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「ユートリズム」#3

「人間が「なぜ、私は私なのか」ということを、建築や都市が変らないことで確認している可能性があるのではないか。」

建築史家であり、建築家の藤森照信氏の言葉。
友人から借りた本の一節、今も心に留めている。

自分を形作り、確かめるものとして。
食べるものや、身に纏うものを選ぶように、
「居場所」を選ぶ。もっと、軽やかに。

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ふたつの「場所」について。

suisaiのwebsiteを開設した。

suisaiacp.com

「ユートリズム」のリリースに合わせて、つくりたいと思っていた場所だった。
動的なメディア、ではなく、
ただ、そこに在る。
折々の報せは勿論のこと、
閑かさと、少しの謎を連れて。

訪れて、時間をかけて、自分としずかな話をする場所。

普通の在り方とはずれるかも知れない。
それでも、ひとつくらいは、そんな場所があっても良い。

製作は、
King of Tiny Room(kingoftinyroom.net)の吉田圭佑。
我儘を聞き入れてくれた。
本当にありがとう。

よければぜひ立ち寄って、時間を過ごしてもらいたい。

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もうひとつ。

6月2日の主催ライブは、
sonorium」という音楽ホールで開催する。

「sono」は「音」、
「-rium」は「―についての」(ラテン語由来の語尾、名詞につけて形容詞化し、名詞的用法をする、というもののようです)
という意味。

青木淳氏の設計。以前からずっと、ここで演奏出来たら、と考えていた。
今回それが実現して、とても嬉しい。

「場所」や「空間」と呼ぶよりももっと、
生きて、声と溶け合う。作用する。
その場にいるすべてのものが声を放つ。
そして「うたうもの」と「うたわれるもの」の関係ごと溶け出して、広がる予感を持っている。
それも、確信に近いところで。

思えば、A Cappellaは「教会にて」という語源からくるものだ。
だから、その対象を定めるわけではないが、きっと「祈りの場」と呼ぶのが良い。

声の重なりと、耳を澄ますときのあの、細く細く、張り詰めた糸のような。
見えなくても、ひとはそれを伝って、聴いている。
白(つくも)の場に、それぞれがひとりずつの、見えないタクトを携えて、それぞれのうたを歌い合う。
そんな時間/空間になればと思う。きっと、そうなると思う。

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聞えたうたが、胸を通って、呼び返す。
そのとき、きっとそれはもう、ひとつのうただ。

次は何について書こうか。
リリース当日まで、また何度か、お会いしましょう。

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