTORS FRESHの経験が監督にとっても俳優にとっても、みんなにとっていい経験としてスキルを培う場になっていたのなら、それはとても嬉しいです(突然の母親目線)。
新人として配属された初日から遅刻やら連絡不備やら色々問題は起きます。
それでも様々なこと(常識的なこととは言っていない)を学んでいき、成長していく話。
たかせ監督らしい伏線の回収の仕方と、最後の物語の収拾のつけ方に興奮しました。
「そんな台詞、そんな展開、なんだこの始まり方って思っていたものが全部回収されちゃうんですか!?!?!?すごい!!!!!オワーーーッ!」と叫びたくなるような結末、最高でした……。
そうそう、これにお金を払いに来たのよ……って4000円は安すぎる。
自分の推しのスーツ姿がどれほどかっこよかったについては永遠に話せてしまうので、割愛します。
どれくらい似合っているかというと、櫻井翔のスーツ姿を見るためにnews zeroの月曜日を毎週録画している私が興奮するくらいです。

さて絶えず笑いが起こっている本編、本当にとても楽しかったです。
しかし、私は一部どうしても笑えない部分がありました。
サラリーマン7の私の感想は、主にこの部分が重りとなっているのです。
サボリーマン、コマリーマン、ゴマスリーマン、サトリーマン、ヒスリーマン、コダワリーマン、ユトリーマンという7人の企業戦士はそれぞれに人間としての問題を抱えています。(とはいえ全員が全員ヤバイ人間ではない)
サラリーマン7以外の会社の人たちも。
どこか自分の身の回りにいるような、フィクションとノンフィクションの間くらいの人間たち。
きっとそれはたかせ監督が実際にサラリーマンを経験していた過去があるからこそのキャラクターたちなのでしょう。
でもそれをフィクションだと思えなかったら。
私はこの罠に引っかかってしまいました。
この会社には自分がこの先絶対に関わりたくないタイプの人間しかいない。
それがあまりにも怖すぎて、一部笑うことが出来ませんでした。
キャパシティが狭すぎる人、情報の伝達が全くできない人、全然話を理解してくれない人、話を聞いてくれない人、全て適当に終わらせようとする人。
自分が今までグループワークやグループプレゼンテーション、ミーティングやゼミで出会ってきた人たちのことが鮮明に思い出される……。
ぐにゃあ……(賭博黙示録カイジ)。
観る前に「これはフィクションの話、自分の話ではない、コバト飲料という空想上の会社の空想上の人間の物語なんだ」って自分に言い聞かせていたらまた感じ方は変わったのかもしれません。
観終わったあとの率直な感想は、絶対こんな人たちと働きたくないよ~~~~!!!!!絶対にこんな会社に就職したくないよ~~~!!!!!こんなに人間として能力がなくても就職できるなら私はインターンシップとかもう行きたくないよ~~~~ぐにゃあ~~~~~(賭博黙示録カイジ)
でした。
そう思ったのは私だけだったのでしょうか。
コバト飲料では働けないな……と思った人はきっとたくさんいると思いますが、私ほど涙をのんだ人間はいないのでは???むしろなんで私だけこんな精神的に疲れてしまった????
友達にこの話をすると、みんな「あゆりんは真面目なんだよ」と言ってきました。
なるほど、首を絞められていたのは私だったのか。

サラリーマン7についての株元くんのツイートで、『「学生ですけど大丈夫ですか!?」全然大丈夫です』というような内容のものがありました。
私も学生ですが、そんな「学生がサラリーマンの舞台観て楽しめますか!?」なんて思うかね~~ハッハッハとか何も考えていませんでした。
社会人あるあるとかそういうネタの分類があるから社会人じゃないと笑えないんじゃないかっていうことなんですね。
正直2回観た今でも社会人あるあるが一体どこだったのか全く分からないんですけど、そもそもあったのか無かったのかすら分からないんですけど、まあ私はそれで楽しめているからいいのですよ。
問題はそこじゃないところにあるのです。
学生だからこそ、「こんな企業に就職して搾取される人間になるのか?こんな社会の歯車になるの?マジで言ってる?」っていう絶望で笑えませんでした。
最初にも言いましたが、この世に存在している搾取される側の人間と搾取する側の人間。
カーテンコールで皆さん言っていましたが、企業就職の経験のない芸人さんや俳優の皆さんはきっと搾取される側の人間ではありません。
まあ搾取という言葉の捉え方によっては違う意見もあるかと思いますが。
それで言ったらまだ就職をしていない私だって搾取される側の人間じゃないはずなんですよ。
でも思い出されるのは今までの学校でのグループワークで率先してリーダーを務めている私。
LINEの返事は来ないわ、連絡は遅いわ、参加しないわ、遅刻するわ、欠席するわ、原稿考えてこないわ、そういった人たちの手助けをしている私。
いつも「この人たちは社会に出てから困ればいいんだ……!私だけこうやってスキルアップしていい成績もぎ取っていくから、将来痛い目をみろ!!」とばかり思っていましたが、十分搾取される側の人間なんですよそんなの。
仕事のできない人間、仕事をしない人間の代わりになにかを成し遂げようとしていた私は搾取される側の人間だったのです。
会社で辛く働いているはずのフォロワーが元気に帰っていくのを見ては、なんで学生の私が胸を痛めているんだよ、と少し理不尽にも感じました。
でもそれは舞台をちゃんとフィクションだって割りきって観ている人だからなんですよ。
今回の反省点、舞台をフィクションだと思えなかった。
というかフィクションの物語にトラウマを引っ張り出されてダメージを勝手に受けてしまった、ですね。

みんなDVDが出てほしいって言っていますが、私もそう思います。
何回でも見たいですし、たくさん笑いたいですし、スーツがめちゃくちゃ似合う推しの姿を形にしたいし、あのパズルのピースがかっちりとハマるような終わり方を何度も味わいたい。
でもこの舞台のDVDを深夜1時とかに見たら、絶対死にたくなるんだろうなって思います。
あの地獄のようなゼミには絶対に戻りたくないって泣くのでしょう。
ゼミの悪口の話になるとそれだけで2000文字くらいになるのでしませんが、小学校低学年レベルのことが問題として取りざたされるようなゼミなのです。
小学校低学年のほうがましだわ。
でも私はこのサラリーマン7という演劇がとても大好きです。
たくさん笑って、たくさん笑顔になれました。
でも心が疲れている状態で舞台を観るとこんなことになるんですね。
でもそれは個人的な問題なので、こんな根暗ド陰キャ腐れナメクジの感想はなかったことにしてください。
今度からは気をつけます。
フィクションはフィクション、自分の世界は自分の世界。
カーテンコールは本当になにも考えないで笑えたので、今度あのメンバーでトークショーとかやってください。

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