240408月 もう!!!


ねこのま…を終えて、今は富士山の麓にいる。


麓、というものを意識したことがないので、改めて辞書で確認した。確かに、麓にいる。

富士山は巨大すぎて、近付くほど見えなくなる。ここまで迫ったことがないので知らなかったが、細くて背の高い杉が車道の左右を覆い、これが樹海か、と飲み込まれそうな気がしそうでしなかった。

生憎の雨。霧か雲かわからない真っ白な空が広がる。その向こうに黒い大きなものが透けて見える。そこにある、気配がする。

補聴器を着けた母が、一生に一度は富士山を観てみたいというので、岡山から大阪に来たついでに連れてきた。レンタカーの車内で、母が、婆ちゃんの思い出話をする。婆ちゃんは、富士山なんか観たくもなんともねえ、と言っていたそう。

もうひとつ思い出話。母は、出産費用6万円で3480gの私を産み、その2週間後から働いて日銭を稼いだそう。今もよく動く。一日ガッガッガッガッ洗濯機を回した、が口癖。

温泉のあるホテルにチェックイン。なのに、母は部屋の風呂で済ませる。大好きな月曜は夜更かしに釘付けになって大笑いし、声を掛けても無関心。番組が終わると、補聴器を外して、もう聞こえんからな!!と大声で宣言して、布団に潜り込んだ。

強い。もし晴れて富士山を拝めたら、何を言うのか。ここまで来といてわざわざそんなこと、みたいな発言もあり得る。こちらがイラッとして強く返しても、聞こえない。聞かないフリにも見える。

レンタカーの中で、おじさん?て聞いてきたので、富士山!と返したが、延々と続く雑木林を黙って見つめていた。

もう!!!と思った。

善は急げ🏃‍♀️