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ドーナツの穴から世界をのぞく

チョコレートドーナツ初日感想

本当にいろいろあったけれど、とにかく幕が開いた
開いたからには、しっかり受け止める

圭人くんのポール、良かったなぁ。
キャスト発表、さすがに年齢差ありすぎでは?って思ったけど、観てたらそんなことはなくて、ポールとルディはしっかり恋人で家族だった。

あらすじはサイトを観ていただくとして、物語の冒頭は、ポールの語りから始まる。

初演のダイジェストがYouTubeにあがっているので、見比べるのも面白いかと思うんだけど、圭人ポールはだいぶ優しくてびっくりした。
谷原ポールは力強く、詰問口調、それだけ社会の責任の重さを感じさせる。
圭人ポールは、少しだけ柔らかくて、マルコに寄り添った感じ。

華やかなショーパブのシーン。
待ち望んだファンの拍手、もうそれだけで涙が出そう。キラキラとスポットライトを浴び、笑顔で踊る東山ルディ。圧倒的、スーパースター、オーラすごい。
そりゃ腐って飲んでるルディが恋に落ちるのも納得の説得力。

マルコが登場すると、物語は動き出す。
開登くん、さすがの安定感。
彼の、彼にしかできないマルコ
前回は中断して悔しかったね。
また会えて嬉しい。

ルディ、マルコ、ポール
彼らは家族になろうと手を繋ぐ。
愛する人と一緒にいたい、家族になりたい、なぜそんな簡単なことが許されないのか。

周囲を巻き込みながら、大きな渦ができる。
それに飲み込まれていく彼ら
繋いだ手が引き剥がされる。

法廷シーンは、ポールとルディの魂の叫びだった。
特にポールがこれは誰のための裁判かと叫ぶシーン、心が揺れた。
理性的に振る舞ってきたポールが初めてマルコのために怒り、訴える。
泣いた。

でも結果は、
なんて残酷なんだろう。
マイヤーソン判事「ふたりの愛情はマルコの成長に良い影響を与えていたことは認めるが、家族として認めることは社会的混乱をもたらす。」
この言葉は重い。

結果、マルコにおとずれる悲しい結末。
ハッピーエンドが大好きだったマルコ。

これは誰のせいですか?
ルディ?裁判官?

明るくなる客席。

ドキリとする。心臓を掴まれる。私たちは日々、知らずに誰かを差別してはいないか、されている人を見殺しにしていないか、「これは差別ではない」と言い訳しやたらに嫌悪を示していないか。
きっとしている、私もしている。

あの明かりが、自分の心を照らす。私自身が明日からどう生きるのか、いきなり変われなくても、マルコのことを覚えているだけ、忘れないだけでも、毎日少しだけ、いろんなことに気付けるようなひとになれるんじゃないか。

社会は明るくあってほしい。
政治が、報道が、腐っていると嘆くのは容易い。
だけど、私は生きている。
生きているなら、幸せな方がいい。
前を向き、笑いあい、手を取り合う世界がいい。

そのためにできること、希望はある、光はきっと差す。そう信じる。

ルディが魂を込めて歌う、ラストソングには、そんな希望を感じる。

だから、やっぱりこれもハッピーエンドの物語なのかもね。
マルコ、忘れないよ。

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