父になる瞬間
記憶は時と共に薄れていくものだから、今思う私の気持ちを言葉にして留めておくことにする。
いつしか子供が大きくなり、当時の記憶を見返したくなった時、またここに戻って来れるように。
36歳にして第一子が産まれた。
ようやくの、ようやくだ。
生命の誕生に感動するのは初めての感覚で、初めて我が子に会った時は自然と涙が溢れた。
生まれてきてありがとう。
ただただその気持ちしかなかった。
初めて抱いた時は不思議な感覚だった。
父になった実感は湧かないが、ようやく父になれた。
父として、身を引き締めて生きていこうと思った。
そして何よりもお腹を痛めて産んでくれた妻には感謝しかない。
私よりも、この子のことを心配していたから。
退院したら我慢していた分、好きな物や事をさせてあげたいと思う。
心からありがとう。
出産前に妻の手を握れてよかったし、ハグすることができた。お腹の鼓動を聞くことができた。
お腹にメスを入れるのは、やむをえない判断で、不安もあったと思う。
不安よりも、子供そして身体を優先してくれた妻は賞賛に値する。
私自身、妻そして産まれてくる子に万が一の事があったら、とも少なからずあったから。
100%ということはこの世には存在しない。
自然分娩なら、コロナ以降立ち会いができなかった。
だけど今回は自然分娩では無いために、特別に産後の立ち会いが出来た。
産まれてくるまでどれくらい時間がかかるのか未知数だった。
待っている間は、私は何も出来ない。
落ちつかずスマホをいじっていたが、待合のソファにおいて呼吸を整えて待っていた。
どれだけ待つのか未知数だったが、40分そこらで「産まれました」と呼ばれたのだ。
出産までの過程を経て、家族の絆が一層深まった気がする。
生まれた子には、これからたくさんの喜怒哀楽を経験し前を向き人生を歩んでいってもらいたいと思う。
桜の咲く綺麗な時期に生まれた。
すでに葉桜になっている桜の木があったり、ちょうど満開の桜の木が咲いていたり。
ふと通りがかりに見かけた街灯に照らされた桜の木がとても綺麗だったので、記念に写真に納めた。
なんて美しいのだろう。
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