こまえのデザイン.視察日記(Vol.2 岐阜県大垣市)
こんにちは!こまえのデザイン.(狛江市 未来戦略室)の田代です。
今回のnoteでは、今年2月に岐阜県大垣市に視察に行ってきましたので、そのレポートをしたいと思います。
前回のnoteでは、視察一日目(岐阜県多治見市)のレポートをしていますので、ぜひお読みください。
岐阜県大垣市について
岐阜県大垣市は、名古屋駅から東海道本線快速電車で約30分の位置にあり、人口は約16万人で岐阜県内では岐阜市に次いで2番目に大きな人口規模の自治体です。
大垣市には多くの河川と水路、豊富な地下水があることから「水の都」とも呼ばれています。また、松尾芭蕉の奥の細道の終着地としても有名です。
公共空間の活用による賑わいづくりは全国的なトレンドに
現在、大垣市では、道路・広場・公園・川辺も含めた公共空間を活用した賑わいづくりを推進しています。
また、道路空間については官民連携で賑わいと憩いを創出する仕組みを継続的に実施していくため、歩行者利便増進道路制度(通称:ほこみち)の運用を導入しています。
コロナ禍における飲食店などへの支援という観点から始まった道路空間を活用する動きは全国的に広がっていますが、大垣市については事業の検討から実施・拡大までの流れにおいて、柔軟かつスピード感のある施策展開が行われています。
現在、狛江市でも狛江駅周辺において快適な歩行空間に向けたリニューアルプロジェクトにおいては、道路空間における「ほこみち」の運用を目指しています。
大垣市での道路空間を始めとする公共空間の活用に関する工夫などをお伺いし、今後の参考とするため大垣市役所を訪問させていただきました。
大垣市役所に到着
大垣市役所は2020年(令和2年)1月に供用開始したばかりの新庁舎で、市役所の周りには河川を活かした広場が整備されています。この広場にはベンチ・ステージ・電源が配置されているほか、キッチンカーなどが置ける広々としたスペースがあり、後ほど紹介する「まちなかテラス」などのイベントでも活用されています。
今回お話いただいたのは、大垣市都市計画課の川添さん。令和4年11月に大阪で行われた「ほこみちインスパイアフォーラム」において全国の自治体関係者が注目する中、大垣市での事例紹介で登壇されておりました。
大垣市での公共空間の活用について
新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、飲食店などが路上を利用してテラス営業やテイクアウト販売をする際の道路占用許可基準を緩和する制度(コロナ占用特例制度)が令和2年6月から国の制度として開始されました。
大垣市では、この制度を活用した形で大垣駅前のアーケード商店街にある店舗などに対する道路空間でのテラス営業支援を開始し、徐々に参加店舗が拡大し、いまでは道路だけでなく広場などの公共空間を活用した「まちなかテラス」事業に発展しています。
また、令和4年度からは歩行者利便増進道路(ほこみち)の運用も開始されています。
この事業のスキームとして、公共空間の占用主体を大垣市が担い、出店に関する手続きを都市計画課でワンストップで行うことで、スピード感をもって対応するが可能となりました。また、参加を希望する各飲食店のサポートについては、大垣市まちづくり市民活動支援センターや地域住民が立ち上げた大垣タウンマネジメントや商店街振興組合連合が協力して行っています。
このスキームは「みち」だけではなく「広場」「公園」「水辺」の公共空間の活用をワンストップで行う「まちなかテラス」「かわまちテラス」「まちテラPARK」へと横展開で事業拡大され、エリア一体的な回遊性を創出する取組みにも繋がっています。
まちとの関わりしろを生み、まちを自分ごととしてとらえる
道路空間におけるコロナ占用特例から始まり、今も進化し続ける大垣市の公共空間の活用の取組みは、市民・市内事業者・市職員が連携して実施することで、それぞれの立場において「まちとの関わりしろ」を生み、「まちを自分ごと」としてとらえてもらうことにも繋がっているとのことでした。
さまざまな人や組織を巻き込みながら、公共空間の活用の範囲を広げ、次々と事業を仕掛けていく大垣市の川添さんの突破力は大きな刺激を受けました。また、これらの取組みを通じて、まちの活性化と市民の愛着をさらに高めようという大垣市の意思を強く感じました。
また、大垣市ではナッジの取り組みも進めており、担当の職員のお話も聞くことができました。こちらについては別の機会にnoteで紹介できればと思います。
大垣市役所の職員の皆様、お忙しいところ、ご対応いただきましてありがとうございました。
おまけ(視察後記)
私自身、大垣市に降り立ったのは2回目でした。
1回目は学生のときで、西日本にひとり旅をした際、旅行代金を浮かせるために「青春18きっぷ」を利用して、東京駅から乗り込んだ夜行快速「ムーンライトながら」の終着駅がこの大垣駅でした。
この列車は寝台列車ではなく通常のシートのため横になって眠ることができず、寝不足で朝からフラフラの状態で大垣駅に到着。
このときの大垣駅での思い出はというと、、、正直あまりありません。
朝食を駅の近くで食べたくらいの短い滞在時間だった気がします。
※「青春18きっぷ」…日本全国のJR在来線の普通列車・快速列車に限り、一日単位で乗り放題になるフリーきっぷ。春・夏・冬の限定時期のみ発売される。
※「ムーンライトながら」…深夜に東京駅を出発し、大垣駅に早朝に到着する夜行快速(寝台列車ではない)。2020年春に運行は終了。
そして、今回の"サラメシタイム"は大垣市の川添さんからランチにオススメをいただいたいくつかのお店の中から選んだ定食屋「味波」さん。
ボリューム満点の味噌カツ定食を美味しくいただきました。
その後、"日本一固いせんべい"で有名な「田中屋せんべい」さんで名物の味噌入り"大垣せんべい"を家族へのお土産として購入して、帰路につきました。
大垣市には2回目の訪問でしたが、今回は大垣市の魅力をよく知ることができ、充実した視察となりました。