バイトの日

バイト。
僕はコンビニでバイトをしている。
コンビニバイトはいい。

何がいいって客が多いのがいい。
いろんなお客さんがいて退屈しない。
東京なのに関西弁の人がいたり、
郵便物の宛先が長崎の知ってる街だったり、
流暢な日本語の外国人が来たり、
感情が揺さぶられまくる。面白い。

もちろん、いい方の揺さぶりだけではない。
悲しいこともある。
・小銭を投げてくるお客さん
・ありがとうを返してくれないお客さん
・レシートをもらって置いていくお客さん
エトセトラエトセトラ…

まぁ、これは小さなことで
その後に優しいお客さんが来たら
僕はハッピーになれる。
非常に単純である。

しかし、今日結構大きな揺さぶりがあった。
お父さん?
お兄さん?が子供たちを大勢連れてきた。

おそらく親戚の集まりか何かだろう。
会話の内容を聞いてたら
👦🏻「これにする!」
👧🏻「私これ!!」
🧑🏻「こらこら、1人ひとつまでだよ。みんなの好きなもの持ち寄ってパーティするんだから」

これにはホッコリ。
可愛すぎるだろ。なんだその企画。最高かよ。
おじさんも混ぜてくれないか?

頼む、この子達のレジを打たせてくれないか。
年末年始に田舎に帰れなかった男を癒してくれ。

祈りは通じ、その子達はレジに来た。

それぞれ思い思いのお菓子のバーコードを読み取るとそれをすぐさま手に取り、
子供たちは店外にかけていく。
お礼も無しに。まぁ、それでいいじゃないか。
子供らしくて大いに結構。

最後の小さな女の子はじゅーすを持っていた。飲みかけの。
流石にそれをレジに通そうとするほど
僕は馬鹿じゃない。

すると女の子。
👧🏻「これは違うよ。万引きじゃないの。」
ウフフ、分かってるよ。お兄さん疑ってないよ
それにしても「万引き」なんて言葉どこで覚えたんだ?



👧🏻「万引きなんてしないよ!これはね。ピピピで買ったの!」
ピピピってなんだ?可愛いな。



🧑🏻「ピピピって。自販機な。」
お兄さん解説ありがとう。
自販機がピピピか、マイナスイオンでてんな。
ダイドーかな?ルーレット付きの。
そりゃたしかにピピピだ。


すると女の子、目を潤わせながら
👧🏻「万引きなんてしてないよ!」
おいおい、そこまで疑ってないよ。
逆に怪しくなるよ。そこまで否定したら。

気の利いた言葉も見つからなかったので
ふふふふふと笑った。

👧🏻「万引きなんてしてないんだもん!!」
おいおい!!!!疑ってねぇって!!!!!
するとお兄さんに睨まれた。
マジで疑ってねぇってさ。

結局、変なムードになり、
ありがとうをいただけなかった。

いや、おかしいだろ。
後味が悪すぎる。
こんな救いのない邦画見たことある気がする。


いや、もしかしたら都会に住んで約1年。
俺の目は人を疑う目になっていたのかもしれない。

もしくはふふふの時の顔が
誘拐犯のそれだったのかもしれない。


なんにしてもこんなにも救いの無い話があるかい。あってたまるかい。


大都会に投げ捨てられた空き缶になったようだった。


そんなTragedy Night


そんなTragedy Night

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?