声劇フリー台本「都会の夜」(女性用)

「ご、ごめんなさい！！」

耳にこべり着いたあいつらの笑い声。分かってたよ、それくらい。誘ったんなら最後までいい気分で終わらせて。

都会の夜。鼻を指すビールの匂い。路上ライブとデモの音の喧嘩。ホスト勧誘の声。公共という言葉を忘れた泥酔カップル。死んだ目をして歩くサラリーマン。そして、人混みをかき分けて行き場も無く走る私。遠くからのカメラワークだったらまるで映画の主人公かのようにみえるだろうか。こんなダサい私を見て君は笑ってくれる？

「うっ…痛い。痛いよ、足から血が」

涙を流しながら道の端で空に叫ぶ。アルコールなんて入ってないのにこんな狂っているのは何故だろうか。私の何が悪かった？いい顔して光の世界の人に溶け込んでたでしょ？何が悪いの。悲劇のヒロイン気取り？自分でも笑っちゃう。

「外見を変えるだけじゃ何の変化も起きない。せめて自分に自信を持てるようになりたかっただけなのに。」

思い出される地獄の光景。あいつらの携帯に写った整形前の私。だめなの？変わろうとした私の努力は。

「あぁ…私、君がいないとダメみたいだ。」

涙で視界が滲んでいても変わらず都会の光は綺麗だった。

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