『懐光に照らされて、気淑く風和ぎ』の話

 小豆虫です。

簡易プロフィール
・2018年~21年の村上巴合作主催
・一人合作PでノベマスP
・最近はゲームばっかやってる

 生放送イベント『双星演舞』の『偶像星逢物語絵巻・上 しんでれらの巻』に参加させていただきました。

 せっかくなので、その動画の話をしたいと思います。裏設定や小ネタ、意識したこと、演出など全部書いてます。

動画はこちら

 今回私は、2021年の上半期のおよそ半年間、この動画しかタスクしかなかったので、時間をたっぷり使って作ることができました。
 勢い任せで数日で作るのと違い、考えて作るとめっちゃ時間使ってしまうのでこれはかなりアドバンテージでした。
 時間を掛けすぎてここに書きたいことも膨れ上がってしまいました。ほとんどは頭の中で考えてる時間で、手を付けたのは最後の1,2か月くらいですけど。

選曲について

 自分は曲に明るくないのでここは毎回苦労します。ひと世代前のアニメの曲しか知らないです。
 ですが、特にこういった企画の参加者は、オシャレな曲を持ってくる印象があるので、ここは背伸びがしたかったポイントです。

 私は先に動画のイメージがおおよそあり、何曲も聴いたり歌詞を見たりして、そのイメージを表現するときに不適な箇所が無いかを片っ端から調べるという雲をつかむような方法を取っています。さっき言った通り、曲に詳しいわけでもないので見つからずに終わることが大半ですね。
 逆に選曲をクリアすることが出来れば、完成に大きく近づきます。

 今回の「陽のあたる場所」は、当時2期に合わせてゆるキャン△の1期を見ており、そこから実写版ゆるキャン△にたどり着いて主題歌のアーティストさんの曲を調べていたら辿り着きました。結局アニメ由来の選曲ですね。
 イメージに合わせるために2番と歌詞入れ替えたりカットしたりめちゃくちゃやってます。

動画のコンセプト

 皆さんはパストデイズ・シンガーズというユニットをご存知でしょうか。ほとんどの人が知らないと思います。なんせモバマスで1度ライバルユニットで登場したきりのユニットなのですから。

 メンバーは長富蓮実、藤原肇、村上巴の三人です。最近ははすみんに声が付いたら、全員に声が付くし、「おんなの道は星の道」「あらかねの器」から高い歌唱力が期待できると話題になったりしています。私もこれが叶って欲しいので2年連続でボイスオーディションは全票はすみんです。みんなもはすみんに投票しよう。

 脱線しましたが、つまり、認知度が低いユニットだということです。
 この動画では、視聴者全員がパストデイズ・シンガーズを知らないことを前提に、パストデイズ・シンガーズとはどんなユニットであるかを漠然と紹介する。というコンセプトにしました。


 動画の説明をするにあたって、ユニットについて知っていて欲しいので簡単に紹介をします。

・メンバーは長富蓮実、藤原肇、村上巴の三人
・それぞれ、昭和のアイドルや陶芸演歌といった古き良きものを好む3人
・登場時のセリフを使って温故知新ユニットなんて呼び方をされることも

 ざっくり、その、古き良きものの良さを知ってもらいたいというユニットだと考えて良いでしょう。正直もっと語りたいですが、ここを細かく話すとキリがないので割愛。都度補足して行きます。

 また、懐古趣味のティーンエイジアイドルユニットなんてものが組めるのはシンデレラだからこそ。デレ×ミリコラボのデレサイドとして出すには申し分ないという意識もありました。

カットごとに解説

本編を細かく動画を解説して行きます。
 また、全体的に気を遣った点として、動画の最終目標が生放送の一発勝負なので、一回見ればなんとなくそれっぽく理解できるように意識していました。

【0:00~0:05】

画像1

 カセットテープのリールが反時計回りに回っています。時間を逆行するというイメージがありますが、カセット=昔くらいの認識をもってもらえればOKとして作りました。

【0:06~0:13】

画像2

 自己紹介です。この動画の主役はこの子たちだとはっきりさせておきます。
 小ネタとしては背景にアイドルうちわ、焼き物、マイクがあるのがひとつ。「スウィ-ト・メモリー」というワードは公式のセリフ「私たちの、スウィ-ト・メモリーズ…」から拝借しているのがひとつです。

【0:14~0:16】

画像3

 ここは動画素材です。よく見ると時計が逆再生で反時計回りに周っており、冒頭の時間の逆行を再度表現しています。
 ここは時の流れを感じて貰えればいいので、反時計回りまで見てもらう必要はないですね。
 この後のシーン含めて回転ブラーによるトランジション(場面転換)が時計回りになってるのは見栄え重視です。表現的にはややこしくなってしまいました。

【0:17~0:26】

画像4

 パストデイズ・シンガーズの紹介をテキストでします。長文読ませる時間もなく、演出で感じさせる不安定さも嫌だったので、短めの文章で、はっきりと長めに表示しました。ここはちょっと読んでもらいたいですね。
 720pで提出したこともあって、画質が相対的に良くなかったのですが、文字を大きめにしていたことで助かりました。
 
 後ろの新聞はaviutl上で作りました。メンバーの三人が島根・岡山・広島出身で、中国地方で偏っていることから中国地方の地方紙という設定です。中国地方は山陰・山陽と言い換えられ、陰陽で中国地方を指すことが出来るそうです。しかし、陰陽新聞は大昔に存在してたらしいので、ここでは陽陰新聞となっており、傾けた中国地方が柄になっています。
 右の文章は自分でイチから書きましたが、これを書いたのが一番最後だったため、力尽きて左側はアイマスニュースからまるまる持ってきました。

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 右の四コマ漫画はデレとミリのアイドルのみが出ているポプマスの4コマ(公式)を持ってきて、画面に映っていない下は何も書いていません。

 右の文章は私の解釈を元に、あることない事書いてあります。本編ではぼかしをかけて読めなくしてあります。画面下の文章を読んでもらうのがこのシーンの役割で、新聞の文章が読める解像度だと、視点が下に集中しないと考えたためです。

 おまけに、元はpngですがjpgで張り付けておきます。

画像5

【0:27~0:36】

画像6

 肇ちゃんパート。実はこのセリフはねつ造だったりします。一応はすみんの「肇さんのお祖父様の頃から歌い継がれてきた歌ですものね…」というセリフが元になっていますが。
 MADの中でキャラのセリフは引用の方がスマートで、私もそっちの方がかっこいいと思うので、ねつ造ってどうなん?と思わなくもないですが、そもそも私はノベマスPなので、セリフくらいねつ造してなんぼでは?という思いもありやってます。

 ここに縦のラインが入って比率が4:3になる演出がありますが、これは4:3の前時代的イメージと別に、この縦のラインが入って比率が変わるという演出をサビに再度やるため、フリを入れておく意図がありました。サビだけ一瞬比率が変わったら、気を引く演出ではなく、違和感になってしまうのではという危惧がありました。
 ここで一度やっておけば、動画全体としてもその演出が急にならず、のバランスも損なわないのではないかと考えました。
 また、これが無いと、前のシーンと連続であまり絵面が大きく動かない時間が続き、冗長になる問題もあったので、何か動きを入れたかった。

【0:37~0:46】

画像7

 巴パート。ここのセリフもねつ造です。モチーフになるほど具体的な元セリフはありませんが、親父がきっかけで演歌に触れたなど、設定を踏襲しています。
 親父の立ち絵はコミュから切り抜きで、巴のMVはおんなの道は星の道から、さっきの肇ちゃんパートはあらかねの器から使ってます。

画像8

 フェードと直線移動でカリビアンクルーズ(イベント名)の巴がスライドインしてきて、再度、フェードで笑顔に切り替わります。後で再度比率が変わる時に、元が4:3ではインパクトが薄れると考え、ここで比率を16:9に戻しておきます。
 にしても、まぁシンプルな編集ですよね。この後の場面転換はaviutlのシーンチェンジ「スワップ」を使っているのですが、これらは他の場面と比べると浮いてしまうくらいシンプルな編集です。こういうのを入れたくなってしまう病気なんです。もう一回出てきます。

【0:47~0:52】

画像9

 パストデイズ・シンガーズの3人がスマホで会話しています。スマホの中はデレぽで会話がされています。
 以前ツイッター上で「 #ぽノベ 」でデレぽ風ノベルを作っていたことがあり、その時にデレぽ風ノベルが簡単に作れるツール(言うてテキストと画像を合成するくらいの処理しかしてません)を作っていたのでそれを流用してます。
 生で見てもらう時は、なんかしてるなーくらいの感覚で見て貰えればOKという認識。ごちゃついてるのでどれを見ればいいのかわからないと思います。
 また、ここでスマホが出てくるのも一応、後に画角変更のフリになっています。まぁここは気持ちだけですかね。

 小ネタとして、ここの歌詞は「分かり合うことなんて出来やしないと嘆いて」と言っているのに対し、デレぽでは互いの趣味を分かり合う内容が展開されています。これは、世間一般的に理解されてこなかったマニアックな趣味を持ってきた彼女たちにとって、同じ目線で趣味を語り合える友人など難しかった。そう言うことを繰り返し、分かってもらうなんて出来ないのが当然で、それを変えたいと思うようになった。そんな中、同じ考えを持つ3人は3人にとって、そんな当然を覆す、特別な存在なんだ。という意味で歌詞と真逆の会話をしています。

 あの、あれですよ、毎回、全ての動画これほど入れ込んでるわけじゃないですからね。今回が特別です。

【0:53~1:00】

画像10

 はすみんパート。ここのセリフももちろん捏造。
 元ネタは、パストデイズ・シンガーズ登場時の巴のセリフ、「うちらの背負った思い、全部込めて歌ったからかのう…よか!」と、
 はすみんのデレステ「長富蓮実とのメモリアル1」にて、長富蓮実の好きだった昔のアイドルはもう思い出の中にしか存在しない(求められていない)んですね。と肩を落とすはすみんに対し、Pが切り返した「まだ君がいる」という名言がモチーフになっています。

 パストデイズ・シンガーズのユニットコンセプトを「古き良きものの良さを知ってもらいたいという共通点」だといいましたが、巴や肇ちゃんははすみんほどこのテーマがアイドル活動の中心にはありません。巴は演歌を歌うのは好きですが積極的に広めようとしませんし、肇ちゃんは自分の陶芸と向き合うところが根っこです。
 だから私は、はすみんがこのユニットのセンターとして、このユニットを統括して欲しいです。

【1:01~1:02】

画像11

 サビ前の盛り上がりポイント畳み掛けるように全員が出てきてMVに移行します。[0:27~0:36]の肇ちゃんパートでやった縦のラインで比率が切り替わることを予告しておきます。

【1:03~1:14】

画像12

 MVがVHSでスマホ比率になりました。VHS風の演出について調べて作ったんですが、思うようにならず困っていたところ、スパスさんに相談したら的確にアドバイスをもらえました。ほんと頼りになります。

 小ネタとしては、日付の4/29は昭和の日です。下の時間は動画時間ですが、実は後の調整でコンマ数秒ズレています。

 あと、細かい裏設定があります。
 [0:17~0:26]の新聞でもそれらしい文章があるのですが、私の解釈では彼女たちは、現代に受け入れられないからといって彼女らが好んだ「古き良きもの」を現代に溶け込むようにアレンジしたりはしないという考えを持っていると考えています。
 偶然にも揃いも揃って頑固者である3人は、私が感じたままのものを現代に表現しても通用するだろうと。そう考えています。そのため、出来るだけ当時に近いものを表現することを彼女たちは目指すはずです。となると、今回のスマホ画角は、現代の表現に合わせているので矛盾しています。そこの説明は[1:55~2:00]のWebニュースの記事にあります。
 実際はぼかしがかかっていて読めたものではないのですが、これはプロダクション公式が上げたパストデイズ・シンガーズのPVをスマホで直撮りし、SNSで無断転載したものだと書かれています。そこから元々のPVは4:3のVHS風PVだったと推測できます。
 無断転載がバズり、SNS上で若者にウケた。その映像をサビで流しているという裏設定です。
 4:3にしては時刻などの文字の位置が中心に近すぎたり、直撮りにしては映像が綺麗すぎるんですが、動画上は絵面優先で小綺麗に調整してあります。うーん、都合がいい。


【1:15~1:18,1:22~1:29,1:44~1:45】

画像13

 サビの盛り上がるところはMV主体となります。そして、MV主体となると急激にこだわりがペラペラになります。私のMVMADが成長しない理由かもしれません。
 大きなキャパのライブシーンにばかり立っています。元々中から高い年齢層に人気のあったユニットが若者の層を取り込んで大きなライブにも呼ばれるようになった。きっかけはSNSのバズなので瞬間的なものかもしれませんが、その一瞬のライブシーンをとらえたものです。

【1:19~1:21】

画像14

 歌詞の「僕ら生きてきた証」に合わせてイラストをブンブン切り替わります。
 それぞれボウリング釣り将棋と日常的な風景のカードを採用しています。歌詞の「生きてきた証」については、古き良きものを伝承する意味的でライブシーンの方が合うでしょう。
 しかし、ここは一度絵面を変える意味で、静止画を挟みたいポイントでした。最初に上げた昭和のアイドル陶芸演歌とは違う彼女らの日常にフォーカスを当てることで、個性を掘り下げを生きてきた姿を見せることにしました。

【1:30~1:39】

画像15

 [0:37~0:46]で話した病気です。でもここは綺麗にハマっている気がしますね。MVの静止画一枚をカスタムフレアだけかけて直線移動で10秒映す。正気ならやりませんが、こうやってハマる時もある。こういうのがやめられない理由なのかも…。

 歌詞の「ずっと探していた陽の当たる場所は」に合わせて、動画内でバズの要因となったPVと同じMVの花です。
 サビ入りもですが、映像はAthanasiaのMV。このMVは実装当初から雰囲気や色合いがパストデイズ・シンガーズに合うと感じており、何度かMVを3人で編成したり、スクショを取ったりしていました。動画を作る時もこのMVが良いところで来ることはほぼ決定事項でした。

【1:40~1:43】

画像16

 フィニッシュに向けて再度個人にフォーカスを当てます。ここは絵面のアクセントも重要視してます。
 ここで中心から音符が弾けているのは、パストデイズ・シンガーズの「パストデイズ」に注目しすぎて「シンガーズ」を疎かにし過ぎていたことに気付いたからです。時すでに遅しだったので、気持ちばかりの音楽要素です。
 とはいえ、ユニットコンセプトからして歌い手要素は温故知新要素に弱めなのでこれでよかったのかもしれません。
 余談ですが、パストデイズ・シンガーズがモバマスに来た時、巴も肇ちゃんも声が付くことすら決まっていませんでした。全員声なしで、歌うことで完成するユニットを出すなんて人が悪いなぁと感じた記憶があります。我ながら歪んだ見方ですね。

【1:44~1:54】

画像17

 芸能ニュースのアクセスランキングをスクロールするシーンです。アイマス関連のあることないことが書いてあります。ほとんど映ってませんが40記事、見出しとサムネをアイディアを身内に募ったりしながら用意しました。
 ここは序盤、[0:17~0:26]の新聞と、Webニュースで対比が出てます。時代の変化の対比、旧に対し新の表現です。

 ここのシーンはY〇○○○!ニュースのページをローカルに保存して、htmlを書き換えて作りました。文字と画像差し替えるだけなのですぐやろ、と思ったら案外手間かかりましたね…。
 せっかくなのでキャプチャして全見出し貼っておきます。

サイト1

【1:55~2:00】

画像19

 Web記事の本文です。内容は[1:03~1:14]の項目で言及したので割愛します。
 画面右上に冒頭のカセットテープがあります。ぼかしでわかりませんが、冒頭の反時計回りと違い、今度は時計回りに回っています。時代に逆行していた冒頭と違い、現代に受け入れられるようになった。という変化が見えています。
 正直、このリールの回転がぼかしでわからなくなったのは相当痛いです。が、やはり、生放送一発勝負なので、[0:17~0:26]の新聞と同様に下のテキストに視線が行きにくい状態を出来るだけ作りたくなかったのです。
 ぼかしなしも置いときます。

画像20

【2:00~2:03】

画像21

 最後は一枚絵で締めておしまいです。
 結果論ですが、最初と最後のシーンが数秒同じ絵が続くので、絵巻のメドレーの繋ぎで重要なシーンが潰れる。みたいな心配がなく、繋ぎやすかったのではないしょうか。実際のところはわかりません。

タイトルについて

 では単品の概要欄にも書きましたが、最後にタイトルの話をしようと思います。
 タイトルは『懐光に照らされて、気淑く風和ぎ』
 元ネタは元号、令和の引用元になった万葉集の原文、「初春の令月にして、気淑く風和ぎ」です。令月の『令』と風和ぎの『和』で『令和』です。

 「懐光」は造語ですが、ユニットの『懐』かしいという要素と、使用した曲の「陽のあたる場所」から『光』を組み合わせています。
 そして「懐光に照らされて、」の照らすという文字には『昭』という字が隠れています。そして風和ぎの『和』で、今度は『昭和』となります。

 そのためタイトルの『懐光に照らされて、気淑く風和ぎ』は、令和に昭和を表現する。というパストデイズ・シンガーズのユニットコンセプトをそのまま表したものになっています。

終わり!

 書いてて疲れた!悪筆乱文失礼お粗末様でした。気力があれば校正します。

 改めて双星演舞お疲れ様でした。ありがとうございました。

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