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厩務員という仕事に興味がある貴方へ

そもそも厩務員とは何か?
テレビの競馬番組をご覧になったことがある方は分かると思うが、いわゆる

↑この赤く囲ってある人たちのこと。

パドックで馬を曳いたり、日頃の馬の世話をしたり調教に跨ったりと、とにかく自分の担当馬につきっきりで世話をする人たちのことである。

競馬をしていると当然馬が可愛く見えてくる。
そんな時にふと
「俺もあの仕事してみようかなぁ...」

と思ったことは一度でもないだろうか?


1、厩務員のなり方

JRA、いわゆる中央競馬の厩務員になる為には騎手候補生も通う競馬学校を卒業する必要がある。競馬学校卒業となると、なかなかの狭き門だ。厩務員といえど日頃の調教にも跨るので競馬学校入学時には騎手候補生ほどではないが一応体重制限なるものが存在する。
体格的に入学できない人もかなりいるはず。

しかしNAR、いわゆる地方競馬においてはその競馬学校を卒業する必要は全くない。
調教師に直接コンタクトを取り雇用契約を結んでもらえれば厩舎で働かせてもらえる。
とは言え、調教師との連絡の取り方なんて普通は分からないし。そもそもそんなに度胸のある人は限られてくるだろう。

けれど安心して欲しい。
働きたい競馬場に直接電話をかければ事情を話すと調教師とコンタクトを取ってくれて求人状況も教えてくれる。
また、ハローワークやSNSに求人を載せている厩舎もあるくらいで意外と身近にも厩務員になれるチャンスがある。

2、厩務員の仕事

トントン拍子で事が進み見事厩務員としての雇用が決めれば、いよいよ仕事が始まる。
例外はあるが基本的に厩舎村に住み込みで働くことになる。厩舎があるのは競馬場エリア内ではあるが、来場した観客からは見えないところにあり閉鎖的にも思える場所。
住み込みといっても基本は狭いワンルームで建築してから年月が経っているパターンが多くあまり満足のいく部屋ではないはずだ。

競馬場毎に事情は違うと思うので、全ての競馬場がそうとは言えないが、私が厩務員をしていた時は風呂トイレは共同だった。
風呂は共同の大浴場だったからいいがトイレが共同はやはり辛い。


始業時間は厩舎の方針によっても違うが基本は早朝の1時から3時が多いはず。
馬の仕事というのは朝早く(世間的には深夜だが)お昼前に終わるのが一般的。
早朝勤務に慣れてない方には目が飛び出るような話かも知れないが1週間ほどで意外と慣れる。

起きて身支度を整えまず厩舎に向かう。
最初に馬房にいる馬を外のつなぎ場に移動させる。慣れてくればスムーズに行えるが最初はこの仕事さえも大変。とりあえず足を踏まれないように変な歩き方になる(経験談)

つなぎ場に出すととりあえず馬の身だしなみを整えてあげて馬装の装着。
馬装にも手順があってこれもまた複雑で意外と難しい。
装着方法自体はたいした内容ではないが外で口頭で教えられた内容というのはいかにも頭に入らない。
何度も間違い先輩にどやされることになる。
間違いながら上手くなっていくはず

そして調教の為に運動場へ向かうのだが最初のうちは先輩厩務員が付きっ切りで教えてくれる。
あとはすべて1人だ
調教メニューを調教師から聞きそれに従う
調教が終わると汗をとりまたつなぎ馬に馬を置いて今度は馬房の掃除。
馬の糞を取ったり尿で汚れたベッドを変えたりする。
尿を吸った藁というのは想像よりもずっと重く私は初日で腰をやられた。
土木用の1輪車に汚物を積みゴミ捨て場までひたすら歩く。
帰ってきたらすぐさま馬のベッドメイク。
新しい藁を入れてふかふかにする。これも意外と技術がいる
ベッドまでを作り終えたらつなぎ馬に繋いだままの馬を馬房に入れる。
つなぎ場のスペースにも限りがある為、長々と馬を放置しては他の馬の邪魔になるからだ。
そこまでを1セットとして ×自分の担当馬の数 で何セット行うかが決まる。
全ての仕事が終われば、いよいよ餌やりの時間だ。
馬ごとに決められた配合で餌を作り馬に提供する。
意外とこれも重労働でとにかく量が多いから重い。
あれだけ大きい体してれば食べる量も多いもんね、知ってるけどさ。知ってるけどめちゃくちゃ多い。

私はこの頃にはもうヘトヘトで脚は棒のようになっていた。厩務員になる前は運動もろくにしていなかった身体に急にこんなに負荷がかかるもんだから仕方ないけどさ。

餌やりが終わればとりあえず朝の仕事は終わり。

そう「朝の仕事はね」

もちろん昼にも作業がある(厩舎方針によってないところもある)

この時点で10時とか11時だったからお昼の作業が始まるまで2時間くらい休憩がある。

最初のうちはこの時間に1分でも多く寝て昼の作業に備えてた思い出がある。


さぁ身体を休めていざ昼の作業。

とは言っても馬の糞や尿で汚れた藁を取り替えるだけ。単純な作業だが逆に疲れる。
これは担当馬関係なくスタッフ総出で片っ端から馬房の掃除をしていく。
この時間は朝に比べてピリピリしてないからスタッフとも雑談をしたりして比較的に穏やかな雰囲気に包まれている。

この作業も3時間くらいで終わり夜の餌やりまでは自由時間。
この時間に買い物に行ったり用事を済ましていた人が多いし自分もそうだった。


時間が来たら厩舎に行き餌を作り再度馬に提供。うちは19時だったがこれも厩舎によりまちまち。飲みに行っても餌やりは絶対に外せないので厩務員が多い飲み会は途中退場だらけ(笑)
解散もかなり早い。

餌やりが終わればやっと1日の作業が終わり。
これは開催がない日のスケジュールで開催が行われる日のスケジュールはまた少し変わってくる。担当馬がレースに行くときはその時間厩務作業が出来なくなるので代わりに誰かにお願いしたりと持ちつ持たれつで厩舎が成り立っている。

厩務員の仕事はだいたいこんな感じ。
馬の体調が悪いときは厩舎村にある診療所に連れて行ったりとにかく馬に付きっ切りでいてあげるのが仕事。

馬の付き人のような感じ。

3、まとめ

わざと大変な仕事であるかのように書いた部分はあるが実際キツイ仕事であるのは確かである。
新人だろうが馬を任されるわけで責任も大きい。軽い感じで厩務員を目指すのは馬の為にも馬主さんの為にもならないし続かないから絶対にやめておくべき。
住み込みになるし今置かれてる環境から180度変わる生活に順応出来るかもう一度考えて決断して欲しい。
それでも厩務員になりたいという気持ちならきっと大丈夫。
本文中には書かなかったが自分の担当馬が初めての勝利をプレゼントしてくれた時は今までの疲れや苦労が全て吹っ飛ぶくらいの喜びに溢れます。この感覚を味わえるのも厩務員の特権だと思います。
もし質問がある場合は私のツイッターのDMにどうぞ。
指が疲れてきたのでこの辺で終わりますが気が向いたらまた書きます。



※仕事内容や勤務時間については厩舎毎に違うのでご注意ください。


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