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Poem 333

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ブログ・電子書籍・コンクール入選・・・既発詩から厳選して採取採集。
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2020年6月の記事一覧

野心のエロス 欲心のタナトス 腐心のエートス ~ エロスパンデミックダンス / タナトスギミックコスモス / エートスサイケデリックカオス ~

エロスパンデミックダンス パンデミックダンスエロス ダンスエロスパンデミック 罪悪までも  消化しきれる 芸術進行 誰も彼も 消したくなる 白昼であっても 白昼であっても 点火できる想像力あふれる 溢れ出す言葉 星座のように 繋げばたちまちポエトリー いくらでも 心は気ままに 描ける欠ける駆ける それでも いつまでも 体は気紛れに賭けれず いまでも 1つに生れぬこと 痛切に分かち合う初動の熱 艶めいたぬくもりに晒され いまだに 1つも成れぬこと 切実に分かち合う初

帰れない帰りたい

「帰りたい。  もう一度帰りたい」 顔を合わせるたび 口に出る台詞 帰れない 当分、帰れない 下手すれば 一生、帰れない わかっているから なんとなくでもわかっているから 口にせずにはいられない 「帰りたい」とくり返さずにはいられない 幼くても 周りの大人やら テレビのニュースやら 学校での噂やらなんやらから 敏感に 嗅ぎ取っているのだろう どれだけ除いても どれだけ洗っても あの頃の風景は帰ってこないと あの頃の世界にはもう帰れないと 自然と 口癖になったのではな

土曜日の虹

梅雨を経て 伸びに伸びきった芝生 さすがにそろそろ刈らなければと 精を出した 真夏手前の土曜日 芝刈り機を 買うほどでもないスペースに身を屈め 剪定バサミで チョキチョキ、こつこつと芝を整えていく とことん綺麗にしても すぐにボウボウと元通りになる季節 あまり神経質になりすぎず 大まかに芝の高さを揃えていく 休憩を挟まず 一時間くらいかかって まあまあの見栄えが完成 汗や風とともに 散髪に行った後のような爽快感が流れる 剪定バサミを片づけ ほうきで刈った芝を集め 可燃

小金色の大海

笑顔とセットで カンパ~イ くたびれた喉に 小金色の大海が沁み渡る 都会のど真ん中 無味乾燥なオフィスを抜け出し しわくちゃな今日にお疲れ様 まっしろな明日に景気づけ、景気づけ もくもくと 煙までおいしいバーベキュー キラキラと 照明までおいしい色んな屋台 くたびれ加減は様々でも ほろ酔いがすべてを受け止め 屋上からの夜景が主役たちを引き立てる 何もかも 忘れるわけにはいかない 何もかも 忘れられるほど甘くはない 上司、部下、同僚 肩書きまで  キレイさっぱり 脱

北東の水族館

「キレイ」 そう指差す先にあるものを 同じように キレイと思えなくなって久しい 自分で精一杯 半径1メートルの事さえボンヤリ そんな時にも 作為のない共感で 「ほんとキレイだね」と 相槌を打っていた自分がちょっと懐かしい 帰りの地下鉄で 僕らの前に座っていた五十過ぎの男性 両手に荷物をもったおばあさんが来るなり さっと立ち上がって 無言の右手で席に座るよう促し 隣の車両へ歩いていった あんな風に 器用に スマートに これから僕は キミのために 誰かのために 何かを 真っ

パラノイア・セッション

ずっと 近づけば近づくほど 絡まって 離れれば離れるほど 解けてゆく そう、信じていた それが突然、真逆へと雪崩れこむ 近づけば近づくほど 解けて 離れれば離れるほど 絡まってゆく 深い窓を見つめながら ネオンの背中を撫で 懐かしい あたらしい 自分と出逢い 細い夜を越えながら 涅槃の吐息を重ね 知らなかった 知っていた あなたと出逢う 幸せとは何かと 考えられる幸せに包まれたまま この時の代償を 今日も世界のどこかで 誰かが 何かが 被っていること 忘れそうになる

あの日から

「大丈夫ですか?」と聞かれ 「大丈夫ですよ」と答えるばかり 勢いで 喜怒哀楽を漏らして 記憶の海原に投げ出されるくらいなら 1つも残さず グッと呑み込み しまっておいた方がまだいい 何もかも 誰も彼も つけられる はずだった無数の句読点を置き去りにして・・・ いっそ あの日に物語という物語が      おわってくれていたら           楽になれたのかな・・・ 不謹慎? そうかもね。 でもね。 そう、思わずにはいられないんだよ・・・ 前を見つめる眼差しに 上を