ココカラビヨリ vol.7


「 今やれるだけやって、じじいになろうぜ。 」

20歳の彼は、笑ってそう言う。

profile.
井尻 敬天(いじり よしたか)
鹿児島大学工学部建築学科3年
鹿児島高専都市環境デザイン工学科から編入。建築を学びつつも地域のコミュニティの大切さといったハード面だけでないソフト面の観点からまちづくりを見る。騎射場のきさき市では、学生リーダーとして活躍。ココカラカイギでは、営業班担当。愛称は「よっしー」。

以下、
聞き手:み(みさと)
話し手:よ(よしたか)
とする。

大きな木の麓、芝の上にシートを敷く。
横に寝そべって、ゆるりと始まる。

み:よろしくね。

よ:はい、よろしくね。

み:まずはお決まり。ココカラカイギの運営に加わった経緯をどうぞ。

よ:誘いをもらったのが、ちょうどのきさき市のリーダーを終えた頃。卒研も控えていて、勉強したかったのね。
だから、ココカラカイギは自分にとって忙しい中でもやる価値はあるのかって。自身を納得させるために空雅に色々質問したなあ。
何事も自分が納得しなきゃ嫌だから。

(最終的に)空雅のつくりたい世界に共感したから決めたよ。

み:具体的に言うとどこに共感したんだろう。

よ:空雅の願う世界は、“鹿児島をワクワクさせたい”というもの。
それはビルとか、街中に建物が沢山建っているワクワクじゃなくって、おもしろいひとがいて、おもしろい文化があって。
そんなワクワク。

“ワクワク”って、ひとによって違う。
俺にとってのそれって、“落ち着くもの”。
夕焼けを見て、「 わ~っ。いい。」
そう思うのも、ワクワクの一種なの。

空雅と俺は、全く同じところではないけれど、同じ方向は向いてるなあって共感したかな。

み:同じ方向かあ。それで言うと、ふたり共通してまちづくりという分野に関心があるよね。
よっしーがまちづくりに関心を持ったきっかけって?

よ:俺、自分の住む ど田舎の夕焼けがすごく好きで。
高専の4年で都市計画だったりに向き合うことがあったんだけど、自分の地元だけは都市開発だったり再開発だったりをされたくないなって思ったの。
この田園風景だけは残したいって。

もし誰かがビルを建てる、開発をすると言い出した時に、止められるような能力が欲しい。そのためにまちづくりや建築のチカラは必要だなって思った。
それが元々まちづくりを始めたきっかけ。

み:風景を残す。何がよっしーにそう思わせたのかしら。

よ:育った環境が大きいと思う。3歳から地元姶良に暮らし始めて、田んぼで走り回ったり熊蜂と戦ったり(笑)
ビルより大きい自然というものに触れて育ってきた。
だから惹かれる。

あとは、ひとがつくれないものだから、風景って。
(木を指さしながら)この木の葉の色って、人間が着色している訳じゃないでしょ。

まあ色々言ってきたけど、ただ単純に好きなんだよね。単純に。

み:うんうん。好きは大事だね。大事にしたいもの、ほかにもあるかしら。

よ:家族と恋人。いちばん一緒にいたいひとと一緒にいるのが、いちばん幸せだから。

み:ふふ。そんなよっしーですが、ココカラカイギではどんな役回りを担ってくれているかな。

よ:俺は“”でいいなあって。
ハード面でもソフト面でも、下から整えて押し上げる役回り。土台だね。
挑戦してみたくて(ハード面である)営業を選んだ一方で、(ソフト面での)影という立場は必要だと思ったから担っただけかな。

み:よっしーのそのストイックさ、みたいなものってなんだろう。

よ:やれるときにやりたくて。
楽しようなんて思えば、誰でも出来るんだよね。
でもじじいになったら楽しようなんて思わなくても楽出来ちゃう。動けなくなるんだよ。

なら、今動こうぜ。
今やれるだけやって、じじいになろうぜって。

「 やり切った、頑張った。」って死にたいからね。

み:じじいまではまだまだ時間はあるね。20歳の、今の時点でのよっしーを教えて欲しいな。

よ:俺自身、自分はどんなひとって聞かれても、なんだろうって思っちゃう。よく分かんない。

でも、それでいいなあと思うよ。
一言で済まないような人間じゃなくなっているのなら、それだけ自分が厚くなっている、広がっているってことだと思うから

み:よっしーの土台をつくるもの。よっしーを土台としてつくられるココカラカイギ。すべて辿ってみると繋がるんだなあという発見。ありがとうございました。

よ:ありがとうございました。



以下、あとがき。

わたしの憧れるよっしー。
彼の憧れを教えてもらった。

よ:俺のおとんが理想像。家族を大切にしているし、自分は一歩後ろにいて、何かある時だけ前に出て、守る。
本当の大黒柱だなって、かっこいいなって。

大きな自然、大きな愛に囲まれて
のびのびと育ってきた。
そんな彼の生命の鼓動を感じたお話。

writer みさと



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