上弦の月

ふと、夜中に外に出たら月が出ていた。
それを見て「上向いて寝てんじゃねーよ笑」
と口にしたが、あの月は今起きているのだ。とすぐに思い直した。
日中、太陽は街を照らし人間の生活を支えている。だが、夜になると太陽は隠れてしまい、それまで見えていたものは見えなくなってしまう。その代わりに月が、夜がそれまで見えなかったものを見せてくれる。空に光る星、車のヘッドライト、煙草の火、民家の窓から溢れる灯りなど、上げればキリがない。
人間の大半は日中の明るい時間に働き、日が暮れ夜になると寝る。だが月は夜になってから働き始める。夜道を照らし、太陽が出てくるまで明日を待つのだ。陰ながら明日を待つのだ。

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