ABCお笑いグランプリ

久しぶりの投稿になります。ニモテンのコマゴメです。

昨日、23日にABCお笑いグランプリ2022の決勝進出者が発表されました。
我々ニモテンは、今年芸歴3年目で初めて最終予選(いわゆる準決勝)に残ることができたのですが、決勝の12組に残ることはできませんでした。

書きたいことがたくさんあるため、順を追って書きます。

①予選(動画審査のネタ)
ABCお笑いグランプリは、芸歴10年以内のプロのお笑い芸人のみが参加できる賞レースであり、今年で43回目を迎える歴史ある大会です。
最初の予選は動画審査で行われ、約600組がエントリー。この中から今年は61組が最終予選に残りました。
M-1やキングオブコントに比べると出場者数が少ないですが、参加資格が芸歴10年以内(コンビなどの場合、メンバー全員が10年以内でなくてはならない)
であることと、所属芸人が多すぎる事務所は、条件を満たしていても予選にエントリーできる人が限られていることが理由です。吉本に所属する、同じくらいの芸歴の知り合いたちは、エントリーができないという人もたくさんいました。
アマチュアでも出場できるM-1グランプリやキングオブコントとは異なり、そもそも参加できる人が少ないということになります。
僕の所属するサンミュージックプロダクションは、所属芸人が比較的少ないため、エントリー資格のある芸人なら誰でも予選に参加させてもらえます。
ニモテンが予選で送ったネタは「陰キャなぞかけ」というネタであり、K-PRO様の「若武者」に出演させていただいた際の映像です。

②最終予選進出が決まってから
最終予選の進出が決まったのは、6月2日。この日の19時に発表されましたが、僕らが知ったのはこの日の14時ごろ。マネージャーさんからの連絡で知りました。皆様とあまり時間差はありません。
この日はライブがあり、にしおと会ったのですが、もう軽く天狗になっていました。僕がいつ何のネタを送ったかも知らないのに、結果に対してだけ感情を一喜一憂させる男は歓喜していました。
19時に他のメンバーが発表されると、さっきまで歓喜していた例の男は、「これ無理じゃん。強すぎるでしょ。」と言っていました。ちなみに、僕はこの一連の流れを全て無視しています。
最終予選が決まってから、僕は気が気ではありませんでした。まず、どのネタを持っていこうか。候補は4つほどありました。予選を突破した「陰キャなぞかけ」、直近で事務所ライブでG1クラスに上がった「キャッチ」、初めて首領猿ライブへの出演権を獲得した「人生のリセットボタン」、出来のいいネタの中で最も回数をこなしている「サラリーマン川柳」の4つ。
一週間考えて、予選を突破した「なぞかけ」のネタに決め、最終予選までの残りの二週間、ほぼ全てのライブでなぞかけのネタをやり、細かいところを変え続けるという作業を行いました。

③先輩方
最終予選に進んだことで、諸先輩方から「おめでとう」の声をいただきました。素直に嬉しかったです。
三拍子の高倉さんに、少し前にネタの相談をした際に、「新ネタをたくさん作って下ろすのも大切だけど、一個のネタをブラッシュアップし続けるのも同時並行でやったほうがいいよ」と言われました。
それもあり、二週間「なぞかけ」のネタをやり続け、変え続け、このネタの最適解を探し続けました。
また、僕がお世話になっている先輩でヒガ2000さんという地下芸人界で群を抜いてルックスがいい方がいるのですが、ヒガさんをカフェに呼んで、ガッツリ3時間ほど細かいネタの相談をさせてもらったりもしました。
また、2日前のライブで一緒だったモンローズの宮本さんが、ネタ終わりの僕を引き留めて、「速すぎ!あせりすぎ!もったいないって!!」と言ってくれたのも大きかったです。宮本さんには焦って漫才のテンポが速くなっているように見えたのだと思いますが、僕らは一個のネタに慣れると無意識的にどんどんテンポが速くなっていくクセがあったため、それに気づくことができました。あの一言はとても大きかったです。
他にも力を貸していただいた先輩方はたくさんいます。改めて、自分が恵まれた環境にいると感じました。

④不安
最終予選に関して、僕は毎日不安でした。ネタの中身はそれなりに通用する気でいたのですが、やはり周りのメンバーに比べると圧倒的に技術や場慣れといった、台本以外の部分で劣っていることは明確だったし、仮にこの最終予選という舞台で奮わなかったら、もう来年からチャンスを与えてもらえないのではないか、とか。
色々ありましたが、上に書いたのは僕の抱いた不安の3%ほどであり、残りの97%は「にしおがネタを飛ばさないから」です。
こんなにやり続けているネタなのに、彼は最終予選一週間前のライブでネタを飛ばしたし、別のネタをやった4日前のライブも飛ばしました。怖すぎます。ここ1年で、「大事な舞台でにしおがネタを飛ばす」という夢を何度見たかわかりません。
ネタは全部僕が作っているけど、セリフの割合はにしおの方が多いので、覚えるのが難しい。これはわかります。ただ、これを理由に常習的にネタを飛ばしている人を僕はにしお以外に見たことがありません。にしおのセリフの一言一句まで全て活字で書いて送るスタイルが飛ばしやすくしているのか、彼の異常に弱いメンタルが原因なのか、答えはわからなかったので、とにかく練習を重ねるしかありませんでした。
そして、本番当日、僕らのブロックは15:15集合で、「14時くらいに集まってカラオケかなんか入って、本番と同じ声量で最終調整をしよう」とLINEをしたのですが、彼が起床したのは14時すぎでした。12時にアラームをセットしたつもりが、14時に設定されていたらしいです。怖すぎます。

⑤本番
本番当日、先ほど書いたように、彼が14時すぎに起床しました。彼は基本、昼過ぎまで寝ているのですが、14時の10分前くらいになってもLINEの既読がつかないことに、さすがに僕も焦り始め、3回ほど電話をかけました。彼は少し家が遠いので、会場までは1時間ほどかかると思っていました。(渋谷は少しアクセスが良く、実際は40分くらいで着くらしいです)
この時僕は、尋常じゃないくらい冷や汗をかきました。彼がこのまま起きない場合、最悪のケース「失格」があり得る。普通の人ならさすがにありえない話なのですが、僕の彼に対する信用はゼロに近いです。(ここ数ヶ月ネタを飛ばさなくなったので、20くらいの信用はあったのですが、二週間で3本のライブでネタを飛ばしたのでまた下がりました)
なので、かなり焦りました。結果的に、15:10には二人で受付をすることができました。彼はかなり緊張していたみたいですが、僕は先ほどの「失格」の恐怖を乗り越えたため、正直、全く緊張しなかったです。

⑥発表
翌日23日、決勝進出者の発表がありました。
終わった直後から発表当日の夕方まで、僕はキングオブコントのネタのことを考えるので精一杯だったので、ほぼ緊張はしませんでした。
決勝進出者はAbemaTVの生放送内で発表され、進出したコンビは一組ずつ電話がかかってくるというシステムです。
事務所の部屋を借りて、マネージャーさんと3人で生放送を観ながら待機していました。
僕は正直、決勝に上がってもネタの中身は変えないし、落ちたら早急にキングオブコントの準備をしなくてはいけないし、翌日にほぼ新ネタをやる予定のライブも控えていたため、「早く発表してくれないかな」という気持ちしかありませんでした。
にしおは一組一組が呼ばれるたびに、激しく一喜一憂していました。最終予選進出が決まった時に、「無理じゃん」と言っていたあのにしおサバイブです。
当日14時に起床したあのにしおサバイブです。
僕は彼が一喜一憂する姿を見ているとストレスが溜まるので、できれば今後、賞レースの結果はコンビ別々で知りたいと思いました。
決勝に進出できないことが決まり、部屋を出る時に、「キングオブコントがんばろう」とにしおが言ってきたので、「ごめん、本当に申し訳ないんだけど、にしおに頑張ろうって言われるとマジで冷めるわ。頑張るから何も言わないでくれ。」と返しました。「なんなんだよ!」と怒っていましたが、自分の胸に手を当てて、当日14時に起床したことを思い出してほしいです。

⑦最後に
このABCお笑いグランプリの最終予選で、かなり大きな事を学べました。
まずなによりも、マネージャーさんにも言われたし、自分達でも痛感しているのですが、技術や場慣れ(特に大きい会場の時)、声量、間の取り方などのパフォーマンス面が周りの実力者に比べてかなり劣っている事。これは二人の課題です。
そして、ネタの台本ではそこそこ戦えていると思っていたのですが、パフォーマンス面を補えるくらい抜きん出ている質のものを作る力があるかと言われたら、あります。とは言い切れません。これは僕の課題です。
逆に、僕らの漫才でも、質を上げ続ければ賞レースで通用する兆しが見えたのは大きな一歩です。
今年はまだM-1グランプリ、キングオブコントと大きい賞レースが控えています。ABCでいえばあと7回出れるし、M-1もあと12回出れますが、僕らの芸風上、若いうちしかチャンスがないと余っているので、あと3年以内には決めきらないといけないと思っています。
にしおへの不安が消えることはありませんが、逆に彼のようなキャラクターは僕にはありません。売れるために必要で自分にないものをにしおが持っていることは間違いないので、どうにか向き合っていこうと思います。

ABCお笑いグランプリにおいて、ニモテンを少しでも応援していただいた方々、ありがとうございました。この先も見守っていて下さい。興味を持っていただけたら、ライブに足を運んでいただいたり、配信を観ていただく。また、YouTubeのチャンネル登録、ラジオを聴いていただけると幸いです。

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