大局観で考える式神ウィッチ

はじめに

この記事のターゲット層は

・鬼呼びをなぜキープするのか分からない

・研究と叡智を何に使えばいいか明確な基準を持って選べない

というような疑問を持つ式神ウィッチ初心者~中級者の方々である。

そもそもウィッチ全く分らんという人はばらちゃんの記事を先に呼んだ方がいい。無料で読めるとても優良な記事であり、配信で実演までしてくれる。

全部わかる人は読まなくていい。そもそもこの記事は、元は知り合いに向けての解説用に書き、書いてるうちに知らない人も多いかもと思い公開することとしたものである。

式神ウィッチというデッキの概要

中盤から一枚で複数のカードを出せる0コストカードを用いてハイパワーテンポで相手を押しつぶすコンボ&テンポデッキ。パワースパイクはクオンが出る6Tからでなく5Tから急激に上がるように意識してプレイすると強く使いやすい。環境外のデッキにとにかく強く、半端なパワーのデッキは全て圧殺できる圧倒的デッキパワーが魅力的。

勘違いしてはいけないのが、このデッキはクオンウィッチではなく式神ウィッチということである。呼称そのものはどうでもいいが、デッキ認識を行うときにクオンを軸にしたウィッチという捉え方をするのではなく、式神カードを軸としたスペルウィッチととらえなければならない。

BOS期翠嵐エルフのことをアグロエルフと呼称するのはおかしいという理論と同様。

構築

とある方が生み出した偉大な基本形。迷ったらこれをつかって練習すればいい。
※私がランクマッチで使用している構築である。

 私は確定枠はこう考えている。

特殊なギミックを採用している場合はこの限りではない。クララが3だと考える理由については後述する。ウィズダムコアは減らすとドロソがかつかつになりやすく難しいゲームを強いられやすい。

残りの2枚は

この中から選択したらよいと考える。

・ゴーレムの錬成

別に強くはないが、コアの知恵を回収するためにハンドを開ける必要がある時、ドラゴンなどのライフカットが重要になるマッチで強く使える。
ミラーで先2で置いたときは非常に高いライフを詰める性能を発揮する。

・叡智

1枚で3アクション手に入る事故防止カード。実際はゲームをむやみに難しくし、気づきずらいS級プレミを引き起こすカード。勝ち試合を負けにすることもあるため相当デッキの理解度がないと複数枚積むことは推奨できない。

・キャル

入れるだけでリノセウスエルフへの勝率がかなり上がる。有利マッチがガン有利マッチへと変わり、交換カードも他マッチへの影響はさしてないためBO3では入れ得だと考えている。

・握撃

ネクロマンサーに対して非常に強いカード。強いのだがキープしないカードであり、デッキのボード制圧能力が高すぎて減らすことが許容される。

プレイングについて


対面しているとクオンウィッチはぶんぶん脳死デッキに見えることもあるがそんなことはなく、きちんとしたプレイングを必要とするデッキである。
クオンウィッチにおけるプレイングの際の判断要素は、マリガン、大局感の2つが大きい。
このうち大局感は
①デッキとしての勝ち筋、ゲームプランの把握(デッキ理解度)
②対面毎の勝ち筋を見た大局感
③ハンドの状況でのゲームプランの組み立て
から構成されている。

①勝ち筋、ゲームプランの把握


・6Tクオン
・5Tでの狂信orキョウカによるボード制圧
・連続大展開によるリソース勝ち
・狂信者クラークによるバーン

これらをハンドの状況で変化させながら複合させて勝利を目指す。アマツがアグロプランを取りながら神鉄アマツを引いてもいいようにプランニングすることに感覚が似ている。

一枚で多面展開するカードが多くかつ即時火力を疾走に頼る特性上、火力をボード以外から出すことが難しいということに留意し、序盤から相手の顔を削らなければ展開しても守りに入らなければならなくなることには留意しておきたい。

②についてはマリガンの時にまとめて解説する

③ハンドの状況でのゲームプランの組み立て


このデッキの最も難しい部分である。これが備わってるかを知るのは簡単で

この2枚のカードを常に正しく打てるか自問自答してみるといい。
マナリアの叡知は、手札に加えるカードが強力であるにも関わらず採用枚数が少ない不思議なカードである。その理由の最たるものとして、本来クオンウィッチは全てのリソースを使って戦うデッキであるからに他ならない。手札に来て「何戻せばいいんだよ」となることが多々あると思うが、手札どころかデッキのカードを相手に投げつけて戦うデッキなのだから当然である。

マナリアの叡智を使用する上で大切なのは、今後そのカードを使用する予定があるかを考えることである。

具体的に言うなら、ハンドにスペルブーストカードが大量にあるとき、このターンと次のターンで形成するボードを考え、それ以降に使うようなカードはゲーム中に使用しない可能性があるということだ。
それは時間がないマッチの2枚目以降のクオンだったり、過剰に勝ってるときの握撃だったり、出すことが無さそうな使役だったりである。
ゲームに勝利したときの手札を見ると余ったカードが分かりやすいかもしれない
また、打たないという選択肢も与えられている。特に余った2マナで本当にそのカードを打つ必要があるか、よく考えた方がいい。

マナリアの研究で増やすことが多いカードはこれらだろう

キョウカを増やすこともあるがかなり優先度は低いため省いておく。対守護ビショップはUBが強いため増やしていい。
このカードはリソースを増やすカードではなく、勝ち筋を見るためにハンドで最も足りないパーツを補強するカードと認識したらいい。

基本的な優先順位はカオス>鬼呼び>>以下その場に応じて変動する。クオンだけはこのくくりに入れずに優先順位を変動させる。

各カードの役割としては


カオスウィザード:リソース、スペルブースト

鬼呼び:ブースト、展開、クロック補強、除去

クララ:守護、ブースト、展開

狂信:展開、クロック、バーン

クラーク:バーン、リソース、ブースト

クオン:上記全て。ただしバーンとしては2面無駄に埋まる。基本は1Tに1枚しか使用しない。一枚での展開力が強いためこのカードの存在をリソースがある状態と私は考えている

と思ったらよい。

カオスウィザードを増やすときの考え方として、ハンドの枚数ではなくドローソースの枚数でリソースがあるかを判断する。例えば八枚ハンドがあってもドロソがカオス1枚しかなく、クオンがなければそれはリソースがあるとはいえない。0コストをたくさん投げてガス欠を起して終わりだからである。

これらを頭に入れた上で初めに挙げた5つのゲームプランのどれを辿るか考えて増やす。

・最速クオンぶんぶん

クオン着地時にこちらの残り時間がどれだけあるかによって考えることが変わる。

ライフに余裕があり、ボードも勝ってるなら連続クオンや大展開を続けてリソースゲーに持ち込むだけで相手は処理が追い付かなくなり勝てる。

残りライフが少ない場合(主にネクロマンサーにライフを削られすぎている場合)、形代を意図的に自害・盤外への押し出しをしてボードロックをさせないようにしたり、狂信者でライフ奪取して捲る必要性が出てくる。場合によっては先に狂信者を複数投げてライフを削ってからクオンを投げた方が強いこともあるため、2~3Tくらいからクオン着地や大展開までにどのくらいライフを削られるか考えて、本当にクオン着地させるルートを取るのか考えた方がいい。


・5Tでの大展開によるボード制圧

鬼呼びクララを含めた大展開を行い裏にあわよくばキョウカや狂信者を添えるムーブ。基本的にはマリガンでは5Tでこれを目指すため鬼呼びをキープする。狂信+鬼呼び+クララは疑似クオンとはよく言ったもの。

このムーブを行う場合、そのあとにハンドが続くか、続かないならどうやってライフを削り切るか考える必要がある。初手から研究でクラークを増やしたり、鬼呼びを増やして継続展開できるように立ち回ることを考えなければならない。


・連続大展開によるリソース勝ち

上記から派生する。ライフで勝ってるときに主に移行する。


・狂信者クラークによるバーン

劣勢を捲ったり、コンリノにOTKするときに行う。研究でどちらも増やせるのだが、増やすときにはハンドをみて狂信者を一度に複数出せるボードになるのか考えて増やす。また、狂信者は増やしたことが分かりやすいがクラークを増やしたかは対面からは判断しかねるためそれを利用することもできる。

対面ごとの大局観

マリガンについてもここで解説するが、その前に以下の2枚のカードについて触れておく必要がある。

・鬼呼びについて

Twitterでときおり鬼呼びキープという意見をみかけるがその理由は公にはされていない。みんなもなんとなくキープしたり返したりしてるのではなかろうか。そして何となくキープして、カオスもクオンも引かないし暴鬼一枚出すだけじゃ勝たないしキープできねえじゃんという考えになったことはないだろうか。私はある。

では実際どうするのがよいのかというと、このカードは全体面先後関わらずキープを推奨するカードである。

クオンとウィザードがないときついという認識は正しい。この2枚はコストを踏み倒してリソースを回収し大展開を繰り返すことを容易に行うアンリミテッド規格のカードだからである。私はどっちか引けば大概の試合は勝てると思っている。

それでも鬼呼びをキープできるのは、マナリアの研究というカードがこのカードの役割を増やすからである。

鬼呼びというカード分かりやすく言い換えるなら、キマイラである。

しかも展開し、後続にバフをかけた上で突進まで持たせ、スペブまでかけるコストが1低いキマイラである。どう考えてもアンリミテッドのカードである。

このカードを研究で増やすことで鬼呼びの展開の役割を増やすことができる。また、出てくるカードが突進を持つため即時ブーストが可能で、鬼呼びが0になるのは5Tからなのでそれまでに引いたカードに全てブーストを行えるため後続が続く。それにより展開に連続性が生まれるため、クオンを引かなくてもボードで勝つことが可能になる。そして鬼呼びと同時に展開するカードとして最も現実的で強いのがクラシカルソーサラーであるため、クララを3枚デッキに入れるのである。

鬼呼びをキープする意見の正体は研究で鬼呼びを増やす択を強めに見るということで、それによりデッキの引けば勝てるカードをクオンウィザードの6枚から研究鬼呼びを加えた12枚に増やすということであると私は考える。

・キョウカ

5T展開に合わせておく動きが最も強い。序盤にウィッチは相手の顔を削ることが勝利への近道になるのだが、それは展開が保証されてからの話である。3Tだけの局所的な盤面でキョウカを置いて強くしても、後続が続かなければ意味がない。4Tキョウカ進化置きも、それだけだと1枚のカードが場に立っているだけである。テトラの方がまだ強い。

このカードを3Tに置くのはリオードとアマツに対してだけである。

ここまで読んでくれた方はもうお分かりだと思うが、5Tまでのウィッチは展開するための準備期間なのである。それを踏まえてマリガン段階で意識することは

①高いスペブカードを確保する

②動きを安定させるカードを持つ

の優先順位でカードを探すことである。

マリガン

私がレートで使用している構築である。この構築でのマリガンを紹介する(コアとクララの枚数でマリガンが多少変わることがあるため)

全体面共通(アマツリオードを除く)

先後関係なし:鬼呼び、クオン、カオスウィザード、クララ、知恵の光。これらは複合キープ可能だが知恵は複数持たない(コアが3で3Tのマナを埋める必要がないため)。3枚全て高コストキープはしない。

クララは確定でキープはしていない。守護のゲイザーが弱いなーと思うときは返すこともある。ぶっちゃけてしまうと雰囲気(いわゆる経験則)でこのカードはマリガンしている。

先:コア

後:特殊マリガンなし。キョウカコアを単独で持たない。カオスウィザードに切る進化が基本的に強い。コア+カオスはハンドがあふれるため絶対にしないこと。

複数持ち:高コストスペブ+2コストキャントリップ(クラーク含む)。特に先手は事故する確率が高いため極端なハードマリガンをしない。

エルフ

コンリノと思って戦う。ドラエルフの持ち込みをしている場合はアマツを想定してもよい。OTKするプラン取るか大量のリソースで顔を殴り切る2パターンある。相手がリノセウスを完成させてきそうなときは連続大展開するプランを取る。

基本的にボードを処理する必要は一切ないため(全て当たってくるか旋風で勝手に巻き込まれるため)、ブースト以外の進化は全て顔に切ってもいい。ボードを作る時は旋風を要求する作り方をする。体力5を複数作るとメイでも処理が厳しくなる。また除去してる間はリノカウントが済まない、進化権を奪えばリノの完成も遅くなるため、とにかくクオン以外でボードを作る時も体力5を立てる。

20点OTKは狙ってもいいが成立しにくいため、常に処理困難な盤面を作って相手のリソースと思考能力を削り続ける。リノセウスのプレイ回数増加と除去と回復とドローを全て同時にさせないようにする。研究とキャルが揃った場合はOTKを狙う。キャルのUBが溜まる場合もOTKのプランを考える。

マリガン

キャルがある場合はキャル単キープ。キャルとセットで研究をあるだけキープする。強めのマリガンをしてカオスウィザードやクオンを探す。

初めから狂信をかき集めるマリガンはよくないため(研究含め6枚しかないカードのうち5枚を、デッキを回しながら引き切るのは難しい)連続展開をし続けるプランを取ることも大事。

アマツと分かっている場合はキョウカ、狂信、クララを探す。

ロイヤル

進化ロイヤルは母数が少ないのでリオードと思って戦う。そもそもBO3を真面目にやっている人間はリオードを切ってまで進化ロイヤルを使用しない。

リオードは唯一不利な対面。基本無理マッチなので勝てたらラッキーと思いながらキョウカをキープしましょう。

ミラー

共通マリガンの通りにすればいい。

クオンを先に投げた方が勝ちなのではなく、先にライフを削り切る算段を立てた方が勝ちであるマッチ。クオンの投げ合いや展開合戦になったとき、ライフが削られてる方はクオンの横に並ぶ疾走を除去に使わなければならないため、先にライフをある程度まで削れば相手はどんなにボードを作っても顔に来れず勝てる。序盤のハンドとボードで自分がどちらがわになりそうか早めに判断して戦うと勝ちやすい。

先3キョウカは3点クロックだが別に強くなく、のちのち5/5として建てた方が強いことが多いのであまり投げなくていい。相手のキョウカもしかり。序盤の術式は準備+バーンのカード、キョウカはブースト&ボード形成のカードとして考える

鬼呼びクラシカルが並んでおりクオンが出てきそうでどちらかしか処理できない時は、自分が今攻めてるのか守ってるのか考えてどちらを処理するか考えればいい。

間違ってもクオン全力マリガンをしてはならない。クオン全力をするとクオンに固執するあまりカードのプレイもマリガンも歪になり、クオンより以前に強いボードが作れてもそれに気づかず先に展開され、クオンを出しても処理にしか使えず一生守りに入らなければならないためである。

対自然ウィッチはとにかく大展開を意識してキャルをはかせる。天后進化置きがとにかく強く、キャルでも母君でも満足に返らずに適当に進化してると勝てる。運もまあまあ絡むため微有利~有利くらいの認識でいるのがいい。

ネクロ

運も絡むが、練度が最も試されるでもマッチである。

後手有利だが先行大展開守護裏キョウカor狂信で相手は死ぬ。良くも悪くもウィッチの出力に左右される。5T大展開をとにかく意識し、展開するときは雪女でロックされても問題ないボードを作る。

7ギンセツも、ギンセツを処理に使わせればかなり優位になれるので(こちらにリソースがあれば)ある程度は推して引いてのやり取りも大事。

マリガンは共通に加えて使役をセットキープに組み込む。ポン置きされたレジェスケを強く取るカードはこのカードしかないためである。

ドラゴン

墓参とランクマで考えることが違う。

このマッチはボードから打点を出すことをとにかく意識する。疾走は止められる可能性が高いため研究でクラークを増やす優先順位を狂信者より高めに設定する。

ランクマは母君を警戒して天后進化置きを意識。

墓参のドラゴンはレンジが前よりのため、ライフカットを意識して試合する。ヴァイディの体力を高く残させないようにボードを意識して作る。

マウントを取られたら負けるため、結局このマッチも共通マリガンを意識して鬼呼びを投げまくりボードを強くする。

最後に

知り合いに解説するにあたり、おそらくこれが分からないから勝てないのだろうというところを重点的に言語化させていただいた。

式神ウィッチは妖怪ネクロマンサーのような1T毎のミクロ視点の経験値でうまくなるデッキではなく、ゲーム全体のマクロ視点での気づきでうまくなるデッキであるため経験値のみではプレイングが上達しにくい。この記事で式神ウィッチのプレイングを向上させる足掛かりとしてくれたらうれしい。

このような無名プレイヤーの記事を購入していただきありがとうございました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?