石膏デッサン講座が終わって

四日間の石膏デッサン講座が終了。
今回は初めての石膏デッサン体験と銘打って初心者中心に募集をかけて
6人中4人が初心者の方、2名がリピーター。大人3人、小中学生が3人でした。

石膏像はアグリッパ、ラボルト、ジョルジュの三体を準備して、どれを描きたいかを各自選んでもらいます。画材も鉛筆か木炭かを選んでもらっていて、皆さんはほぼ鉛筆を選びますが、中には木炭を選ばれる人もいます。今回も初心者で木炭を選ばれた勇者?の方がいました。

いきなり自由に描き始めるのではなく、画面の上下左右で中心線を引いてから、図り棒で長さを図って顎や目鼻などのポイントをつけてから描いてもらうのですが、初心者の方は、まず図り棒の使い方で四苦八苦することになります。

以前はデッサンスケール(プラ板に黒枠が印刷してあるもの)は使わなかったのですが、図り棒だけだとなかなか良い構図にならないケースがあって、せっかく1枚仕上げるのなら、良い構図で描いてほしいと思い、今回はデッサンスケールを配布。構図的には皆さん画面の良い位置に対象を置けて大満足なのですが、形を見るのにもデッサンスケールを使う方がちらほらいて・・
さかんに首を捻っている。なんか形が狂うんですよね。一見良さそうなんですが視点がブレような感覚がある。形を図る時には図り棒か鉛筆のほうがピンときます。

講師二人でやっていて、受講の方を巡回しつつ、合間にぽろぽろ雑談なんかしています。前回はずっとAIの話をしてたら最終的になぜかウィトゲンシュタインの話で終わってしまいました。今回はChatGPTの話・・・ではなく映画の『怪物』の話がメインになりました。もう一人の講師の方は教師なので、『怪物』に出てきた校長先生や学校の対応について、いろいろ質問しまくり。

以前、受講生の方が石膏像の影は描けるが、明るい所は描けないといって困っていたのですが、今回も明るいところ多めの描き場所に座った人はその問題に苦しんで?いました。
実は石膏デッサン画は2つのレイヤーの重ね合わせで出来ていて、石膏像の明暗を鉛筆などの濃淡に置き換えた層にポリゴン?層が重なっているというのが自分の理解です。たいてい皆、濃淡層を描けばいいと思っているのでポリゴン?層?びっくりしますよね。

自分が中学生の時、美術の授業で石膏デッサンがありましたが、授業数の削減で義務教育の中で石膏デッサンをすることははるか昔に無くなったそうです。授業で『描く』時間が本当に少なくなったと昔を知る人の嘆きも聞こえます。でも、講座に来てくれる子供たちを見てると、自分らの子供時代に比べると遥かに上手になっていて、本当に驚く。そもそもデッサン講座に行こうなんて思う子には才能が備わっている ということなのかもしれないが、そう面白い素材には思えないアグリッパに近寄って見上げてみたり、そっと指で触れてみたり・・・何かが子どもたちに猛烈にインストールされている瞬間に立ち会えてゾクゾクします。

描き続ければ、いずれ自分で自分で気がつくことを、今、間違っていると指摘することに意味があるのかと毎回悩むところです。大切な学びの機会を奪ってしまうのでは?しかし、4日間の講座で描いた作品はその後市民ギャラリーで展示することになるので、そこそこ作品は仕上げておきたい事情との板挟みになる。今回は一人はまあ完成かなという仕上りで、残り五人は時間切れの感あり。今回も教えるより教えられることの多い4日間でした。
お疲れ様でした。また、どこかの機会に♪

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?