マガジンのカバー画像

Poem 333

56
ブログ・電子書籍・コンクール入選・・・既発詩から厳選して採取採集。
運営しているクリエイター

#詩集

バタフライエフェクト ポエム

生まれ変わりたい 何度願ってきたことだろう 見つめることをなおざりにして そうこうしているうちに現実はモノクロとセピアに呑み込まれていって どうしようもない現在進行形へと変貌 どうかしようともしない現在退行形へと変造 想像性を現実に当てはめず 二の足ばかり研ぎ澄まし 創造性を現実に当てはめず 浮き足ばかり研ぎ澄まし それでも この瞬間もどこかで決定的に連関している まったくの孤独のワンルームの独り言であろうとも たとえば 僕が今こうして  部屋でこの詩を綴って 路上

ポスト喪談

物語が終わったそうだ 大きな物語が終わったそうだ 政治も   経済も     文化も 確かに 見渡してみれば 「すばらしい」と 言われるすべてが既視感満載 物語がなくなったそうだ もたれるべき物語がなくなったそうだ 改革も   成長も     発展も 確かに 見渡してみれば 「美しい」と 思われたすべてが既聴感満載 大きな物語が終わった もたれるべき物語がなくなった と言われて久しいが 実際のところはどうなんだろう 仮に 大きな物語が 既に終わっているのだ

孤動グラデーション

待ち合わせ時刻三十分前 集合場所の金時計前に着く 街の風を 人の色を この肌とこの五感で味わいたくて 初夏が近づいてくる 淡く華やかな ふんわりとしたファッションが多い 歩いていく一人一人 涼しげな空気を起こして じっとりした梅雨 しばし忘れさせる このまま ずっと、ずっと この場所で待ちわびながら この人波をいつまでも眺めていたい 待ち合わせをするたび よく考える どんな格好で来るのか どんな表情で来るのか 行き交う同年代を眺めつつ キミの今日を予測したり どんな会