見出し画像

「ユートリズム」#4

畢竟、ひとりだ。さびしいのだ。
語り得ない、わからないものごとばかりある。

だから、俺は歌っている。

-----------------------------------------------------------------

しっかり振り返れるだろうか。
6月2日に、suisaiの1st mini album「ユートリズム」Release One-man Liveを、無事開催することができた。
チケットは完売し、当日は会場のsonoriumに満員のお客様をお迎えすることができた。
遠く東北や甲信越から、足を運んで下さった方もいた。

約半年の準備期間を経て、まったく何もないところから、自分たちの手でつくったCDと、主催ライブ。
「こだわり」「力作」というと、途端に安くなる気がする。
それでも、この6人でいま、できる限りのことをすべて行って、お届けすることができた。

【Program】
1st
1.想像をこえる日(Cover/Water Water Camel)
2.Prelude(倉田京・「ユートリズム」収録曲)
3.Rain(Cover/SEKAI NO OWARI)
4.ばらの花(Cover/くるり)
5.ひこうき雲(Cover/荒井由実)
6.灰色と青(Cover/米津玄師+菅田将暉)
7.みなと(Cover/Spitz・「ユートリズム」収録曲)

2nd
1.アイデア(Full)(Cover/星野源・「ユートリズム」収録曲)
2.水彩の月(Cover/秦基博)
3.たよりないもののために(Cover/寺尾沙穂・「ユートリズム」収録曲)
4.「君の名は。」メドレー
5.光る。(suisai、倉田京)
6.聲(倉田京・「ユートリズム」収録曲)

Encore
Colors(Cover/大橋トリオ)

歌うもの、歌われるもの、聴くもの、
それぞれの隔てが溶け、重なり合って、
何処にもない場所、何処にもない時間が、そこに、たしかに生まれていたと思う。

特に心に残ったのが、目を瞑ってうたを聴く姿だった。
瞼の裏に、なにが見えるのだろう。
それぞれが、違う律動を胸に抱えて、ひとりきりで、
自分のこころと、しずかな話をする場所。
「ほんとうに大切なものは、目に見えない。」
有名すぎる一節を借りるなんて、気が引けるけれど。
こころを探して、みずうみを泳ぐ手掛かりになれたなら、これ以上に幸せなことはない、と思う。

-------------------------------------------------------------------

「いま、なにがみえますか。」
そう、いつも問いかけている。
わからないから、問いかけている。

隣に居るひとでさえ、いま、なにが見えているのかわからない。
何を考え、思うのか、
どんなに親しさが深くなっても、自分自身ですらわからなくなるのだから、なおのこと、わからない。

経験を束ねて、想像を飛ばして、段々と解ったふりや、解られたふりをすることもできるようになっていく。
それでも、「わたしは、あなたになれない」。だから、ほんとうには、わからない。
そもそも「ほんとう」のことって、いったい何だろうか。真実に何の意味があるんだ、とさえ、自棄になるときには、思う。

ひとりであること。
「わたしは、あなたになれない」こと。
それは、少なくとも自分にとって、とてもとてもかなしくて、さびしいことだ。
それでも、避けようとは思わない。
「わたしは、あなたになれない」からこそ、
わたしはわたしのままで、あなたと出会えるからだ。

そして、歌うことの中には、「ひとりであること」を抱きとめながら、
同時に「ひとりであること」をこえていく、
さびしいまま、さびしさをこえていく、
そんな瞬間がある。ずっと、そんな気がしている。
いつか、それを形にしなければならない、と思っている。

ライブの中でも、その兆しを感じることができた。
兆しは、大切にしなければならない。
それは自分の想像をはるかにこえて、大きな流れの中で、自分に飛び込んでくるものだから。

-----------------------------------------------------------------

今回の「ユートリズム」のリリースと主催ライブが、
suisaiにとって、また新しい始まりとなるように。
幸い、いくつかの誘いと、様々な場所で歌う機会をいただいている。
折々にまた、綴っていければと思っている。

結びに、改めてお礼を。
たくさんの方の支えや励まし、大きな力のお陰で、こうしてこの度のCDリリースとライブの開催ができたこと、
本当にそれに見合う感謝の言葉もありません。

うたを聴いてくださる方、
こころに浮かんだものを伝えてくださる方、
好いてくださり、拡散や繰り返し、作品を耳元に置いてくださる方、
様々な場所で、様々な形で、いつもsuisaiの活動を応援してくださる方に、心から、ありがとうございます。

やっと、皆さまに手渡せるものをつくることができたので、少しでも何か返せれば、と思っています。
そしてこれからも、問いかけながら、つくり続けていきたいと思っています。

「いま、なにがみえますか。」

きっと、またお会いしましょう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?