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いいんだよ。って、

いいんだよ。
それでも。

いいんだよ。

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ここ三か月、ずっと、体調を崩している。
年末のことも、新年のことも、一月のことも、結局なにも言葉にできなかった。
前も後ろも、見ている余裕がなかった。

それでも何か、刻み付けておかなければ、と思った。
だから、思い浮かぶまま、言葉をキーボードに投げつけている。

医者にも行った。
何か少しでも、いい方に変わらないかと思って。
たくさんの薬をもらった。
毎日、食後やら寝る前やらに飲んでいる。

食欲、というほどでもなく、
それでも、当たり前に腹もすかす。
食べれば、ちゃんと味もする。
料理も、家事も、苦しくはない、と思う。

寝つきは、多分悪い。
眠っても、二、三度、目が覚めてしまう。
大抵、寒いのに、じっとりと寝汗をかいて、起きる。

うたのことは、苦しくない。
何よりもいちばんにしがみついているのは、うただ。
何にも出来ないと思う日も、うたなら、うまくできる。
そんな希望-希望には、根拠が無いよね-、
うたには、そんな希望を抱ける。

それでも、最近は特に、ことばが出てこない。
まるで枯れた井戸みたいに、
自分の中に、何もなくなってしまったような気がする。
あんなにいつも、音が鳴っていたのに。

そんなときには特に思う。
「俺は、何故ここにいるんだろう」
って、思う。

じたばたしている。
此の期に及んでもまだ恥や外聞を気にして、中途半端に、
それでも、確かに、もがいている。
なにか、いいことないか。
なんとかならないか、俺は、と。

そうして今日もまた、
嬉しくもなく、なすすべもなく、日が暮れていく。
俺は、朝も夕も、ふわふわと覚束ないまま、
馬鹿みたいに、地べたを這い回っている。

遠くで、サイレンが鳴っている。
空は高くて、青い。

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3月に、ふたつのライブを控えている。
そのことについても、また改めて書きたい、とは思う。

それまでに、渇いたこころに、涙は戻ってくるか。
それだけが、気掛かりでいる。

今日は、アカペラの全国大会が開催される。
この日のために、日々を燃やしてきた。
そんな声が、時折耳に入る。
何処か、遠いところの話のように聞えて、また力無く、横たわってしまう。

それでも、
大きな愛を抱えながら、自分を鳴らすことで、
それが共振するような、そんなこころの探し方も、あるよね、って、
最近、また気付いたんだよ。

だから今度はそういううたも、
やらなくちゃ、って思うんだよね。

ずっと、こころを探してきたんだから。

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風が生温い。
春が早とちりして訪れたような陽が、部屋の南窓から射し込んでくる。

それでも、
匂いが、何処か足りない。

雪が降り積もり、地表が覆われて、
その中で、少しずつ溶け出した水がゆっくりと沁みて、
時間をかけて、水を磨きながら、土は重く黒く、命を産み育てるための力を蓄えていく。
そして、丁度今日のような温い風の吹く頃には、土は黒々として力を湛え、雪の下から現れる。
風に乗って、土の匂いがする。
筈なのだ、普段ならば。
その匂いが、何処か、薄い。

きっと今年は、何かが変わる。
そんな予感がする。
いい予感ではない。少し、不安で恐ろしい予感。

そんな風に吹かれながら、
自分の不調も、これに引き摺られて起こっているのだろうか。
土も、俺も、眠れていない、力を蓄えないまま、春が来る。
このままだと、春が来る。

そんなことを、ぼんやり考えた。

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如実知自心、という言葉をもらった。

自分の心の、ありのままの様を見る、ということ。
例え悪くても、まずは、
「ああ、俺はいま、悪いんだなあ」
と、まずはそのまま、受け入れること。
自分の声に、耳をすますこと。

気付けば、そんなことも、随分としてこなかった。
誰かから言われた自分を、自分そのものだと思い込んでいたのかもしれない。
「現象する自己」なんて言っておきながら。

2ヶ月前、およそ5年以上無沙汰にして、本当に久し振りに会った彼女は、穏やかで、シンプルになっていた。
彼女の目からは、俺はどんな風に見えていただろう。
「きっとこうだろうな」と思う、その予想と、きっとさして違わないだろう。
うつくしい魂の方へ、向かわないとね。

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なあ。

世界には、うたも、ことばも、美しいものも、数え切れないほどたくさんあって、

だとしたら、それって、
皆んなまだ、見つからない希望を探してる、って思ってても、いいよな、?

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いいんだよ。
それでも。

いいんだよ。

って、

遠くの、近くの誰か、
もし、見てたら、
俺に、言ってくれないか。

いつも自分で自分を、何とか励ましている。
でもちょっといまだけは、

誰かから、そう言ってもらいたい。

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