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Poem 333

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ブログ・電子書籍・コンクール入選・・・既発詩から厳選して採取採集。
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2015年1月の記事一覧

真っ黒な整列

指先に残る感触 現実感以上の幻想感 痺れるような弛緩が止まない直後 人差し指と親指が反射した いや、決断した 正義という大義の下で 防衛という前提の下で   なされた 論理的な思考とも思えぬ一連の帰結 感情的な思考とも思えぬ一連の帰結 理性的な思考とも思えぬ一連の帰結 人間的な思考とも思えぬ一連の帰結 刹那  突っ伏した背中 刹那  湧き上がった安堵 刹那  淀んだ背景色         ( 第49回 大垣市文芸祭 詩の部 佳作 ) ----------------

雲の飛行船で太陽へ

そよ風に揺れる花のようになれたら もっと優しくなれるかな? 涼しげに咲く紫陽花 見つめる横顔 流れるように降り注ぐ雨 優しく包まれていく 君の言う退屈な日常 それは僕のあこがれ 何気ない瞳のその先に広がる世界 そっと覗いてみた いつもの見慣れた景色 不思議なくらい鮮やかに流れていく 「ただ空を眺めていただけ」 笑ってごまかす声は 嫌な事を吹き飛ばしてくれる 透き通り響く旋律のように 真っ白に伸びた飛行機雲 まるで夕焼けへのプロローグ 未来へつながる螺旋は果てなく

ゆるやかな風に乗って

どこまでも途切れない空 朝に昇る太陽 夜に昇る月 どこにいても落ち着かない どこまで行っても変わりそうにない 山あり谷あり いつまで経っても報われない それぞれの限界を知ったとき 落ちないために登らないことを覚えた つまらない、夢がない そうなのかもしれない 際限なく拡がる欲望の渦 賢明な選択と言えなくもない 「よーい、スタート!」 降り注ぐ日差しに迎えられ駆け出したんだ やわらかな陽だまりの中で揺れる花に手を振ったんだ 横一線に繋がれた掌 あうんの呼吸のように