君たちはどう生きるか 所感

封切り日に劇場に足を運ぶのは・・もののけ姫、以来だろうか?

ひとは経験したもの以外描けない。たとえファンタジーであっても、それを『空想=経験』していないと描けない。
宮崎監督自身の疎開体験から想起されたと思われるストーリーが画面に映し出されて行くのを眺めながら、そんなことを考えていた。たぶん、これらは実際に経験した、見た、味わった、喜んだ、悲しんだものや思い浮かんだ空想などを紡ぎ合わせて作られている。

だだ、過去の監督作品を想起させるシーンも多く、普通、過去作と似ていたら排除しそうなものだがと首をひねる部分もあって、どこまで監督が関わって、どこから作画監督や原画の人とかがやってるのかなと思ってしまう。
前半が「似てる度」が少なくて、さすがジブリだとゾクゾクさせられたが、後半は「似てる度」が高まって、物語的にこう終わるのはわかるが、もっとこう・・違う場所に連れていって欲しかった。前半が宮崎監督以外に「まかされた」パートの可能性もあるが。

小説『君たちはどう生きるか』は未読。どこまでストーリーに絡むのかは不明。見た感じ接点はあの瞬間、涙が溢れてくるあの瞬間のみのようなので、なぜこのタイトルにしたのかな?と思う。繰り返すが冒頭から田舎の屋敷に疎開するまでは本当に良い。火事現場に向かって走るシーン、人力車の乗り降りできしむ感じ、そして義理のお母さんの足!あからさまな性描写はないが、当然隠喩とメタファーなんですよね。最初に謎建物に侵入しようとしてギリギリ入れないのも当然意味があるはずで、これってひょっとして出産とか生殖に関係あるのかなとぼーっと観てた。裏の意味がわかって観ると印象も変わるはず。一度でわかったという映画ではないです。

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