結構好きな狂歌

江戸狂歌なんですが、うまいと思うものやなるほどと思うものがたくさんあります。武士をコケにしたものとか、桜田門外の変などの恐ろしい出来事を風刺したものとか。30ばかり選んでみました。意味のわかりにくいのもありますが、何回か読むと風景が見えてくるので解説は書かないほうがいいなと思いました。

● あさましや 富士より高き米値段
   火の降る江戸へ 灰の降るとは
● あせ水を 流して習う 剣術の
   役にもたたぬ 御代ぞめでたき
● いかほどの 南無題目を 出されても
   よむが妙法 蓮華きやう歌師
● 偽りの ある世なりけり 神無月
   貧乏神は 身をも離れぬ
● 歌よみは下手こそよけれ あめつちの
   動きだしては たまるものかは
● おうぢうば ひうばひおうぢことごとく
   しなずに居ては 何をくわせん
● 大石は 酢のおもしに なるやらん
   赤穂の米を 食いつぶしけり
● おごりたる罪のむくいや 猶如火宅
   三界無庵 旗本の衆
● お世話紗綾 緞子な事を お紗綸子
   縮緬どうな 絹がよいよい
● 織田がつき 羽柴がこねし 天下餅
   座りしままに 食うが徳川
● 御旗本 次第にこまる へぼ将棋
   みな歩ばかりで 金銀はなし
● 御祭は 目出たいあらの お吸い物
   だしばかりにて みどころはなし
● お祭りは ゆくにゆかれぬ からっけつ
   一文なしは 家内あくせく
● 親も無し 妻無し小無し 板木無し
   金も無けれど 死にたくもなし
● かかる時 何と千里の こま物展
   伯楽もなし 小遣いもなし
● 門松は 冥土の旅の一里塚
   めでたくもあり めでたくもなし
● かすていら かすむ夕べは 杉折の
   杉間の月も おぼろ饅頭
● 具足より 利息にこまる 裸武者
   すね当てよりも お手当てがいい
● 孝行を人にとられて 情けなや
   親にわかるる 雪の竹の子
● 桜田に胴と首との 雪血がい
   井伊馬鹿ものと 人はいふなり
● そろばんの玉々おきし さぶ六が
   くにへかへるは にくの十八
● 白河の清きに魚もすみかねて
   もとのにごりの 田沼恋しき
● 太平の眠りを覚ます じょうきせん
   たった四はいで 夜もねられず
● 貧すれば 質に奥のて 太刀かたな
   さすがは武士の うけつ流しつ
● ほととぎす 自由自在にきく里や
   酒屋へ三里 豆腐屋へ二里
● 孫の手の かゆい所へ とどきすぎ
   足のうらまで かきさがす也
● 餅つかず しめかざりせず 松たてず
   かかる家にも 正月はきつ
● もののふも 臆病風やたちめらん
   大つごもりの かけとりの聲
● 桃の日に 葵橘あらそいて 
   紅葉を散らす 桜田の門
● 世の中に 蚊ほどうるさきものはなし
   文武というて 夜も寝られず
● 世の中は 色と酒とが敵なり
   どうぞ敵にめぐりあいたい
   

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