平成少女のタイムアタック2

前回まではよくある話だった。
しかし、気が動転した私は突然こんなことを言い出した。

「うわぁ!!パンツまでびしょびしょや!ズボン脱いだ方がいいよね!」

と、濡れたズボンを脱ぎ、通学路の途中でパンツになるという奇行に走った。しかも自宅までの2kmの道のりうち、まだ1km近く残っているのに、だ。
当時の私は、距離よりも、通る車に見られるかもという恥ずかしさよりも、パンツの乾きが最優先事項として一瞬の躊躇いもなく判断したのだった。同様に友人たちも「そうやね!!上のパーカー腰に巻けば大丈夫👌」と納得した様子を見せた。そして皆からの賛同を獲得した私は、素直にその提案に乗り、パーカーを腰に巻いた。

ーだが、一度想像してみてほしい。ー
後ろからの姿は大丈夫でも、袖と袖を腰に巻き付けている前は丸見えではないか。この瞬間以上に、吹き抜ける風の心地よさをダイレクトに感じたことはない。しかし私には、この状況を打破するには帰る以外の選択肢は残されていないのだ。

覚悟を決め、いざ帰ろうとした時、後ろの遠くの方から同級生男子たちの声が聞こえてきた。

「ぉおい!あれ○○(私の名字)じゃね?!笑
おーい!!一緒に帰ろ〜」

と笑顔で走りながら近づいてくる様子が見えた。運悪くやつらは、クラスの中でもかっこいい部類に入る男たちだった。
私の中で「絶対に負けられない戦い」の開始を知らせるゴングが鳴り響いた。

ー3に続く

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