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【#才の祭小説】お義父さまの手記

掌編【お義父さまの手記】(約450文字)

お義父さまから譲り受けた手記の内容は秘密です。
少しだけ明かすと、お義父さまと私が過ごした日々が綴られているのです。
そして、私にとって何ものにも変え難い宝物なのです。

・・・・・

お義父さまが職場を去る時、私は気持ちばかりの餞別をしました。
「私も辞めたいのだけど……」と社交辞令とも取れる別れの挨拶をすると、
「餞別ありがとう、ところで今つき合っている人いるの?」と聞かれ、とっさのことで戸惑っていると、
「彼氏いるの?」と念押しされた。

「いいえ、いませんよ」
本当にその時は、彼氏と呼べる人はいませんでした。お義父さま以外には。
「じゃあ、僕の長男はどう? 同じぐらいの歳だし」
「えっ、どうって言われても……」
「じゃあ決まった。こちらで段取りするからね」
と、いうようなことがあって、長男さんとつき合うことになりました。

なんとなく気が合う、っていうと長男さんに失礼かな。
大恋愛!といかないまでも大好きです。
そしてクリスマスイブの夜、長男さんからプロポーズを受けました。

でも、お義父さまからいただいた手記は誰にも内緒です。
[完]


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