見出し画像

レアーティーズ 爆誕⭐︎

ハムレット プレビュー公演を終えて。
(ところでプレビュー公演って、少し安く見られる初日って解釈でOK?の巻)

 完璧

 圭人くんのレアーティーズは完璧だった。

 私が「こんなレアーティーズだったらいいな」って、思い描いていたレアーティーズがそこにいた。いや、それ以上、カッコ良さは想像を軽々と越えていた。

 ほんの2ヶ月前、Tシャツ、ジーンズで、逆立ちしてた兄ちゃんよ?「えらいえらい」って褒めてくれて、「花粉すごいね」って毎日呟いていた兄ちゃんよ?

それがさ、なんか知らんけど、完璧なレアーティーズを演じているのよ。あれ、演出家、私だった?ってくらいに完璧だった。
あ、セリフ少し走ってるかな、とか、ぎこちないかな、みたいなのはあったけど、そういう技術的な話じゃなくて、やろうとしているレアーティーズ像がだいっ好きなタイプのレアーティーズだったんだよね。

気分はこれ

 細かいとこは置いとくけど、最初のフランスへ戻る前のレアーティーズは、家族愛に溢れ、人生に疑問など持たず、まさに順風満帆。弾ける笑顔と自信。

明るい衣装、整えられた髪、明朗快活。

 これ!これよ!レアーティーズは。
作品によっては最初から大真面目で、少し暗くて、オフィーリアの明るさに飲まれる感じの役作りも多いんだけど、私が好きなのはこの復讐心に燃える前の「愛されレアーティーズ」なのよ。

 これ、最初の「さて、レアーティーズ」からの返しで決まる。ここで、渋く入るなら、そのあとはずっと暗い。それでもいいんだけど…と、緊張して、観ていたら。

笑った。

圭人くん、にっこり笑ったの、それもとびきり柔らかく、優しく。

あー!これ!私はこれが観たかった!

皆に愛されている自信、ハムレットとは対比を成す、ぶっちゃけ言えばお花畑なレアーティーズ。あー、もうここで泣きそうだった。
これは好みがあるけど、私にとってはもうここで9割クリア(序盤も序盤です)。

ポローニアス、オフィーリア、レアーティーズのシーンはかわいさ詰め合わせ、この幸せを永遠に観ていたかったけど、早々にレアーティーズ退場。

それにしても圭人くんの古典衣装、初めてだけど、めちゃくちゃ似合うね。ロングブーツとマントをこよなく愛する私としてはもう最高に嬉しい。

 お次はローゼンクランツ。
公式さんがモジャモジャとのヒントをくれていたので、こりゃ自前モジャモジャの森永さんがギルデンスターンだなと予想はできた。

はい、思ったより、もじゃもじゃ〜!
んで、メガネ〜!髭〜!

雷撃コンビ、3月は揃ってモジャでメガネで髭

昔、ハンプティダンプティ衣装のローゼンクランツ&ギルデンスターン観たことあったな…。双子コーデ…ってか、ほぼ双子じゃねーかとツッコミ入れながら。
悩むハムレットを他所に、かわいいふたり。全くわかってなくてポンコツなのよね。
親友だったはずなのに、超軽んじられてんの、不憫。
ふたりは息ぴったりで、ステージ上を駆け回る。ローゼンクランツ、基本、ギルデンスターンの後ろに隠れててかわいい。
声の調子もレアーディーズとは違って、慌てふためく様子とか、小市民な感じがすばらしい。
意外と出番も多くて、笑いどころをたくさん作っていて、楽しい。
そんなふたりは、イギリス行きの船に乗り、ひっそりと退場。
(ローゼンクランツかわいいポイント山ほどあるけど、それは別途)

入れ替わりでレアーティーズ。

渡仏前の明るい華やかさは無く、父を亡くした悲しみと、怒りに満ちていた。やはりこの人も、瞳の光量まで操れる人だわ…。

レアーティーズは、疑心暗鬼となった民衆を率いて城に乗り込む。

か…かっこいいんですけど!

待って!なにそれ聞いてない!すげぇ!

黒いフリルブラウス、大きく開いた襟元、暗闇のような漆黒のマント、ロングブーツ、剣を携え、声を張り上げる。

黒似合うマンの本気を見た。

ハムレットと対をなす存在。
気がふれたオフィーリアと対面し泣き崩れる。悲しみをまとわりつかせたまま、復讐に燃えるレアーティーズ。
この辺りも、思い描くレアーティーズそのもの。悲しければ泣き、怒りは攻撃へ、その感情のまま行動する。迷いがない。

墓地でオフィーリアを抱き上げるシーンも良かったけど、その後のハムレットとのケンカ。
ハムレットよりも狂気に取り憑かれたような、怒りが勝る、まさに熱情の人、レアーティーズ。

ここ、良かったなぁ。

あいかわらず飛沫な人なのも好き。

最後は決闘シーンへ。

これもまた圧巻

ふたりの努力がよくわかる。どれほど稽古したのか。緊張感あふれ、力強く、しなやかで、だけど、どこか破滅に向けて悲しげで。

剣が風を切る音が聞こえる。
刃がぶつかる音がする。
足音、息づかい。
大きなアクション。
自然とこちらも力が入る。

やがて訪れた沈黙。
圭人くん、毒ではっきりと発語できないとこまで、細かくて、すごい。

総じて、圭人くんの初めての日本語シェイクスピア、素晴らしかった。そんで、これは毎回言ってるけど、圭人くんは回を重ねるとぐんぐん良くなる探究心枯れないボーイなので、この先も期待しかない。

この素晴らしい圭人くんの仕事ぶりを、ぜひたくさんの人に見てほしいと、心から願って。

(それにしても月曜日にプレビュー7時からやって、終演10時半とか…。感想書いてないで、寝て)

駄文散文失礼。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?