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2022年 観劇納め

東京千穐楽おめでとう
ネタバレに厳しい昨今ですが、完全ネタバレ、粘着質な観劇記録、中身スッカスカでお届け。あのシーン、どんなだったかな?ってときの記憶の補完用です。印象に残ったセリフと共に(うろ覚え)。

1場

今回緞帳が転換で使われているの好きだったな。
緞帳、好きなの。
波の音、ピアノの調べ。

上手
ヴェラ 口を隠しながら、ナイトガウン
レオ サイクルウェア、自転車を支えながら、俯いている。少し沈黙(この一瞬の間が最高に好き)。

深夜3時、突然の訪問。
「名前、変えてないんだ」
「?」
「名前、ブザーのところ」

ヴェラが入れ歯をしていなくて会話が成立しない、手をどかして、顔を見て驚く。
ヴェラ、入れ歯を付けるためはける。
この後の会話が好き。一気に孫とおばあちゃんになる。
抜粋
「薬やってるの?」
「はぁぇ!?」

「山があったでしょ」
「あるねぇ、山」

「地元産のバナナなんてないだろ!?」
「聞こえてるから、大きな声を出さないで!」

「火災報知器は聞こえるの?」
「え?」
「か さ い ほ う ち き!」
「聞こえるわよぉ」

「じゃあ、人の邪魔になんないとこ、教えてくんない?」
「そんなところありません!あぁ、もう…ほら、荷物置いて、シャワー浴びて、少し寝て…」

短い会話のやり取りだけど、ああ、この人たち家族だって、すっと入る。最初の距離を測るような会話から、ここへ流れていくのが良いよね。

途中、荷物を下ろしたあと、自転車を立てかけるとこ、初めて見た時びっくりした。かっこよくて。

結構な勢いで持ち上がるよね、これ

そして、レオが母親とは少し問題を抱えていることもわかる。母親の話には短気に反応して、引き返そうとしたり、嫌味を言ったり。
「安定剤がばがば飲んで…」のとこ、嫌な言い方するなぁって思ってたら、ヴェラが「今のは少し意地悪ね」って言ってくれて、その指摘の仕方の優しさですっかりヴェラが好きになった。

「あれ通った?GW!」
「ん?」
「ジョージ・ワシントン・ブリッジ!」

キラキラ〜✨
GW 留学中は圭人くんも通ったかな

「彼女の家に行くと思ってたから…あの、ぽっちゃりした…」
「ぽっちゃりじゃない!健康的って言うの!」

「行ったけど、考える時間が欲しいって。考えることは、いいことだよ。うん…」
「あんた本当にいろいろあったのね。あれもこれも…」

客間はヴェラが使っている。
「ジョーが病気になってからは、あれ、あれ…シングルベッドの方が都合がよかったのよ。」

「ヴェラ…」
「…?」
「おやすみなさい」
苦しそうに呟き、下手にはける。

いつも思うんだけど、圭人くんって、歩き方独特。特に急ぐとき。上半身あまり動かなくて、足だけ動く感じ。腕を振らないのかな?こんときは荷物持ってたか。
(余談)

2場

ヴェラ 買い物カートに洗濯物を入れて、ドアを開けて登場。

洗濯物をひとつずつ眺めながら畳んでいく。
あの洗濯物を畳む手つき、たまらなくおばあちゃん。畳み方、割と雑。
Tシャツは「伊東家の食卓スタイル」で畳むヴェラおばあちゃん。
あと、喉に痰が絡むんだよね、あれリアル。

電話
補聴器がハウリングする。お向かいさんと何やら揉める。

レオ 下手の寝室(舞台上は見えない)から登場。
グレーTシャツ(ノースフェイス)ベージュのハーフパンツ、裸足

裸足!
昨日、汚れたスニーカーで入ってきたのに、裸足!
んん…まぁ、いいわ…次行くw

リビングの入り口で小さく名前を呼ぶが反応なし。
すたすた歩いて、「ヴェ〜ラ!」
え、やだ、かわいい。昨日は、トゲトゲしてたのに。
ところで、下手は廊下の壁が無くて、透けてるセットなんだけど、あそこは廊下だから、リビングに入るまでは真っ直ぐ前を見て、リアクションも無し、リビングに入るとヴェラに気付いて笑顔。
当たり前なんだけど、そういう細かい芝居が好き。

洗濯物を畳みならがお向かいさんの愚痴を言うヴェラの横で新聞を眺める。(その前のヴェラの眼鏡をサイドテーブルに移す動き、優しい)

「下手に出るからいけないんだよ」
「そんなに良い顔しなくても良いんじゃない?」

わぉ、若者らしい反応。
新聞をサイドテーブルに立てかけるときに必ず、ちょんって上を揃えるのかわいい。

「顔色、良くなったわね」
ヴェラとハグ。ヴェラの包み込むような優しさが沁みる。いろいろ聞きたいだろうに。
「もう臭くないわ」

「コーヒー、飲むでしょ?」
洗濯物をリュックに詰めながら、skinを見つける。ヴェラ、コーヒーとパンとバナナを乗せたトレーを持ってキッチンから戻ってくる。
「なに?」
「ん!」
このときのポーズかわいい。
「未開封じゃぁね」しっかりチェックするおばあちゃん 笑

ふたりはコーヒーはブラックがお好み。
シニアセンターでもらったパンを冷凍してあって良かった。そうじゃなきゃ、朝食を買いに行かないと…今日はそういう気分じゃなかった。ドクターは加齢ですと言うだけ。レオ、パンを口に押し込みながら聞く。

レオ…コーヒー、飲んで?起き抜けに、解凍して水分少なめのパンをぐいぐい押し込む前に、コーヒー飲もう?
それにしても食べるの早い。お腹すいてたのね。

レオの荷物の話も可愛かった。
「なぁにあれ重いの、100ポンドはあるわね」
「まさか、10ポンドくらいだよ」
荷物はあと4つ、5つで50ポンドくらいかな。
ヴェラ驚いて、
「荷物が無ければ楽なのにね」
一瞬止まった後に、爆笑するレオ。
かわいいなぁ。
夜は野宿か旅で知り合った人の家に泊めてもらう。
「変なこと要求されなかった?」
「変なことって?」
「性的な要求とか」

「こちらが愛情と信頼を持って接すれば、相手も同じように返してくれます」
「…なにそれ、孔子の言葉?それともガンジー?」
「レオ・ジョセフ・コンネル。僕のことば」
小さくため息をつきながら、コーヒーを口にする。(やっとよ)
「悪いこと言っちゃったわね」
コーヒーを吹きそうになる。
「デリケートな問題だった」
「いいよ」
優しい。

ボルダリングジムに行きたい。
「何?」
「ジムだよ、ボルダリングの」
お皿を下げたあと、キッチンからひょこっと顔を出す。

過去3作品が抽象的なセットで、キッチンはテーブルと椅子だけ、リビングはソファだけ、みたいな感じだったけど、今回はヴェラの部屋をしっかり作り込んであって、それが最高に好き。キッチンの壁に寄りかかって、Tシャツ、半パン、裸足はリアルに恋じゃん?(じゃん、やめ)

「ハーネス」が出るまで、ヴェラの『あれ、あの…』を聞きながら考えてる顔、かわいい。

で、イエローページで探す。
「イエローページ?うわ…まじか…」
ここへきて、お、レオはそんな言葉も使うんだなぁって思った。圭人くんも、レオはFワード多いって言ってたもんね。初日、ここで少し引っかかったのは、やっぱり圭人くんの持つ甘めの雰囲気と声の高さなのかな。少しセリフが浮く感じ。

パソコンないの?
「ある!ベンおじさんとメルおじさんに買わされた」
「Mac?Windows?」
「あぁ!?」
「後で見てみようねぇ…」
はい、かわいいハッピーセット。
(余談だけど、ベンはジョーの次男。本編では、その辺りの説明が全くないけど、レオとヴェラに共通した人物の名前がぽんぽん出てくると家族なんだなぁってわかるし、物語の世界が広がって、リアル)

お金を貸して欲しい。持ち合わせが無いけど、もうすぐ仕送りが入る。
お金の場所を教えるから、記録をつけておいて。
ヴェラ下手(ジョーの書斎…ってかこの家、部屋数多いな…)に、はける。

レオ、苦しそうにうずくまる。
初日以降、吐き気の感じを強く出していた。
痩せたってセリフもあり、食べられて無いんだなと。
(初日、2ヶ月前のパンを慌てて食べるから…って思ったのは内緒です)

3場
レオ、あぐらで本を読む。2場と同じ服。
喪服のヴェラ、ドアをガチャガチャやりながら入場。
「上の鍵、かけたでしょう!?」
ヴェラ、激しくおこる。
「かけてない」

蛇口を壊した壊していないで揉める。
こんな些細なケンカをちょいちょいしてるんだろうな。レオは誤魔化さず、正面からヴェラに応える。
ヴェラが怒って、台所のザルをどんからがっしゃんってやる時、小さくびっくりするの好き。

「80代の会の最後のひとりが死んだ。
嫌な人だったけど、最後のひとりが亡くなるっていうのは嫌なものね」
ヴェラ泣く。
「ヒッピーがハグしてあげようか」
「いい、だいじょぶ!」
キッチンでひとり泣くヴェラ。
もう一度顔を出し、小さくノック。
ヴェラ、ゆっくりハグのポーズ。
ハグ
もう、ここがいとおしくて、泣けてねぇ。

「あと、あんたのお母さんと話したわ」
急に不穏。不貞腐れるレオ。
「ジェーンには自分で道を見つけてもらわないと」
「社会ってものがあって…」
この話、すごく好きだった。

ヴェラ途中で言葉が出ない。
ジョーの話をもっと聞いておくんだった。
レオ、祖父の本を読んでいる。
「おじいちゃんのことはあんまり覚えていないけど、声は覚えてる。

レオとヴェラ、仲良くけんかして

パーティーで姉にキスした話。
レオ、声を荒げる。
愛し合っているふたりの純粋な行為が、問題になるなんて、現代社会の縮図みたいだ。

メスカルは、テキーラの親戚みたいな…


「ベックがそれを知って怒っているの?」
「ベックはそんなの気にしていない。そんなに心が狭くない」
「それで、私は年をとって、心が狭くなっている。そういうこと?」
「年は取ってる。でも心が狭くなるかは自分で決められる」

「何も言ってくれないのね」
「表札」
「?」
「ピカッと新しくした。自分の名前にした」
「そう…おめでとう…は、違うかな…なん…て、言ったらいいか…」
「まぁ、いいわ…」

2場、3場は、レオとヴェラの関係性や、そのまわりの家族や恋人の状況を知らせるシーンが多くて、2人がひたすら会話を続ける。
日常の些細な口喧嘩から、家族や自分のアイデンティティ、政治的思想に至るまで、会話は多岐に渡り興味深い。祖母とキューバの識字率の話する家庭がどれほどあるだろ。

4場

ベックひとり。キッチンからコーヒーを持ってヴェラ。震えてカップがゆれる。
ヴェラがチラッとベックのお腹を見たりする細かい芝居はあるけど、いかんせん、森川さん細い、苦肉の策のダウンベスト。ここでどうしても引っ掛かっちゃう。本人は悪くないけど、この配役がほんと最後まで謎だった。

ソファに座るふたり。
「お砂糖、入れる人?」
「はぁ…い、いえ〜」
人工甘味料を渡されるも、テーブルの隅に押し避けるベック。
ベックはコーヒーにお砂糖2杯。
「最初の結婚相手はね…」
ここ、もう、高畑さんよ独壇場。ものすごい長台詞、早口でペラペラペラペラよう喋る。
笑いどころも多くて、ヴェラの若い頃のドタバタが想像できる。
最初の夫、アーサー。浮気相手ミュワリエル、田舎のウェイトレス。
精神を病んでるとか、田舎娘とか、ヴェラは都会のキャリアで、浮気相手の女を少し馬鹿にしてるところがあるよね。
ベックの言う通り、責められるべきは男の方なのに、男は馬鹿なだけなのって、庇ったりする。
ベックは志高くNYの大学に編入するくらいなので、その辺厳しい。
「ちょっ…と、何言いたいかわからないんですけど。」
この流れ観てて思ったけど、言葉のひとつひとつを繊細に受け止めて、いちいち説教だとか、差別とか、上から目線だとか、他意はない言葉にも意味を見つけて、傷つく人増えたなぁと。全てが自分に向けられた言葉だと。それが間違っているとは思わないし、言葉は気をつけないとだけど、ヴェラの言う通り「ただおしゃべりしてるだけ」って流せる感覚もあっていいんじゃないかなぁと、これは老害と言われる感覚だろうか。

さて、遅れてレオ登場。LL beanのアウター、デニム、コンバース。
上手の席は、ドアを開ける前の嬉しそうな顔が見える。おい、浮かれてる場合ちゃうぞ。
ヴェラは部屋に退場。

「市民農園があってさ」
よく見ると、ジーンズも靴も泥だらけ。
そのまま部屋に入らないでぇ!
取り乱しました。
ポケットからカボチャを取り出す。
「これをどうしろって?」
「育てて、いろんなことを教えてあげて、パイを作る」
カボチャを投げるつけるようなポーズをとるベック。
ここから学校のことなんかをつらつらと話す。

劇場にいた全員が思った。太ってない。


「会えて良かった」
「別れたいの」
自転車旅についての言い争いが続く。レオは、ああ言えばこう言うで、ベックをどんどん詰めていく。
どさくさ紛れにマイカの浮気も告白したりして、自己肯定感低めのベックを責める。
「私が思う理想の関係って言うのは、君を愛していると言いながら、君にはがっかりさせられると言う人に、自分の正当性を証明し続けなくてもいい関係ってことよ」
ベックにここまで言わせても、レオはまだ納得いかない感じ。

ヴェラ、カートに洗濯物を乗せて再登場。
「あなたのシーツ、ここへ来てから洗ってないじゃない」
「いいから!ありがとう!」
ちゃんとお礼が言えるのは育ちがいい証拠w
苦しい口喧嘩のシーンも、こういう緩いシーンを挟むことで、集中してみられる。ほんと、よくできた戯曲。

マイカの両親が復縁した話をポツリと始めるベック。マイカの両親も問題を抱えていることがわかる。それでレオと仲良くなって、旅をして、家に寄りつかない生活をしていたのかな。

帰ろうとするベックを引き留め、詩を読むレオ。
ルーミーの「草原がある」とか言うやつ(タイトルうろ覚え)。
短文詩。読み終わると、レオは膝をつき、苦しそうに泣き出す。体をさすりながら、ベックも泣く。
泣きつくようにキスを求めるレオをやんわりと押し返す。
「君に触れたい」
「やめて」
「忘れてるんじゃない?僕たちの体がしっくり来ること」
「…忘れて、ないよ」

ベック、退場。もう一度カボチャを渡そうとするが受け取ってもらえない。
ヴェラ、洗剤を手に戻ってくる。
ヴェラがベックの体型についてごちゃごちゃと話すことをレオが強く非難する。
「ベックの体型のこと言われるとムカつくから2度と言うんじゃねぇ」
「え?」
「なぁ、聞こえた?」

5場

パイプ(マリファナ?)でラリっているふたり。
ヴェラはソファに横たわり、レオは床に寝そべる。クッションのレースに指を突っ込んでいじいじする。
「それで?あなたちずっとヨットに乗ってたの?」
「そーぅ、めーきしぃこぉ〜の〜」
レオ、へろっへろなのかわいい。
床にぺたりとへたり込んで、クッションを抱きしめたかと思えば、急に跳ね起きて船旅の様子を話す。
今回の自転車旅とはまた違うルートだから、きっとレオとマイカは長期休暇のたび、旅に出かけていたんだろうな。
魚をモリで突くマネをする。突然のワイルド。
「モリで突くと、ファーって浮き上がってくるんだ」
「何が?」
「え?」
「何の話ししてたんだっけ、忘れちゃった」
「僕も…」
寝転がる。
「あなたのお父さん、夜はいまいちだったわね」
「誰?」
「ジョー」
「ジョーは僕のおじいちゃん」
ヴェラ、夫は2人ともダメ。良かったのはひとりだけ。墓場まで持っていく。

レオ、ふらふらと立ち上がり、突然逆立ち。
結構しんどそうだよね、腕とかぷるぷるしてる。
「マイカが死んでから、信じられないくらいムラムラしてんだよね」
ベックについて話してから(「でもそこが好き」の言い方が甘い)、逆立ちを戻して、自転車に触れようとして、咄嗟にやめる。

レオ、パイプ追加。マッチを擦るの上手、私が観た回は一度も失敗しなかった。葉っぱにつかなくてやり直した回はあった。煙を出すのはこだわりっぽい。
「僕の両親は…愛し合っていたのかな」
お母さんは神経質、結婚して一回は落ち着いたけど、そのあともっと神経質になった。
ヴェラ、クッションを両親に例えて話す。

「後悔していること、ある?」
「自分の子どもが欲しかったんだと思う」
「今日は、秋分の日を一緒に祝ってくれてありがとう」
夕陽が入り、部屋がオレンジに染まる。

一幕の終わりに流れる、ニール・ヤング


6場

アマンダとレオ
アマンダ酷く酔っている、廊下の奥から甲高い笑い声。お向かいのジニーの家のベルを鳴らす。
「あー、なにやってるの、こっちこっち」
後ろから抱き止めて、部屋に招き入れる。
レオ、酒を勧める。レオはキッチンで水を入れる。
「なにがあるの?」
「カンパリ…?」

主原料は非公開(そんなことある?)

「こっち南よね。911のとき、ツインタワー崩れるの見えたかなぁ」
「さぁ…どうだろ」
「おばあちゃん、いくら払ってるって?」
「1200くらい…?」
「えぇ!私いくらか言った?」
「ううん」
「1800よ!ここの半分くらいの広さで。おばあちゃんいつから住んでるの?」
「さぁ…」
「おばあちゃんのこと、聞かないのね。私ならいろいろ聞いちゃうけど」
「家族の話、聞く?農村部の中国部で…」
言い間違えて、キャハハと笑う。
「酔っ払っちゃった。あなたは?」
「僕は飲んでなかったから」
「まさか、デートレイプするつもり?」
「ふ…」
「でも、あなたなら寝てもいいよ。あなた、素敵だし…なんて言うの?山男…みたいな!」

お互いのことを話す。アマンダ、パーソンズ美術大学の学生。出身はサンフランシスコ。両親は中華レストランのチェーンを経営、裕福。5つ上の姉は結婚して子どもが2人。将来は、何らかのアーティストになる。
レオ、出身地はミネソタ州、セントポール。自転車で旅をした、シアトル経由でね。

アマンダの絆創膏の色と、カンパリの色が同じ。
タクシーのドアに挟んだ。7色どころか9色くらいあるの。
「その下、見たいな」

レオ、何度かキスしようとしてはぐらかされる。
ここの外されたあと苦笑いするのすごいかわいい。

レオ、アマンダの名前を間違える。
「アメーリア!」
リリーと間違えそうになった。自分の姉、養子。
「じゃあ、お姉さんもファッションセンスが抜群だ?…冗談、本当は?」
「リリーは、バナナリパブリック…みたいな。でも似てる…」
言いかけて、アジア系の顔について一括りにしたことに気づいて止める。
「優しいのね、そういうの、優しさだと思う」

コンサバ、カジュアル、みんなのバナリパ

アマンダ、本棚を見て、ヴェラが共産党員と知る。
中国人のアマンダは共産党が嫌い。
どれだけ苦労したか。
当時はそれがカッコよかったんだよ。今でも言うとエコロジー!みたいな。慌てて、説明する。

「誓って言うけど、僕はコミュニストじゃない」
アマンダ、怒りながら泣く。自分たち家族が中国でどれほど苦労したか。
(また余談だけど、その苦労した中国にソン・リリンが住んでいましてね…)

アマンダに振り回されるレオ、かわいいね

レオ、親友を亡くしたことを告白、だからここへ来た、他にどこに行けばいいかわからなかったから。
アマンダとレオ、キスしながら床に倒れ込む。
靴を脱がせていると、ヴェラ登場。
アマンダ悲鳴。
「心臓止まった!心臓止まった!マジで心臓止まった!」
この騒ぎで、少し冷静になるふたり。
その場の勢いで、慰め合ったら駄目なほど、傷が深いってお互いに悟ったのかな。

「親友、なんて名前?」
「マイカ」
「どうして死んだの?」
南の窓の外をふたりで見つめる。

レオ、番号聞いても電話しないから。
アマンダ、バンドエイドの下、見せなくて良かった。

7場

レオとヴェラ 屋上
自転車旅と事故の話。
西から東に旅をした。追い風だからずるい気もしたけど。アメリカは東から西に開拓されて行ったから、僕らはその逆のルートを行った。
7月4日、独立記念日にアメリカの中央を目指した。

自転車に乗りながら写真をたくさん撮った。
タイソンフードのトラックに抜かれた。
「見ろよ、ニワトリが奴隷みたいに運ばれていく」
マイカがニワトリを積んだトレーラーの下敷きになった。いち早く駆けつけた広報の女性から何度もカメラを渡すよう迫られた。

実在する

カメラを壊してしまって写真がない。
記憶に残ってない写真もたくさんあるんだろうな。
そう言うのが無くなったのが一番悔しい。
出発のとき、太平洋に後輪をつけ、到着したら大西洋に前輪をつける。そう言えばまだやってなかったな、なんでだろう。
マイカは体で見せるコメディアンの才能があった。
マイカならほんとうになれたかもしれない。
葬式には出なかった。旅を続けた。
ヴェラ「補聴器してなくて、ところどころ聞き取れなかった、けど、話の邪魔したくなかった」
レオ、泣く。

ここはレオの見せ場。長台詞。
細かいセリフは割愛するけど、毎回圭人くんのレオは最後に向けてぐっと集中を増してくる。
感情を抑えながら、淡々と話すが込み上げてくるのを堪えられない絶妙なバランス。

最前列は首があれですが

8場

ヴェラ、電話でお向かいさんと喧嘩。
電話しているヴェラを横目に下手からレオ。肩にそっと触れて、目配せ。キッチンからオレンジジュースを入れたコップを持ちながらリビングへ戻る。
もう一度電話をかけるヴェラを横目にソファに座り、散らかったファイルを眺める。
孫が来てるから心配いらないわ!と言うヴェラに気まずそうに目をそらす。
がっしゃんと電話を切るヴェラに目を見開く。
(ここ好き)
ヴェラに近付き、肩にそっと手を乗せる。
目線、優しい。
目配せで再度電話するように促すも、電話できずにがっちゃん。ヴェラ、かわいいな。こういうの見ちゃうと、もう少しふたりで暮らしてもいいのにと勝手なことも思っちゃう。
「ジニー?ほんの2、3メートル先じゃない。ノックしたら?」
「それはしない約束なの」
寄付のリストが見つからない(これ、アメリカっぽいなー)。小切手帳も。
「じゃあ、戻ってきてもまだ見つかって無かったら一緒に探す」
「出かけるの?」
「ボルダリングと市民農園、あと面接」
「面接?」
「仕事の面接」
ロッキーで子ども相手のオリエンテーションリーダーの仕事。
ヴェラ、少し混乱した表情をするけど、来年の夏からと聞いて安堵。だけど早めに山に行って、冬は山で過ごすと、レオ。

なんか「RRRocky!」って言う日あったな。ROCK✨


「マンハッタンを満喫してないじゃない」

コンクリートジャングルでござい。

「ここにいると鳥かごの中にいるみたい。おばあちゃんの街を否定する気はないけど、ここはコンクリートの監獄」
「それはまたずいぶんと…つまんねぇこと言うわね 笑」
少し哀しそうにヴェラを見つめて、寝室へ。
残されたヴェラは動揺して、うろうろする。
リュックを背負ったレオが戻ったら一緒に探す、と。
「あんたが盗んだんじゃないわよね?」
「は?」
「小切手」
「盗んでないよ」
ドアに手をかける。
「レオ・ジョセフ・コンネル」
「盗んでないよ」
お金のメモの数字も合ってないし…。
お互いのために面接がうまくいくよう祈ってて。
この会話、来たばかりだったらもっと喧嘩になってたよね、レオがヴェラのことを理解してきたのと、自分に余裕が出てきたのかな。

9場

ノートパソコンを掲げて、リリーとオンライン通話。
パソコンはMacBook。
「すげぇ怖がってて、保護シール剥がしたらパソコンがバラバラになるって信じてんの。そんなことより元気?元気なの?元気ー?」
か わ い い。
「リリーさ、おじいちゃんのお葬式で歌ったの覚えてる?」
広い河の岸辺を歌う。
この歌が柔らかくて、優しくて、レオ変わったなぁって思う。

歌うまい、すてき、優しい

隣のWi-Fiを借りてるから電波が不安定w
パーティーでのキスを謝る。
「ほんとうに馬鹿野郎だ。俺にとってリリーは最高の姉貴なのに」
リリー、涙声で帰ってきて。
誰にとっても幸せな選択なのか、よく考える。
ここも、ヴェラに言われたことを反映してるのかな。
パソコンを切ったあと、すぐに電話。何を言っているかよくわからないんですけど…。電話切る。
向かいの部屋から倒れる音。
ジニーに何かあったことを察するけれど、一瞬足が動かない。自分を奮い立たせて、駆けつける。
ドアを叩き、呼びかける。

10場

レオ、祖父のスーツ
あー、ソン・リリンがよぎる。素敵。
ヴェラ、上手から、喪服。
ネクタイを直しながら、
「小切手帳、見つかったの」
「ほ…」
「何も言わないで。私が悪かった」
「でも、お金借りてるのは事実だし、つけて無いけど、全部覚えてるから、ちゃんと返すよ」
途中、ギュッとネクタイを絞められて、ぐぇってなるの、後半日程からよくやってたな。かわいかった。
ジャケットを羽織って見せる。
おじいちゃんのスーツは少し大きい。
(玄関脇のサイドテーブルに飾ってある写真立て、3人子どもがいて、背の高い男性と女性が見える)
「おじいちゃんにそっくり…って言いたいところだけど似てないわね、あなたはお父さんの家系」
「ごめん」
「でも、すてき」
このときのヴェラすごく良いよね。少し涙声で、目を合わせないけど、愛情を感じる。
客席も笑いながら、少しほろりとした空気になるのが好き。
ヴェラ、支度をしながら洗面所に消える。

呼び鈴、ベック。
「ベック…ベック…うわーどうしよう…」
言いながら、スーツ姿なのに気付き、ジャケットを脱ぎ、ズボンのベルトに手をかけるけど脱ぐのはやめて、ジャケットも着直す。
セットした髪をほぐして、手に本を持ってカッコつけて待つ。

ベック、サイクリングに誘おうとした。
「明日ならって言いたいところだけど、もうこの家を出るんだ。セントポールの実家に2、3日戻って、それからコロラドに行く。就職した。」
「そ…うなんだ、おめでとう」
「ありがとう。いろいろすっきりするにはいいんじゃないかなって。山とかみて…」

前輪を海に漬けたいんじゃないかって…でももうやった?(自転車が無くなっている)
まだ、いろいろ忙しくて。
儀式における文化人類学の話。
プリントアウトした海岸線の地図を渡す。すぐに手を離さないのは未練かな。
ヴェラ 入場
入れ替わりにレオ退場。スピーチ用のメモを忘れた。
ヴェラとベック
「お悔やみ申し上げます」
「そうなの、全部レオがやったのよ。病院に付き添って…立派な男だった。あなたにこんなこと言ったら怒られちゃうわね」
「怒ってません、決めつけないでください。ただ私、今、すごく打ちのめされていて、こんな気持ちはそうそう続くもんじゃないってわかってるけど、悲しくて。ただそれだけがリアルで」
「それはリアルでしょうね。だから悲しいのよ」
ヴェラとベック、分かり合えるタイプじゃないけど、共有できる感情もお互いにあったんだろうな。

やはりヴェラの存在感すごい

「あったよー!」
メモをひらひらして、戻ってくるレオ。
いや、少し立ち直ったのはわかるんだけど、逆に可愛くなりすぎでは 笑
きょとんとして、ふたりを見つめるレオ。

ベック、レオに向き直り、ハグして別れる。
ベックの背伸びした足、かわいい。
(ちなみに、森川さんは156㎝です。ふむ)

会ったことのないジニーのためにスピーチを用意するレオ。マイカの葬式には出席もできなかったけど、ジニーを送り出すためにスピーチを用意する。みんなのために、自分ができることを考えたんだね。
ジニーは女優をしていて、オフブロードウェイで「メリーさんの悲痛」という作品のアンダーをつとめたこともあります。
その後は芸能事務所でサポートする側にまわった。
結婚は1回。夫は朝鮮戦争で戦死した。
きっと酷くつらい思いをしたに違いありません。
「インターネットで調べがついたのは以上です。」
「…なん…か、最後が締まらないんだよね」
ふたりで顔を見合わす。
ジニーが植物を育てることが得意だと思い出す。
グリーンサム(ちなみに、すぐ枯らす人はブラックハンドとか言うらしい。わたし、それ)。
外からは、家族がいない孤独な老人に見えても、自分の育てた植物に囲まれた、活き活きとした生活ぶりを感じることができる。
ジニーを送る言葉をヴェラが考え、それをレオが文字にする。
ジョーのスーツを着たレオの姿を、少し離れて見守るヴェラ。繋がりを感じ、未来を想う、希望あるラストシーン。

物理的に自転車をつけなくても、ひとつの旅の終わりを連想させる、カモメの声と波の音。そして新しい旅の始まり。
ステージが暗転した後、もう一度明るくなったとき、まだ芝居の続きが一瞬見えて、そのあと立ち上がるのも、1場あたまの一瞬の静止と繋がって、物語を板の上に閉じ込めたような優しい終わり方だったな。

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