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ある日突然、愛してやまないローリーがガチ噛みしてきた #1 まさかうちの子が。

ひょんなことから我が家に数か月前やってきたアカエリゴシキセイガイインコ。
出会った瞬間から聞き分け良くてお利口さんだった彼が、突如一夜にしてまさかの豹変、飼い主は絶望の淵に突き落とされた。
ローリー飼いなら誰でも経験するガチ噛み。しかし飼い主はこれが初めてのローリーではない。それほどに彼のガチ噛みは凄まじかった。
せっかくなので、飼い主の血と汗と涙にまみれた怒涛の体験を赤裸々に綴ってみる。
一人でも多くの情報を求めるローリー飼いならびに検討中の皆さまにご覧いただいて、お役に立てれば幸いである。

前夜のごくごくわずかな異変

ある木曜日の夜、いつも通りコムラサキインコがレンジ台に陣取ったところに手に乗せたゴシキを適度に近づけて遊ばせていた後、先に出したコムラサキを先に仕舞い、残ったゴシキと仲睦まじく遊ぼうと、とりあえず水に浸けておいたインコの餌入れを洗おうと水を出した時、いつもそれなりにじゃれてくるゴシキの噛みつきがきつかった。
ハイハイ、ちょっとムキにならないでね、で済ませられない程度。
でもゴシキは元から水音やガチャガチャした音が好きではないのか、興奮するのだ。
機嫌悪かったのかな、としか思わなかった。

そして翌朝突然に

翌朝金曜日。
インコたちを起こし、温室の役割を果たしているビニールカーテンを開ける。
ローリーたちは加入順ゆえに放鳥が後回しになるので、この時少しだけ構ってやる。じっと飼い主を見つめるつぶらな瞳のゴシキは、ケージから指を入れてやると嘴と頬を摺り寄せてきて、いつも通りのゴシキ。
完全にいつも通り。

ところが。
他のインコたちの世話が終わった後「さあ待たせたね~」とゴシキのケージを開けた瞬間。刹那。
一瞬は0.36秒、刹那は0.013秒らしい。飼い主にしてみたらこの中間ぐらいの感覚であった。
ゴシキが猛然と飛び出して指に手に噛みついた。嘴を離してまた噛みつく。襲い掛かるという表現そのままに。突然のことで慌てて離そうとしたが、一度嘴を外しても何度も何度も激しく噛みつき続けた。

我が家にやってきて数か月。
もうそれはそれはお利口さんで、聞き分けが良くて、飼い主のことが大好きで毎朝飼い主に会えると嬉しいという表現でいっぱいだったゴシキ。
それが何?どうしたの?何が起こった?

飼い主は完全なパニック状態

とにかく慌てて引きはがし、いったん別室へ逃げて距離を取る。
もう既に手から血がしたたり落ちている。ちょっとスプラッター。
どうしたことか、とりあえず今日は仕事がある。このままリビングを陣取られるわけにもいかないし、掃除とご飯提供をしなければ。もしかしたらもう落ち着いてるかも。意を決して戻ってみる。
しかし、一縷の望みも虚しく、ケージの掃除をしようにも、ご飯入れを洗おうにも、とにかくゴシキは飛び掛かってくる。顔だけは大丈夫か、そこはさすがに大丈夫かと思っていたのもつかの間、頬も噛まれた。

ローリーの嘴の威力

ゴシキはコムラサキと比較して大きい。嘴も大きい。
大型のテリハ属スミインコとヒインコ属のコムラサキインコを比べて、小さい嘴はとがっていてすぐ出血すると思っていたが、違う。単にテリハ属よりもヒインコ属やセイガイインコ属の嘴が鋭いのだ。そしてゴシキはコムラサキより大きい分、さらに痛い。どれくらい違うかというと、重量110gのコムラサキが噛むとしずく型の跡が付くのだが、出血することは少なく血が出ても上側の所だけである。しかしこの時期のアカエリ123gが噛んだ跡はことごとくしずく型の上下から出血した。
参考までに、240gスミインコは、表面の皮膚は痛むが出血せず、むしろ内出血の頻度が高かった。
テリハ属…君は優しかった(優しいとは)。

とにかく噛まれながら放鳥時のアスレチックになっている大型ケージに誘導して手を引き抜き、餌入れを慌てて洗ってケージの紙も替え、意を決して放鳥用ケージを開け、再び噛まれながら何とかゴシキをケージに突っ込んで手を引き抜き、ようやく息をついた。

この日、こんな光景は二度とこないと思った

襲ってきたのは圧倒的な絶望感

噛まれる恐れがなくなって、しばし呆然としてしまった。
何なのだこれは。悪夢か?
噛まれることは慣れている。ローリー飼いだもの、えぇ。
でもローリーは瞬間湯沸かし器であって、怒りも喜びも興奮極まって噛みつきにつながることはあるが、我を忘れた一瞬にガブってくるのであって、延々と憎悪をぶつける種族ではない。
意思を伝えるために噛むことはあっても、噛むことを目的にはしていない。
おもちゃなどを噛み噛みしたい時は、もっとリラックスして腰を据えてやるものだ。

なのに何だったのだあれは。
昨日まで真面目で優等生だった中学生の子供に、ある朝突然包丁でめった刺しにされた親のような気持ちだった。
今日からこの子とどう向き合っていけばいいのだ。

ズタズタになった手に何枚も絆創膏を貼りながら、空っぽの頭でとりあえず仕事のことを考えた。

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